なおこの就活道場 略歴

2016年03月10日

あえて「行きたくない業界」を探そう!(番頭フッキーの「就活イヤァオ!」その22)

 まいど! 「なおこの就活道場」番頭のフッキーです。毎回、就活生の陥りがちな悩みを「イヤァオ!」と一刀両断する言葉をお届けいたします。

 今回登場するのは、就職活動中の都内理系学部に通う女子大生さん。「防災関連の仕事につきたい」と希望し、いまある土木会社の選考が進んでいるところです。一番悩んでいることは「研究室の仕事が忙しくてなかなか就活に割く時間がとれないこと」と、「志望理由をどう話せばいいか」なのだそうです。

 「そこは第1志望の企業なのでがんばりたいのですが……。何を話せばいいのかわかりません」

 彼女としては一番最初に経験する選考で第1志望の企業にあたってしまい、相当に緊張しているようです。何を話せばいいか、いくつか質問してみました。

 ふ「防災関連の仕事がいいというけど、防災グッズを作ったり売っているメーカーに行けばいいんじゃないの?」

 女「そういうグッズは、買った人にしか効果がないですよね。私はできればその地域に住んでいる人全員の役に立つ仕事がしたいんです」

 ふ「公務員になればいいのでは?」

 女「うーん、公務員は防災プランをたてる側であって実際に設計したり作ったりする側ではないですよね。私がやりたいのはそっちではないかなと」

 ふ「院に進んで研究者になれば?」

 女「うーーん……、研究者って最後は1人でやるしかないんですが、私はみんなでやる仕事が好きなんだなと最近気づきました」

 ふ「同業他社は受けないの?」

 女「ほかの会社は『安くていいものを作る』という会社が多いのですが、私の志望する会社は独自の技術を持っていて、そこに惹かれました」

 話を聞いている限り、けっこう志望理由は固まっているじゃないですか。「地域全体に寄与する防災に携わりたい、研究職ではなくチームで成果が出したい、独自の技術を持っている御社に入りたい」ということが言えれば十分でしょう。

 女「こんなのでいいんですか……」

 この学生の結果はこれからですが、正直、現段階で彼女ほど志望理由をきちんと組み立てて考えられている学生は多くないと思います。

 どう組み立てればいいのか。おすすめはこの方法です。

 「行きたくない会社、業界を探していこう!」

 このパターン、「イヤァオ!」の16回目(志望業界と違う会社の説明会に行こう!)でも触れました。就活時には「自分がやりたいことを探そう」という指導を受けることもよくあります。ただ、まだ本格的な仕事をしていない段階で「私がやりたいことはこれ!」というものを見つけるのは、なかなか難しいものです。(見つかっている人は、迷わずその道に進んでください)

 そういう時は逆に考えてみましょう。「この業界は何かイヤだな~」「ここの会社にはちょっと行きたくないな」という業界・会社を探してみるのです。冒頭の彼女は3月の合同説明会で金融系の会社などを見て回り、

 「お金よりもモノづくりにかかわりたいし、営業で順位づけられたりする仕事は性にあっていないと痛感しました」

 と感じたそうです。さらに「大学に残るのが嫌な理由は?」「防災用品メーカーが嫌な理由は」……と考えていくことで、第1志望の企業に対する志望理由がはっきりと浮かび上がってきたわけです。

 「イヤだ」と思う理由はなんでもいいんです。給料が低そうというのでもいいし、若手が活躍できなさそうという理由でもいい。自分がイヤだと思うポイントに気づけばそれを裏返すことで、「なるべく頑張って稼げる業界に行こう!」「若手でもがんばっている中小企業も探してみよう!」とポジティブな業界研究につなげることができます。もちろん、業界研究を進めていくことで最初はイヤだと思っていた業界や会社が「そうでもない!」となる可能性も十分にあるので、食わず嫌いはなるべくしないほうがいいですね。

 1回目の「イヤァオ!」では、「志望理由は(まずは)考えるな!」というお話をしました。就活を始める時点ではまず自分の強み、売りを考えたほうがいいよというイヤァオ!でしたが、面接が本格的に始まりつつある今はそろそろ志望理由を固めたほうがいい時期です。悩んでいる人は「この業界はちょっと違う!」というところを探すために、合同説明会などにたくさん足を運んでみましょう。