鉄鋼・金属・ゴム・ガラス・セラミックス・セメント
逆風の中、海外に活路を模索
現地大手企業買収や鉱山操業再開
鉄鋼市場は世界生産の半分強を占める中国の需要に左右されやすく、コロナ禍に加えて、米中貿易摩擦が懸念されている。非鉄金属にはアルミニウムや銅、亜鉛などがあり、自動車や航空機、電機関連の部品に使われるが原料の鉱石は輸入に頼る。
注目データ
世界の粗鋼生産量(2019年)
18億6990万トン
前年比3%増で3年連続で過去最高を更新。国・地域別シェアは中国が53%で首位。インドが2位。3位の日本は10年ぶりに1億㌧を割り込んだ。(世界鉄鋼協会)
企業動向
●日鉄ショック、厳冬の鉄鋼業界
鉄鋼業界はかつてない逆風下にある。原材料価格の高騰、中国勢の過剰生産による市況悪化などの痛手を被っており、国内最大手の日本製鉄(日鉄)は2020年2月、呉製鉄所閉鎖や和歌山製鉄所一部休止を決め、グループ全体の粗鋼生産能力の1割(年間500万㌧)を削減するという大リストラに踏み切った。大手3社の20年3月期決算の純損益はいずれも巨額赤字を計上し、日鉄が4315億円(前期は2511億円の黒字)と過去最大の赤字、JFEホールディングスも1977億円の赤字、神戸製鋼所も680億円の赤字へと転落した。
コロナが業界の苦境をさらに深めている。自動車需要の低迷で高炉の操業停止が相次ぎ、大手は大量の従業員の一時帰休を実施。「厳冬期」のただ中、コロナ収束後の経営環境の見極めが急がれる。日鉄は海外での鋼材生産に活路を見いだそうとしている。インドでは19年、地元大手エッサール・スチールの買収を終えた。世界最大手の欧州アルセロール・ミッタルと組んだ買収の総額は5千億㍓(約7700億円)で日鉄はうち4割を出す。
●非鉄は回復傾向も
非鉄金属は景気に敏感な業界とされる。世界各国が経済活動を再開するようになった6月に入って、国際相場がコロナ前の水準に回復したとの見方がある。銅は住友金属鉱山がチリのケブラダ・ブランカ鉱山などの権益を保有し、JX金属もチリのカセロネス鉱山を運営する。亜鉛は三井金属鉱業がペルーのワンサラ鉱山とパルカ鉱山の操業を再開し、DOWAホールディングスはメキシコのロス・ガトス鉱山の権益を保有する。アルミはUACJが自動車用パネル材の国内工場を増やしている。
トピックス
★住友電工、欧州で送電インフラ事業
電線メーカー大手の住友電気工業は、欧州向けの直流送電ケーブル事業を進めている。ドイツの送電事業社からは600億円で受注。ドイツでは再生可能エネルギー政策として洋上風力電源の開発が進む一方で、送電網の弱さが問題となっており、今回、約300㌔の地中送電線を2023年から建設する計画だ。他の欧州諸国での受注も見込む。★日本板硝子が「抗ウイルスガラス」ついたて
板ガラス世界トップ級の日本板硝子は、ガラス製品「ウイルスクリーン」を使った簡易ついたてキットを開発し、発売する。東大との共同研究で銅系化合物と酸化チタン光触媒膜を組み合わせたガラス製品で、付着したウイルスの活性を抑える効果があるという。スーパーやコンビニのレジカウンターでの利用を想定している。2024/11/23 更新
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