一色清の世の中ウオッチ 略歴

2014年03月06日

走ることで就活を勝ち抜こう (第37回)

体力、精神力、計画性はランニングから

 フルマラソンに本格的に挑戦している人には申し訳ないのですが、3月最初の日曜日、大した練習もしないで10キロレースに参加しました。神奈川県の三浦半島でおこなわれる三浦国際市民マラソンという大会で、終わったあとの飲み会を楽しみに、ここ十数年、毎年参加しています。この日は、冷たい雨が海からの強風にあおられて横なぐりにふりつける悪条件でしたが、ハーフマラソン、10キロ、5キロ、キッズランの4種目に1万人以上の人が参加して、相変わらずの市民マラソンブームの熱気を感じました。
 この大会にフルマラソンはありませんし、都市を駆け抜けるわけでもありません。ごくありふれた地方の大会です。でも、ここ数年はネットでの申し込みがあっという間に埋まり、油断していると参加できなくなります。私も実際、出ようとした10キロに出られず、やむなく定員に達していなかった5キロに出たことがありました。

 今の市民マラソンブームは、2007年に始まった東京マラソンの成功が一つのきっかけになっています。刺激を受けた他の都市も、市民参加型のフルマラソンに続々と乗り出しています。2012年には、大阪、神戸、京都、名古屋で始まり、今年の11月には福岡、来年の3月には横浜でも行われます。市民参加型のフルマラソンは都市のど真ん中の道路を6,7時間も規制する必要があり、警備や物流は大変なのですが、各都市はそれ以上に経済効果が期待できると考えているようです。横浜市では、かかる費用の10倍は経済効果があると見込んでいます。

 都市には経済効果がありますが、走る人にも様々な効用があります。まずは体力の強化であり、健康の増進です。これは誰もが期待するところでしょう。身体だけでなく精神力も強化されます。苦しさを乗り越えて目標を達成するのは、自分の弱い心との戦いです。克己(こっき)という言葉がありますが、まさに走ることは「己に克つ」ための行為です。
 悩みを解消することにもつながります。作家の江上剛さんは、大きな悩みを抱えていたときに走り始め、「マラソンに命を救われました」とアエラ誌で語っていました。走ることで、頭の中がすっきりし、考えが整理され、それまでの悩みが小さなことだったと思えるようになるというのは、私にも経験があります。
 さらに効果を加えると、計画性を身につけることにもつながります。例えば、フルマラソンで5時間を切りたいと思えば、1キロ7分で走り続ければ4時間55分くらいでゴールできる計算になります。となると、時計を見ながら、1キロ7分のペースを守りながら走り続けようとします。また、練習では、ペースと距離と大会までの時間を考えながら、自分で計画を立てることが大切になります。また、毎日走ることが日課になれば、規則正しい生活にもつながります。

 いいことずくめのランニングですが、大会に出て気づくのは、大学生くらいの年齢の参加者が少ないことです。若さゆえに、身体や心の健康にあまり関心が向かないのでしょうか。あるいは、他にすることがたくさんあって、走ることに使う時間がないのでしょうか。でも、就活にうち克つ体力、精神力、計画性を身につけるには、走ることはうってつけです。それに、面接で「毎日走っています」というのも、好感度アップにつながると思います。就活生こそ、走りましょう。