業界MAP

フードサービス・給食

好調な外食産業、コロナ禍で暗転
人材開拓で新機軸、海外進出も探る


 外食産業は多様だ。ファストフードからレストラン、すしや居酒屋など業態は幅広いし、企業や学校の食堂、病院の給食もある。この業界はとりわけコロナ禍の影響が大きい。そもそもデフレ傾向で、生産性が低いといった従来の課題もある中、どう巻き返すか。

 

注目データ


国内外食産業の市場規模(2019年)
26兆439億円


 日本フードサービス協会発表の推計。うち飲食店は14兆5441億円。これとは別に喫茶店や居酒屋、料亭、バーなど「料飲主体」の部門は4兆9918億円。


企業動向

●2019年は5年連続で売り上げ増

 外食産業大手はコロナ禍の前まで堅調だった。日本マクドナルドホールディングスは2019年12月期決算の売上高2817億円が前期比3.5%増。営業利益は280億円で同11.9%増だった。回転ずしチェーンのスシローグローバルホールディングスも19年9月期決算が売上収益1990億円、前期比13.8%増だった。日本フードサービス協会「外食産業市場動向調査」によると、19年は外食全体の売り上げが前年比101.9%で、5年続けて前年を上回った。ただし消費増税などの影響もあってか、10~12月の伸び率は小さく、前年同期比0.4%増だった。

●ファストフードが踏ん張る

 そして2020年。同協会の調査では、1月の外食の売り上げは前年同月比101.9%、2月も同104.8%だったが、コロナ禍で外出などの自粛要請が広がった3月は同82.7%に。減少幅は東日本大震災の時を超え、4月はさらに同60.4%までダウン。緊急事態宣言が順次解除された5月に同67.8%まで持ち直した。
 この5月、業態別では、持ち帰りが出来るファストフードの売り上げは前年同月比90.7%と踏ん張った。ファミリーレストランが同50.6%。居酒屋は同11.5%、パブ・ビアホールは同4.1%にまで落ち込んだ。
 外食チェーンには大量閉店の動きがある。ファミレスを全国展開するジョイフルが約200店を順次閉めると発表し、居酒屋「甘太郎」などのコロワイドは196店の撤退を明らかにした。吉野家ホールディングスは国内外で最大150店を21年2月までに閉めるという。消費者が宅配や持ち帰りになじみ、テレワークが増えて街の人出も減り、客足が見通せない。

 

トピックス

★モス、ベトナムで人材育成・採用の計画

 モスフードサービスは2019年10月、日本の在留資格「特定技能」を生かし、ベトナムの人材を育て、採用する計画を発表した。現地の観光短大と提携し、希望する学生が、日本の外食店で働くのに必要な知識や技能を学ぶ。その後、「特定技能」の「外食業」の試験に合格したら、来日してモスバーガーなどのグループ店舗で就労。最長5年の特定技能ビザの終了後、帰国すれば、アジア展開するモスバーガーで働く機会もある-という構想だ。23年までに350人の採用を想定。モスバーガーは海外9カ国・地域に394店舗を持つ(20年3月末時点)。

★くら寿司、年収1000万円で新卒募集

 回転ずし大手のくら寿司が、昨年も話題になった「エグゼクティブ新卒採用」枠で2020年も5人募集した。TOEIC800点以上、簿記3級以上が必須で、年収は1000万円だという。海外進出と経営戦略立案に意欲がある人材を求めている。