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銀行・信金

業務量削減を計画するメガバンク
IT企業と組みデジタルシフトも


 銀行は預かったお金を貸し出し、金利の差(利ざや)から主な収益を得る。三菱UFJ、みずほ、三井住友が3大メガバンクで、グローバルなビジネス展開を図る。各都道府県には多数の地方銀行があり、信用金庫や信用組合は地元企業や個人との関係が深い。
 

注目データ


家計の金融資産の残高(2020年3月末)
1845兆円


内訳は、現金・預金が半分以上を占める1000兆円で前年同月比2.1%の増加。投資信託や株式等が下がり、全体では0.5%減少した。(日本銀行)

 

企業動向

●大手銀、先行き厳しい見通し

 大手銀行7グループの2020年3月期決算は、純利益が6グループで減った。全体で約2.1兆円と11年3月期以来、9年ぶりの低水準。コロナ禍による株価低迷や、貸出先の倒産に備える費用増が響いた。21年3月期も4グループが減益の見通しだ。
 純利益が最も大きく落ち込んだのは三菱UFJフィナンシャルグループ(FG)。前期より約4割減り、11年3月期以来の低水準だ。子会社の海外銀行の株価下落などで2300億円ほど利益が押し下げられた。三井住友FGが初めて純利益で三菱UFJFGを抜き、トップに。りそな、三井住友トラスト、新生、あおぞらの各グループも減益。みずほFGは前期に約5千億円の特別損失を計上した反動もあり、唯一増益だった。
 先行きも厳しい見通しで、21年3月期の引当金などの費用は公表した5グループで計1兆1800億円。各グループともコスト削減が課題で、人員削減を進める。三井住友FGは、デジタル化などで今後3年間に約8千人分の業務量を減らす。みずほFGは26年度までに16年度末より約1万9千人減らす方針。三菱UFJFGも23年度に17年度比で1万人分の業務量減をめざす。

 

●融資や決済分野で新サービス

 IT企業が金融サービスに相次いで参入して攻勢をかけている。銀行グループは、デジタル事業への参入を加速化。融資や決済分野でIT企業と共同開発による新サービスを次々と打ち出している。みずほFGは無料通信アプリ大手LINEと新銀行「LINEBank」の設立を準備中だ。政府は、金融とITを融合させた「フィンテック企業」などに銀行グループが出資しやすくなるように、2021年にも銀行法改正案を提出する方針だ。
 

トピックス

★地方銀行の連合構想

 人口減と日本銀行の金融緩和による超低金利で、地方銀行は経営に苦しむ。ネット金融大手SBIホールディングスは「地銀連合構想」を掲げ、2019年9月以降、島根銀行、福島銀行、筑邦銀行(福岡)、清水銀行(静岡)と立て続けに資本業務提携し、これらの地銀に出資する持ち株会社を設置。地銀やその顧客企業の業務のデジタル化をすすめるなどして、経営再生を図る。20年中に10行まで提携先を広げる方針だ。三井住友FGとも提携し、デジタル分野を中心に金融サービス提供を考える。
 地方銀行の経営統合は活発化している。18年には四つの経営統合があり、19年もふくおかFG(福岡)が十八銀行(長崎)を傘下におさめ、21年には三十三FGの三重銀行と第三銀行(いずれも三重)が合併する予定だ。