6月も中旬になり、「就活を終えました!」という朗報と「…………」という悲報を両方聞くようになりました。たくさん内定を獲得できる学生とできない学生の違いは何か、一番はこれだと思います。
「エントリー社数」
統計をとっているわけではありませんが、6月の選考開始時にすぐ内定を獲得できた学生はおしなべて多くの会社、そして多くの業界にまずエントリーしていました。一方、6月中旬になっても「内定が1社もない……」「1社内定したけどそこは行きたくない……」と言っている学生さんは、そもそも受けている会社数、業界数が少ないのです。
6月上旬、「志望の会社に落ちました……」と真っ青になっていたある女子学生さん。いわゆるMARCHの学生で留学経験もあり、学業にもまじめでエピソードもしっかりしていました。留学経験もあるので海外と関わりが深い金融機関を志望していたのですが、その会社は採用人数がそもそも少なく、落ちてしまったようです。
問題は、それ以外の会社にほとんどエントリーしていなかったことです。3大メガバンクはもちろんその他の銀行、大手生命保険、損害保険、証券会社もほとんどエントリーなし。生命保険の営業職で内定をもらったそうですが、「生保の営業は厳しいらしいし、行きたくないのがホンネです」といいます。
ふ「どうしても金融機関に行きたいの?」
学「と、いうより、海外で働ければと思っていて……」
ふ「だったら、金融にこだわる必要はないのでは? 例えばメーカーだって海外営業ができる学生が欲しいだろうし、ベンチャーだって海外とビジネスしたがってるところもあると思うよ」
学「メーカーって、はあ、なるほど……」
あさがくナビでその学生が留学していた国の名前を入れて検索すると、その国と取引があったり現地法人や工場を置いていたりする会社がずらずらっと出てきます。多くが現在も採用を続けている中堅、中小企業ですが、会社説明を見るとBtoBメーカーで世界シェアトップレベルの製品を作っていたり、創業以来ずっと増収増益を続けているような優良企業も見つけることができました。名前だけは通っている保険会社で営業をやるよりも、自分のやりたいことにより近づけそうな雰囲気がします。
学「まだ終わってないんですね、就活」
一方、先週紹介した2冊のノートで金融機関に内定した女子学生は、メーカーから金融機関まで幅広くエントリーし、途中で「自分はメーカーに興味がない!」ことに気づいて方針転換、内定に到りました。
「ものづくりに興味がなくて、やっぱりお金を通して人とふれあったほうが面白いと感じたんです」
昨年やはりメーカー志望から金融志望に乗り換えて大手信託銀行に進んだ男子学生は、「メーカーはどうしても研究者、技術者が主役の会社。文系である自分が主役になれる業界は金融だ、と感じた」と心変わりの理由を語っています。イヤァオ!でも何回か言っていますが、「この業界は何か違う」「この業界には行きたくない」と感じることは、志望動機を固めるうえで非常に重要な経験。そしてその経験はたくさん業界を見てまわり、エントリーシートや面接に真剣に取り組むことではじめて得られるものなのです。
たくさんエントリーをすれば物理的にも内定獲得の率は高まりますが、自分の中の「志望動機」を強める経験が積めるメリットのほうが大きいです。そして、今年は選考期間が短くなった影響で大手企業が早めに選考を進めた結果、6月以降に学生を採りに行こうとしている中堅・中小企業が例年以上に増えています。現時点で「内定がない……/少ない……」と嘆いている方は、まずここからナビサイトをフル活用してでも最低20社、エントリーしましょう。20社見てまわれば、就職観が変わります。「こんないい会社が残っていたんだ……」という経験は、いま悩んでいる皆さんしか味わえませんよ。業界がよくわからないという人は、下の「なおこの就活道場」バックナンバーを読んで、いまから業界研究をスタートです。