医薬品・化粧品・トイレタリー
感染症防ぐ使命、ますます重要に
エイジングケアに男性向け新商品も
医薬品は、医師の処方箋を必要とする「医療用医薬品」と市販の「一般用医薬品(OTC医薬品)」などに分類される。化粧品・トイレタリー業界は、メーカー以外にドラッグストアなどの流通系企業がオリジナルブランドを手がけるケースもある。
注目データ
化粧品の年間出荷額(2019年)
1兆7611億円
内訳上位は化粧水、美容液、ファンデーション。海外やインバウンドの影響を受けつつ、国内でも堅調なジャンルといわれる。(経済産業省)
企業動向
●コロナワクチン・治療薬の競争激化
新薬メーカーの売上高トップは武田薬品工業。2020年3月期決算の売上高は前期比56.9%増の3兆2911億円だった一方、前年に海外製薬大手シャイアーを買収した費用がかさみ、純利益は同67.3%減の442億円だった。時価総額で国内製薬業界のトップに立つ中外製薬は、血友病の新薬「ヘムライブラ」などが好業績を先導している。
新型コロナウイルスのワクチン・治療薬を巡り、国内外の競争が激化している。政府は、感染症に対する医薬品・高度管理医療機器の製造業を「コア業種」に加え、外資による企業買収への規制を強化した。創薬ベンチャーのアンジェスと大阪大は、国内初のワクチンの臨床試験を始め、量産体制の準備を進めている。ロート製薬も幹細胞を使った治験を計画。富士フイルム富山化学は、100カ国近くから提供の要請がきている治療薬候補「アビガン」の海外生産を始める。
●後発薬メーカーのシェア争い続く
国内の新薬メーカーで、売り上げ1位の武田薬品工業に続くのは、大塚ホールディングス、アステラス製薬、第一三共、エーザイ。9位の塩野義製薬は、2020年3月期決算で5年ぶりの減収。今季はインフルエンザの流行が少なく、主力の治療薬「ゾフルーザ」の国内販売が激減したことが要因とされている。
後発薬(ジェネリック)への切り替えも進む。厚労省の調剤医療費の動向調査によると、20年2月の後発薬の数量シェアは80.3%。後発薬メーカーは、18年以降激しいトップ争いが続いている。20年3月期は、エルメッドエーザイを買収した日医工が3期ぶりに首位を奪還したが、沢井製薬も売上高2千億円突破が見込まれている。東和薬品もスペインの製薬会社ペンサを買収し欧米市場へ展開、追い上げる。
トピックス
★国内最高1.7億円、保険適用
乳幼児の難病治療薬「ゾルゲンスマ」の価格が患者1人あたりで約1億6700万円と、国内最高額で保険の適用対象となった。2歳未満の「脊髄性筋萎縮症」の患者に1回点滴する。使用が見込まれる患者は年間25人ほどで、医療費全体への影響はさほど大きくないとされる。ただ、高額薬の登場は今後も見込まれ、健康保険組合には負担になる可能性もある。
★化粧品は「海外」「男性向け」
ポーラは「シワを改善する薬用化粧品」として初めて厚労省の認可を受けた「リンクルショット メディカル セラム」を香港、台湾などで発売。コーセーは、中国向けの越境ECサイトで自社を代表するブランド「雪肌精」を精力的に展開する。富士フイルムは、エイジングケア化粧品シリーズに男性向けの「アスタリフト メン」を加えた。
2024/12/12 更新
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