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信販・クレジット・その他金融

膨らむスマホ決済、広がる提携
キャッシュレス社会が本格化へ


 クレジット会社、信販会社、リース会社、消費者金融は「ノンバンク」と総称される。キャッシュレスやネット通販が拡大し、さらにコロナ下における店頭支払い方法の変化も手伝い、カード決済やスマートフォン決済の機会はますます増えている。
 

注目データ


クレジットカード信用供与額(2019年)
73兆4311億円


消費者がカードショッピングをした金額のことで、市場規模をみる代表的指標。前年比10.1%増で、初めて70兆円を超えた。(日本クレジット協会

 

企業動向

●競争激化するキャッシュレス決済

 キャッシュレス決済が急激に普及している。経済産業省によると、2019年の民間消費におけるキャッシュレス決済比率は過去最高の26.8%(81兆9千億円)になった。クレジットカードが最も多く、決済全体の24.0%を占めた。カード大手には、JCB、三井住友カード、三菱UFJニコス、クレディセゾン、楽天カードなどがある。日本クレジット協会によると、19年3月末のカード発行枚数は2億8394万枚で前年比2.0%増えた。
 キャッシュレスでは、QR・バーコード、電子マネーなど新しい決済方法が増え、競争が激しくなっている。クレジット会社ではデータビジネスを新たな収益源とする動きが目立ち始めた。大手の三井住友カードは決済データを分析し、統計データにして加盟店へ有料で提供するサービス「Custella(カステラ)」を始めた。顧客の年代や居住地、購買時間帯、どんな業種の店で買ったかなどの保有データを生かす。JCBも決済データを分析し、消費動向を統計化して販売している。

●勢い増すフィンテック企業

 「○○ペイ」と呼ばれるスマートフォン決済が普及し、通信系とIT系の会社提携が広がっている。NTTドコモとフリマアプリのメルカリは2020年2月、スマホ決済やポイントで業務提携した。
 PayPay(ペイペイ)を展開するソフトバンクグループのZホールディングス(旧ヤフー)とLINE Payを展開するLINEは21年3月ごろに統合すると発表。KDDI(au)も、ポイントをローソンなどで使われるPontaに統合した。支払い方法を押さえる通信会社系の「ペイ」の登録者数は、ここ数年間で数千万人に急増している。
 スマホ決済事業者ばかりでなく、金融と最新のITを融合した「フィンテック」企業の勢いは増しており、給与振込口座の取り込みや融資ビジネスなど、従来の銀行業務に入り込んでいる。

 

トピックス

★JPQR、マイナポイント、政府が施策次々

 政府がキャッシュレス普及の施策を次々と放っている。複数のスマホ決済事業者に対応する統一QRコード「JPQR」や、マイナンバーカードを持つ人に最大5千円分のポイントを配る「マイナポイント」などを2020年度から本格的に導入する。19年の消費増税に合わせて進められた、キャッシュレス決済時のポイント還元制度では、対象となる中小店舗の6割にあたる115万店が登録するなど一定の成果があった。同制度は6月で終了し、キャッシュレス各社は、マイナポイントを新たな顧客獲得のきっかけにしようと、独自の上乗せ還元を打ち出している。