業界MAP

情報・調査・コンサルティング

経営やITに関わる分析や提案
デジタル化へのシフトに注力


 情報・調査業界は、企業や官公庁からの依頼を受けて、情報収集や調査サービスを提供し、情報の分析や、結果を踏まえた提案も行う。コンサルティング業は経営戦略などに関わるビジネスコンサルティング、システムを構築するITコンサルティングに分かれる。
 

注目データ


国内コンサルティングサービスの市場規模(2019年)
8217億円


DX(デジタルトランスフォーメーション)への取り組みが需要を底上げし、前年比7.3%増の高成長。24年には1兆円に達すると予測される。(IDC Japan)

 

企業動向

●活発化するDXへの取り組みに商機

 コンサルティング業は主に、経営陣に戦略面でコンサルティングを行う「戦略系」、企業の業務プロセスやオペレーションの改善を行う「業務・IT系」、マネジメントコンサルティングやリサーチ業務などを行う「シンクタンク系」などが挙げられる。野村総合研究所や三菱総合研究所など日本勢に加え、マッキンゼー・アンド・カンパニー、アクセンチュア、PwCジャパンなど、欧米のコンサルティングファームも多数進出している。
 今後、需要拡大が期待されるのが企業のDXへの取り組みだ。デジタル技術を活用したビジネスモデルの再構築や組織・人材育成の変革に重要だが、企業内にはDXを担う人材が不足しており、主要ファームではDX支援に向けた人材強化に力を入れている。NTTデータではマイクロソフトと協業して技術やサービスを拡張すると同時に、自社内のデジタル人材育成にも取り組む。野村総合研究所では、DX促進のためのクラウドサービス「atlax」の提供を2020年から開始。年度末までに20社の導入を目指している。

●成長続くネットリサーチ企業

 短期間かつ低価格で、より多くの人に調査ができる、インターネットリサーチ企業の成長も目立つ。日本マーケティング・リサーチ協会によると、2018年度の日本の市場調査業界の市場規模は2190億円。中でもインターネット調査の売上高は前年比4.9%増の705億円で既存手法を上回り、市場の3割を超える。過去5年間の推移でも右肩上がりが続いた。
 日本のオンライン・マーケティング・リサーチ市場で高いシェアをもつマクロミルも増収が続き、19年6月期の売上収益は前期比10.6%増の443億円だった。しかし、20年6月期の連結業績予想での売上収益は400億円で、コロナ禍でリサーチ案件の中止や延期の影響が出ていることがうかがわれる。

 

トピックス

★福島県会津若松市の拠点で実証実験重ねる

 アクセンチュアは2019年、福島県会津若松市にあるアクセンチュア・イノベーションセンター福島を、同市内に新設された「スマートシティAiCT」に移転・拡充した。市民生活の利便性を高めるシステムやサービスを会津大などと共同研究・開発。市民約12万人を対象に実証実験を重ねている。

★富士通がDX支援専門の新会社を設立

 富士通は2020年1月、顧客企業のDX促進を専門に支援する新会社「リッジラインズ」を設立した。各業界に精通した専門コンサルタントらでチームを構成し、システム設計、開発プランの提案、運用支援などを行っていく。将来的には富士通グループ以外の情報通信企業などとの提携も視野に入れているという。