一色清の世の中ウオッチ 略歴

2013年11月28日

「2020年の自分」を描けるか (第24回)

7年間で社会は驚くほど変わる

 2020年、就活生の皆さんは何をしているでしょう。まだ就活しているなんて人はあまりいないと思いますが、働いている自分の具体的な姿を思い描ける人も少ないでしょう。
 2020年といえば、東京オリンピックの開かれる年ですが、最近、それ以外でも「2020年」という年を区切りとした動きがよく伝えられるようになっています。「次世代スパコン 2020年ごろまでの実現目指す」「カジノ 2020年に向けて具体化」「2020年に自動運転のクルマ実用化 日産自動車」「スマートメーター2020年までにすべての利用者に 東京電力」「国際宇宙ステーション終了後の枠組み2020年スタート」「小学校英語の開始時期2020年に5年生から3年生へ」「災害復興博覧会 2020年にJヴィレッジで」「ヤマハ 2020年までに乗用車に参入」などなど。どれも朝日新聞にここ1,2カ月で載った記事です。

 なぜこんなに2020年がターゲットになるのかと言えば、数字としてキリがいいということ、目指すべき近未来として7年後というのはちょうどいい年数であること、それと東京オリンピックにあわせることで目標が分かりやすくなること、などが考えられます。三菱総合研究所は、そうした2020年効果を利用して「2020年をマイルストン(道標)としたあらゆる計画をオール・ジャパンで策定しよう」と提言しています。そうすれば、少なくとも7年間は日本全体が活性化して、ミニ高度成長時代が実現するのではないかという発想だと思います。

 目標を設定すれば強いと言われる日本人には向いている考え方だとは思いますが、問題は、7年後の日本社会の姿を描くのはなかなかに難しいということです。今から7年前の2006年を思い出してみましょう。今、日本で5000万を超すユーザー数のスマートフォンは、まだありませんでした。今では「ガラケー」と言われる携帯電話をみんな使っていたのです。フェイスブックやツイッターも日本では存在を知られていませんでした。アメリカではフェイスブックは2004年、ツイッターは2006年に生まれているのですが、日本語版ができたのはともに2008年ですから、日本ではなかったも同然だったのです。

 テレビだって、様変わりをしています。2006年段階では、日本で見られていたテレビの9割以上がブラウン管テレビでした。今では、ほとんどが薄型の液晶テレビになって、ブラウン管はほとんど見られません。スカイツリーは、2008年着工ですから、影も形もありませんでした。原子力発電は、総発電量の30パーセントを占めていました。今は、ご存じのように発電量ゼロです。

 過去7年を見ても、こんなに世の中は変わっています。こうやって抜き出してみると、思った以上ではありませんか。しかもこの変化のスピードは加速しています。2020年の社会の姿を想像するのが難しいというのは、変化の早さに人間の想像が追いつかないためです。
 それでも、いろいろなシミュレーションとして、2020年に向けた計画を作るのはムダではないでしょう。予測と違うところが出てくれば、柔軟に修正していけばいいのです。若い皆さんにとっては、公私ともにとても変化の早くて激しい7年間になると思います。2020年の「あるべき自分」を思い描きながら、そこに向かう道筋を描いてみてはどうでしょう。その道筋を進むためには今何をしないといけないかが、分かるはずです。

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