業界MAP

建設・住宅

新興国での受注増やす大手ゼネコン
IoT活用する家の開発活発化


 建設業の大半は中小・零細業者で、ゼネコンを頂点に重層的なピラミッド構造となっている。大林組、鹿島建設、清水建設、大成建設、竹中工務店の大手5社はスーパーゼネコンと呼ばれる。住宅業界は大和ハウス工業と積水ハウスが2強だ。
 

注目データ


建設投資(2020年度)
59兆7100億円



 前年度比3.4%減。新型コロナウイルスの感染拡大で厳しい状況。実体経済の落ち込みで、民間建設投資の減少が懸念される。(建設経済研究所の見通し)

 

企業動向

●コロナ禍で工事が次々と中断

 建設業界は震災復興や東京五輪の事業などで好景気が続いたが、コロナ禍のダメージは大きく、多くの工事が一時中断を余儀なくされた。2020年度当初の景気は厳しく、建設経済研究所の7月末の分析では、民間の住宅投資は前年度比10.2%減、非住宅建設投資は同4.7%減の予想で先行きは見通せない。
 大手ゼネコンは、インフラ整備が進む新興国を軸に、海外での受注拡大、省エネなどを売りにした高付加価値プロジェクトを進める。大成建設は20年、スリランカで進められているバンダラナイケ国際空港の旅客ターミナルビル建設工事を工事価格620億円で受注した。清水建設もフィリピンの首都マニラで地下鉄とバイパスの建設工事を相次ぎ受注。他社との共同受注で、同社は18年度の海外受注額の約9割となる600億円超を得る。

 

●防災をアピールする次世代住宅も

 2019年度の住宅着工戸数は88万戸で、14年度以来の90万戸割れとなった。コロナ禍により、20年度の水準はさらに下回る見込み。住宅産業は人口減少で市場規模が縮小しており、40年度には41万戸に半減するという予測もある。
 住宅設備や家電に通信機能を持たせる「IoT(モノのインターネット)」などの新技術に対応した動きが活発化し、業界再編の呼び水になる可能性もある。旭化成ホームズは住宅の防災力を強化するため、エネルギー管理システム「HEMS」の機能を生かして災害対策をサポートする。積水ハウスは心拍数など住人の「生体データ」をセンサーで見守り、自宅で急に倒れてしまった場合に119番通報する「スマートホーム」のサービスを独自開発。大和ハウス工業は注文住宅にGoogle Homeを導入した「ダイワコネクト」を販売する。

 

トピックス

★在宅勤務向け新築・改装プラン

 在宅勤務に対応した家づくりの提案、商品開発が活発化している。ミサワホームや大和ハウス工業は、在宅リモートワークを想定した個室や作業スペースを備えた新築住宅プランを提供し、住宅リフォーム専門会社でSOMPOホールディングスのグループ会社であるフレッシュハウスなどが改装プランを打ち立てている。

★トヨタ×パナソニックの街づくり

 トヨタ自動車とパナソニックは住宅事業を統合し、IoTに対応する街づくりを手がける新会社「プライム ライフ テクノロジーズ」を2020年に設立した。通信機能などを備えたトヨタのコネクティッドカーや、パナソニックの家電などの技術を持ち寄る。陣営の年間の戸建て住宅供給戸数は国内トップ級の約1万7千戸となる。