スーパー・流通・百貨店
電子商取引(EC)で店頭売り上げ減カバー
コンビニ大量出店曲がり角
流通業界は百貨店、スーパーマーケット、コンビニエンスストアのほか、家電量販店やドラッグストアなど専門量販店の業態に大きく分けられる。近年は消費者の節約志向が根強く、ECサイトの台頭などもあって、厳しい競争が繰り広げられている。
注目データ
小売業販売額(2019年)
145兆470億円
前年比0.1%増。ドラッグストアなど医薬品・化粧品が好調。百貨店・スーパーを含む各種商品小売業は5年連続で減少した。(経済産業省「商業動態統計」)
企業動向
●売り上げ低迷の百貨店、ECに商機
日本百貨店協会によると、2019年の売上高は前年比1.4%減の5兆7547億円となり、前年割れが続く。コロナ禍が追い打ちをかけ、緊急事態宣言下の4月の売上高は前年同期比72.8%減と、統計がある1965年以降、最大の落ち込み幅を記録した。臨時休業を余儀なくされたうえ、インバウンド(訪日観光客)の激減などが響いた。5月末の宣言解除後は全館営業再開となり、徐々に業績が持ち直している。
コロナ下でEC事業が急進し、商品によっては店頭の売り上げ減をカバーした。三越伊勢丹ホールディングスは6月に、自社サイト・アプリを刷新し、10万もの売れ筋商品を展開している。販売員がチャットで接客するサービスも試行する。高島屋は19年3月にEC事業部を設置し、オンラインショップの体制を強化している。
●量より質、時短…コンビニ改革進行中
日本フランチャイズチェーン協会によると、2019年の主要コンビニ7社の売上高は全店ベースで11兆1608億円と、前年比1.7%の伸びとなっている。店舗数は20年6月現在で5万5782店に上り、もはや「買い物の場」としてだけでなく、災害時の物資供給、防犯や地域見守りなど社会インフラとしての機能が広がる。大手3社は「量より質」へシフトし、セブン&アイ・ホールディングスは、傘下の約1千店を閉鎖か移転する方針を19年10月に示した。ファミリーマート、ローソンも大量出店を見直す。
24時間営業や食品廃棄、収納代行サービスの手数料の低さなどを巡って、コンビニ本部と加盟店の対立が表面化した。国が仲介する形で、時短営業や消費期限が迫った商品の値引きなどを推奨し、コンビニ改革が進んでいる。
トピックス
★ネットスーパーが盛況
コロナ下でネットスーパーの需要が急増している。イオンはネット注文商品をドライブスルーで受け取れるサービスを約50店に拡大した。ネット注文分の売上高が前年同月比6割増になった店舗もある。イトーヨーカ堂は、冷蔵、冷凍、常温に対応する受け取り用ロッカーを街中に設置した。ライフコーポレーションはアマゾンジャパンと共同で配送サービスをする。
★セブン、米コンビニ買収
セブン&アイ・ホールディングスは、米国のコンビニ業界3位の「スピードウェイ」を210億㌦(約2兆2千億円)で2021年3月までに買収すると発表した。米国の店舗数は計約1万3千店となり、首位の座を固める。日本国内では今後、大きな成長が見込めないため、米国に注力する。ただグループ最大の巨額買収となり、財務負担には懸念もある。
2024/11/23 更新
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