電気機器・精密機器
パソコン出荷、大きく伸長
進化する家電へ力そそぐ
電機産業が扱う製品は、冷蔵庫などの「白物家電」、AV機器などの 「黒物家電」、産業用モーターなどの「重電」に大別され、総合電機メーカーはすべての事業を展開している。精密機器分野は、複合機、電子、光学などに分化している。
注目データ
2019年度の重電機器受注額
1兆7723億円
前年同期比6.4%増。内需は1兆3329億円で同9.2%増。製造業は前年並みだが、非製造業、官公需が増加となった。(日本電機工業会)
企業動向
●PC、「テレワーク特需」に期待
MM総研によると、2019年度の国内パソコン(PC)出荷台数は1530万4000台で前年度比29.3%の増。ウィンドウズ10搭載機への更新需要が大きく、メーカー別では首位がNECレノボで、日本HP、デル(現デル・テクノロジーズ)、富士通と続いた。タブレット端末の国内出荷台数は707万台(前年度比10.4%減)にとどまった。国内シェアはアップルが半数を握って10年連続の首位。PC・タブレット端末市場は全体的に減少しているが、コロナ下におけるテレワークやリモート学習の広がりや、小中学生に1人1台の端末を配備する国の「GIGAスクール構想」に期待がかかる。
●IoT、5Gへ熱視線
IoTや次世代通信規格5Gが注目される。パナソニックはIoTの家電や自動車が普及している中国のソフトウェア開発態勢を強化する。半導体市場では、5Gの普及から、データセンターやスマホ向けメモリーなどの伸びが見込まれる。世界半導体市場統計は、2020年の市場規模が前年比3.3%増の約46兆円になると予想。半導体製造装置メーカー大手東京エレクトロンの21年3月期の連結純利益は前期比11%増の2050億円になる見通しだ。三菱電機は電動化が進む自動車業界や省エネ家電向けに需要拡大が見込まれる「パワー半導体」の工場を新設する。
●家電事業立て直しも
コロナ禍により工場や店舗が休業し、家電出荷が冷え込んだ。ソニーの2020年3月期決算は純利益が前年比36.5%減の5821億円で減収減益となり、家電事業の立て直しを進める。社会インフラなどへかじを切る電機最大手の日立製作所は、同年3月期決算は純利益が前年比6割減となった。ITなどの成長事業への投資を見直す方針だ。4K・8Kなどの高画質テレビは、東京五輪が延期になったものの、コロナ下での巣ごもり需要から売れ行きがいいとの声がある。
トピックス
★オリンパスがカメラ事業売却
オリンパスは、80年以上の歴史を持つカメラ事業を投資ファンドの日本産業パートナーズに売却する。ミラーレスデジタルカメラ「OM-D」「PEN」シリーズが人気を集めたが、カメラ市場が縮小し、2020年3月期まで3年連続で赤字を計上した。今後は成長の見込める医療機器事業などに集中するという。
★高級機、小容量化が存在感を示す調理家電
調理家電では、バルミューダが2015年に発売した高級トースターを皮切りに、高級機の発売が続く。小容量化も目立つ。シャープの自動調理鍋「ヘルシオ ホットクック」には1~2人世帯が使いやすい容量1リットルタイプがある。象印は「圧力IH炊飯ジャー 炎舞炊き」の4合炊きモデルを発売している。
2024/12/12 更新
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