旅行・ホテル・ブライダル
コロナ、東京五輪延期で大きな打撃
インバウンド依存からの転換を探る
旅行業は海外・国内のパック旅行の主催、乗車船券の手配など、業務範囲の広い順から第1~3種旅行業者、旅行業者代理業者などに分類される。ホテル業界には飲食などを含めたフルサービス型や宿泊特化型などがある。ブライダル業界は婚姻数の減少が課題だ。
注目データ
外国人延べ宿泊者数(2020年5月の速報値)
13万人泊
コロナ禍で前年同月比98.7%の大幅減。19年は通年で延べ1億1566万人が宿泊し、調査開始以降最高を記録していた。(観光庁「宿泊旅行統計調査」)
企業動向
●ツアーやイベントの中止・延期で苦境
本来なら東京五輪・パラリンピックの開催で活気にわくはずだった2020年の旅行・宿泊業界。コロナ禍で一転。国内外のツアーやイベントの中止・延期が相次ぎ、海外の渡航制限が広がり、かつてない困難な局面に立つ。観光庁の調べでは主要旅行業者47社の5月の旅行取扱額は95億円で、前年同月比97.6%の減。日本旅行業協会は20年一年間の国内旅行消費額は前年より約20兆円超減ると推計する。
旅行業界首位のJTBの19年度連結決算は16億円の黒字を計上したが、20年度通期見通しは「未定」。社員約1万3千人の冬の賞与は出さないことで労使が合意している。エイチ・アイ・エス(HIS)は19年11月~20年4月期の純損益が34億円の赤字に転落。国内約260店のうち、3分の1にあたる80~90店を閉鎖していき、年間約200億円のコストを削減する方針だ。近畿日本ツーリストとクラブツーリズムを傘下にもつKNT-CTホールディングス(KNT)は、20年3月期通期が74億円の赤字となった。6月にはホワイト・ベアーファミリー(大阪市)が巨額負債を抱えて倒産。星野リゾートの支援を受けて再生を図る。
●訪日外国人旅行客が落ち込む
宿泊への影響は甚大だ。全国約5万9千施設を対象とした観光庁の調べでは、2020年5月の客室稼働率は12.8%(速報値)で、前年同月比で50㌽以上低くなった。活路を開くために、利用減のホテルをテレワークやシェアオフィスに使ってもらう事業をJTB、ワシントンホテル、ニュー・オータニなどが展開している。
日本政府観光局によると、6月の訪日外国人旅行者(インバウンド)は前年同月比99.9%減の2600人と推計され、4カ月連続で9割超の落ち込みになった。インバウンド依存からの転換が業界に求められる中、政府の観光支援策「Go To トラベル」が7月にスタート。国土交通省が委託先に選んだ「ツーリズム産業共同提案体」は、JTB、KNT、日本旅行、東武トップツアーズ、日本旅行業協会、全国旅行業協会、日本観光振興協会で構成される。
トピックス
★ブライダル業界は婚姻数減少で縮小
ブライダル業界は縮小傾向が続く。厚生労働省のまとめでは、2018年の婚姻件数は58万6481組で、前年より2万471組減少。人口減や初婚年齢の上昇に加え、結婚式を挙げなかったり少人数婚にしたりするケースが増えた。矢野経済研究所は20年のブライダル関連市場規模を前年比5.7%減の2兆2400億円と予測。コロナ禍により、挙式披露宴の延期やキャンセルが続き、夏以降の予約や見学も大きく減少している。
2024/11/21 更新
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