業界MAP

生保・損保

多様なリスクに備える商品を開発
対面からオンライン契約へ動き


 保険会社は、保険契約者から保険料を集め、契約者が死亡したり事故に遭ったりした時に保険金を支払う。突然の災難に遭った人や企業を、金銭面で支援する役割を持つ。生命保険、損害保険(火災保険、自動車保険など)の他にも、ユニークな商品がある。
 

注目データ


個人保険の保有契約件数(2019年度末)
1億8748万件


42社の合計。前年度比3.4%増で、12年連続の増加となった。保有契約高は829兆9003億円と、同2.2%の減少だった。(生命保険協会)

 

企業動向

生保商品のニーズは多様化

 国内生命保険大手9社の2020年3月期決算は、海外の金利低下で外貨建て保険の販売が低迷し、保険料等収入は6社で前期より減少した。
 少子高齢化や人口減により将来的な伸びが危ぶまれる中、医療や年金、介護など生前給付型の商品への需要が高まっている。近年は運動を続けたり、健康診断の結果が改善したりすると保険料の割引やキャッシュバックが受けられる「健康増進型」も人気を集め、ニーズは多様化している。
 コロナが業界を揺さぶっている。対面営業という生保の伝統的なスタイルが変わりつつある。訪問活動の自粛を余儀なくされ、感染リスクを避けるために対面を望まない顧客も多い。約23万人の営業職員を抱える業界への影響は大きい。第一生命はオンラインで保険の営業から申し込み受け付けまでできるしくみを導入する。業務用スマホを約40億円かけて営業職員約4万人に順次配布。ビデオ通話や通信アプリLINEのメッセージを使って顧客へ説明し、全商品を専用ウェブサイトで申し込み可能にする。明治安田生命は保険の申し込み手続きができるスマホアプリを21年4月に導入予定。ただ、商品の詳しい説明などは原則、営業職員の対面営業を想定している。外資系のプルデンシャル生命、住友生命などもオンライン活用策を探る。

損保は自動車保険から「新種保険」へシフト

 国内損保事業による保険料の約6割は、自動車保険と自賠責保険が占めるが、車を持たない人が増え、今後は収入減が見込まれる。損保各社は新たなリスクを補償する「新種保険」の開発に力を入れている。東京海上日動は、サイバー攻撃による被害を補償する「サイバーリスク保険」、会社役員が訴えられた場合などに備える「会社役員賠償責任保険」などを販売している。
 

トピックス

日本生命が糖尿病予防サービス

 日本生命は、医療保険の負担に悩む企業や自治体向けに「糖尿病予防プログラム」を2020年から本格展開している。体に付けたセンサーでデータを集め、それをもとに日本生命病院(大阪市)などの保健師からメールや電話で指導を受ける。大手生保が疾病予防のような金融以外の商品を扱うのは珍しい。

損保ジャパン、電話対応にAI導入 

 損保ジャパンは災害時の保険請求などの電話受け付けで、人工知能(AI)を使って自動応答するシステムを導入する。顧客が自動案内に従って名前や被災の状況を吹き込むと、伝えた内容が自動で音声認識され、顧客の待ち時間を減らせ、素早い保険金支払いにつながる。