印刷・紙・パルプ・事務用品
家庭紙は堅調、M&Aに意欲
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印刷・紙・パルプ業界は、従来の印刷用の紙需要がデジタル化・ペーパーレス化の流れの中で激減しており、技術を生かした事業転換や成長市場に向けた商品づくりを図っている。文具・事務用品業界も新しいトレンド商品開発に挑んでいる。
注目データ
印刷・同関連業の製造品出荷額等(2018年)
4兆8280億円
前年比4.9%減となり、5兆円を割り込んだ。事業所数も1万を割り、9888に減少。他の業界と比べ、落ち込み幅が突出する。(経済産業省)
企業動向
●印刷大手は事業を多角化
印刷業界は大日本印刷と凸版印刷が2強。紙の印刷需要が落ち込む中、半導体や液晶用フィルターなど印刷技術を生かした新規事業に早期から取り組み、業績確保の要となっている。大日本印刷の2019年度の純利益は694億円。ICカード、リチウムイオン電池用包材などの事業や、書類発行や総務などを請け負うBPO事業などを強化経営目標として25年3月期の営業利益750億円を掲げる。凸版印刷はキャッシュレス関連サービスやプレミアム商品券などの事業が好調で、19年度は前期比2倍強の870億円の純利益を計上した。
●新聞・印刷用紙落ち込む
日本製紙連合会によると、近年の製紙業界は「新聞・印刷用紙」の落ち込みが大きい。最大手の王子ホールディングスは、コロナ禍などから国内や中国での印刷用紙の大幅な販売減少を想定し、2021年3月期の連結売上高は前期比7.1%減の1兆4000億円になると見込む。一方、ティッシュ、トイレットペーパーなどの「家庭紙」「衛生用紙」の需要は堅実な推移がみられる。この分野に力を入れるのは大王製紙で、19年度の純利益は前期比4倍となる191億円を上げた。国内外のM&Aに積極的で、最近ではブラジルの同業大手サンテルを丸紅との共同出資で584億円で買収した。
●オフィスの空間設計で業績上げる
文具・事務用品市場は、少子化やデジタル化の流れから縮小傾向にある。矢野経済研究所によると、2018年度の国内・文具事務用品市場規模は、メーカー出荷金額ベースで前年度比1.4%減の4576億円で、2年連続のマイナス成長となった。業界では機能的な筆記具や収納ツールなどがトレンドとなっている。総合文具大手コクヨは20年第1四半期決算の営業利益が前期比8.5%の伸び。「働き方改革」に合わせて、オフィスや官公庁の空間設計をする事業などが業績を先導した。
トピックス
★「脱プラ」を商機に、製紙業界が新製品
製紙業界は、プラスチックの代替となる紙製品を次々に開発している。プラ製のレジ袋が2020年7月から原則有料になるなど、「脱プラ」の流れを商機とみている。日本製紙は紙を使ったシャンプーなどの詰め替え容器の販売を宿泊施設向けに始めたほか、紙製ストローやストローがなくても飲める牛乳パックを開発。将来的に数百億円規模の売り上げをめざす。王子ホールディングスも紙製の菓子包材やクリアファイルを商品化している。日本製紙連合会の野沢徹会長は、「紙はリサイクルに適した素材で、環境に優しい点を世の中に訴えたい」。2024/12/13 更新
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