前回に引き続き、就活長者と就活ビンボーさんの差はどこにあるのか、今年の就活を見て気づいた点をお伝えしていきたいと思います。
今回登場するのは2人のマスコミ志望大学生。ともに同じ、いわゆる有名大学の学生(1人はすでに卒業)。Aさん(新卒)は無事某マスコミを含む2社に内定し、Bさん(就活留年)は昨年に引き続いて内定がひとつもありません。
Aさんが内定を決めた2社の面接で一番盛り上がった話題は、自分の趣味の話でした。それも歴史と町歩き(居酒屋巡り)という、仕事とはなんの関係もなさそうなテーマです。歴史についてはサークルにも所属し、個人的に研究を積み重ねてきた話を準備。居酒屋巡りについては知らない町でのれんをくぐる楽しみを熱弁し、テレビ番組「吉田類の酒場放浪記」の魅力について語ったといいます。
「このテーマで盛り上がった会社は内定できた、という感じです」
一方、Bさんは大学時代に政治家のインターンとして長く働いたのですが、エントリーシートや面接ではあまりその話をしませんでした。
「去年、『君は政治にしか興味がないの?』『政治家になればいいじゃない』と言われたことが頭にあって、なるべくインターンの話は表に出さないようにしようと……」
しかしBさん、昨年はいくつか最終面接に残ったのに今年はそこまでも進めませんでした。
「やはりインパクトを残せなかったんでしょうか……」
AさんもBさんも、学生時代にしっかり熱中したネタを1つもっています。それを前面に打ち出したAさんは内定し、引っ込めたBさんは内定できませんでした。
今年の就職活動は例年以上に短期決戦です。そんな中で、面接担当者に自分の存在を意識させるためには、自分が一番打ち込んできたことをはっきり示すことです。「バイトも勉強もサークルもがんばってきた」という総花的な自己PRではそもそも自分の存在を印象づけることはできません。一番がんばってきたこと8割、それ以外のこと2割。これくらいのバランスの自己PRで、はじめて面接担当者の印象に残ることができるのです。
もちろん、自分の打ち込んだ話を一方的に熱く語るだけではただの迷惑な人です(あなたの周りにもいませんか?)。
Aさんが意識したのは趣味を深める過程で何を考え、どう苦労したか、何を頑張ったかを明確に語ることでした。歴史の話だと具体的にどう研究テーマを定めて史料を集めていったのか、具体的な苦労話を語ったそうです。
「自分のやってきたことを、ポイントを絞ってしっかり話せたことが内定につながったと思います」
歴史でも、町歩きでも、アニメ鑑賞でもプロ野球観戦でも何でも構いません。相手に「へぇ~」と言わせるだけの自分なりに積み重ねた苦労話を語れれば、間違いなく相手の印象に残ります(反社会的なネタはもちろんダメですよ)。自分の大学生活、もしくはこれまでの人生で、一番時間を使ったことを考えてください。それがあなたという人間を相手にストレートに印象づける一番の味方になります。
Bさんは「だったら政治家になったらいいじゃん」と面接担当者に言われたことを気にしていますが、この手の質問は、相手の志望動機の深さをはかるためのいわば「常套句」(じょうとうく)です。必ず聞かれると考えて、この問いに対する返答だけは受ける会社ごとにしっかり準備しておくことをお勧めします。