IT・ソフトウェア
プラットフォーマー、主導権を競う
進展するクラウドサービス
インターネットに関連したビジネスは多彩で、広範な業種を巻き込んで発展を続ける。事業の規模や形態は幅広く、最新の動向から目が離せない。ITでさまざまなビジネスを支えるのが、ソフトウェアや情報処理の業界だ。人材不足の解消が課題でもある。
注目データ
ソフトウェア業の年間売上高(2018年)
18兆6070億円
事業所数は2万6439、従業者数は82万1993人で、対事業所のサービス業では突出。(総務省・経済産業省の19年経済構造実態調査報告書 二次集計結果【乙調査編】所収の推計値)
企業動向
●IT大手、キャッシュレスで囲い込み
ポータルのヤフーを展開するZホールディングスは2019年11月、メッセージアプリのLINEとの経営統合を発表。コロナ禍の影響で計画が遅れたが、21年3月ごろ実現する見通し。オフィス用品大手アスクル、前澤友作氏が創業したファッション通販ZOZOなど有力企業を傘下に収めてきたソフトバンクグループが、また一つ、大きな手を打った。
国内IT大手はプラットフォーマーとしてサービス基盤の強化に励み、競っている。基盤の一つの電子商取引はアマゾンジャパン、楽天、ヤフーが3強で、フリマアプリのメルカリも事業を拡大。PayPay、楽天ペイ、メルペイなど、スマホを使うキャッシュレス決済の展開は、各社の囲い込みの象徴だ。20年6月までの国のポイント還元策もあって、普及が進む。
●新発想で急成長のサービスも
ユニークなサービスや業態が次々誕生するのがネット業界の特徴だ。広告のサイバーエージェント、スマホゲーム運営のディー・エヌ・エー(DeNA)やグリー、経路検索アプリのナビタイムジャパン、比較サイトのカカクコム、食品宅配のオイシックス・ラ・大地など、新発想を事業化して急成長した企業は多い。
●国内クラウド市場、米国勢に加え中国も
企業から政府機関まで、サーバーを自前で持たず、ネットを通じてデータやソフトを引き出して使う、クラウドサービスの活用が広がる。2019年時点で一部でも利用する企業は64.7%(総務省の20年版情報通信白書)。日本ではアマゾン、マイクロソフト、IBM、グーグルなどの米IT大手がリードし、中国のアリババ、さらにテンセントも参入した。
一方、20年には富士通、NTTデータ、NECといった国内大手が、政府や自治体が求める安全性などの基準に対応したクラウドサービスの提供の開始を相次いで発表した。
トピックス
★GAFAにデジタル課税の流れ
経済協力開発機構(OECD)で2020年末を目標に、巨大IT4社GAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)を念頭に置くデジタル課税のルール作りが進む。各社の拠点は無いが、消費者がいる「市場国」が、適切に課税できるようにしようという発想に基づく。巨大ITはコロナ禍の巣ごもり効果で、さらに躍進。アップルは20年4~6月期の売上高が過去最高、アマゾンは前年同期比で4割増だった。
★テレワークでZoomに脚光
テレワークの増加で一気に普及したオンライン会議サービスZoom。中国出身のエンジニアが米国で起業、開発した。1日の利用者が2019年末時点の約1千万人から、コロナ禍で急速に億単位に拡大した。
2024/09/17 更新
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