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マスコミ(新聞・放送・広告・出版・芸能・エンタメ)

ネットでつかむ 視聴者や読者
テレビも抜いたネット広告


 ネット時代の生き残り競争が激しい。テレビはNHK・民放キー局・地方局からなる地上波放送や、衛星放送、ケーブルテレビなどが、ネットの動画配信サービスに劣勢模様。新聞・出版などの紙媒体は市場が縮小している。広告はネットの割合が伸びている。
 

注目データ


日本のインターネット広告費(2019年)
2兆1048億円


6年連続2ケタ成長で、テレビメディア広告費(1兆8612億円)を抜き、初の2兆円超え。イベント領域を加えた総広告費は6兆9381億円に。(電通)

 

企業動向

●ネット同時配信をスタート

 テレビ離れが若者層を中心に加速する。ユーチューブやネットフリックスなど動画配信サービスが台頭し、2020年には高速移動通信規格「5G」が始まって、ネットでの動画視聴は今後さらに普及すると見込まれる。テレビ各局はネットに活路を開こうとしている。
 NHKは4月、テレビ番組を放送と同時に常時ネット配信するサービス「NHKプラス」を正式スタートした。在京民放キー局5社(日本テレビ、テレビ朝日、TBSテレビ、テレビ東京、フジテレビ)は「TVer」を15年から始めているが、配信は放送終了の番組限定だ。同時配信について、民放は広告収入の面から及び腰だったが、日テレが試行を発表するなど追随する動きも出始めた。

●新聞・出版は電子版がカギ

 新聞社は全国紙(朝日、読売、毎日、日本経済、産経の5紙)、ブロック紙、地方紙、夕刊紙、スポーツ紙、業界紙などがある。販売収入と広告収入が収益の柱だが、ネットの普及から部数は減少が続く。日本新聞協会によると、2019年の発行部数は合計3780万部、1世帯当たり0.66部の計算で00年以降最低を更新している。
 新聞各社が期待するのがパソコンやスマートフォンで読める電子版だ。電子版オリジナルの記事も配信し、購読者獲得に力を入れている。日経は電子版やデジタル関連が好調で、19年12月期の連結売上高は3568億円で前期比0.4%の増収だった。
 出版科学研究所によると、20年上半期(1~6月)の出版市場(推定販売金額)は前年同期比2.6%増の7945億円。紙市場が同2.9%減のマイナス成長だった一方、電子出版市場が同28.4%増と3割近い伸びを示して全体を押し上げた。コロナ禍で雑誌の刊行延期・休刊が続いた一方、「文春オンライン」(文藝春秋)など雑誌派生のサイトが伸長、爆発的売れ行きのコミック「鬼滅の刃」(集英社)は電子版もヒットした。

 

トピックス

★NYTデジタル収入、紙媒体を抜く

 米新聞大手ニューヨーク・タイムズ(NYT)は、2020年4~6月期のデジタル版の売り上げが1億8550万㌦となり、四半期として史上初めて紙媒体を上回ったと発表した。コロナや人種差別反対運動をめぐる報道が読者を開拓。NYT電子版の購読者が3カ月で49万件も伸びて439万件に達した。

★AI選書やブックホテル、日販の新事業

 出版取次大手の日本出版販売(日販)が、市場活性化へ新たな取り組みを重ねている。2018年にはAIによる選書サービス「SeleBoo(セレブー)」を富士通と共同開発。日販がかかわったブックホテル「箱根本箱」や、入場料制の書店「文喫」は19年度のグッドデザイン賞を受賞した。