10月1日には多くの会社が内定式をしました。ですが4年生のみなさんは、この時期に内定がなくても焦ることはありません。求人を出している会社はまだたくさんありますし、特に今年は金融機関やメーカーが大量採用にふみきったため選考に苦労している中小企業が例年以上に多いようです。あきらめず求人情報をチェックしていきましょう。
今回はこれから就活に挑む3年生向けに、あるバイク販売チェーンのA社に入社を決めた都内中堅私大生、ミシュラン君の話をしたいと思います。もともと大変なバイク好きで8月上旬にA社の内定はすんなりもらえたのですが、9月上旬までは他社の選考も続けていました。
「まわりの学生は結構有名な企業に内定もらっていて、自分もこのままでいいのかな~と。兄に相談したら悔いのないよう就活を続けろと言われたので、やれるだけやってみたいと思います」
そんなことを言っていたミシュラン君ですが、中旬に入るとがらり変貌、「内定をもらったチェーンに行くことにしました!」と言います。声の張りも全然違っています。
ミシュラン君を変えたのは内定者を対象にした数日間のインターンシップ経験でした。実際に店舗に出て先輩社員に混じり、バイクの洗浄から接客、書類の整理まですべての仕事を経験したそうです。客がいない時間には仕事の流れや私生活とのバランス、どうやって昇進しどうなったら本社にあがれるのかといった質問にも答えてくれ、
「ここで仕事するイメージがしっかりつかめました。まだまだ聞きたいこともたくさんあるんで、この先のインターンが楽しみです」
何よりも一番の決め手となったのは、先輩社員の接客ぶりだったそうです。常連のお客さんにしっかり名前を覚えてもらい、バイクを売ったあとのアフターフォローも丁寧に続けている様子をそばでみて、こういう社員になりたいとはっきり思えたとミシュラン君はいいます。
「バイクを売ったらもう終わりということではなく、お客さんと長い信頼関係を築いていけるのが魅力ですね」
はやくも、そのチェーン店のリクルーターのような発言までするようになりました。ここまで思い入れを持てれば、入社後にすぐ退社するようなミスマッチが起こることもきっとないでしょう。
このミシュラン君、春ごろは「OB訪問をしていないし、やり方もわからない」と悩んでいました。OBがみつからないのかといえばそうではなく、キャリアセンターで紹介してくれるというのですが、「何を聞いていいかわからない」とずっともじもじしたままでした。
ですが今は、こんな「イヤァオ!」を言います。
「要は、自分がその会社で仕事をするイメージがわくように質問してればよかったんですね。あのときOB訪問していれば就活もだいぶ変わったでしょうね……」
OB・OG訪問というと一体何をすればいいか、さっぱりイメージがわかない学生も多いのではないでしょうか。ですが、訪問することによる効果は絶大です。そもそも学生は社会人と1対1で話す機会自体ほとんどないと思いますが、OB・OG訪問でそういった機会を増やして場慣れすることにより面接での度胸の付き方ががらりと変わります。
さらに大きな効果がこのミシュラン君の話にもあるような、「会社で働く自分の姿をイメージできること」です。会社のホームページやウェブ上の口コミ情報もある程度は有用ですが、実際に社員の話を聞き、雰囲気を見て、聞きたいことを聞くことで得られる情報はそれより何十倍も役に立ち、会社選びの力になります。ミシュラン君は幸い内定後のインターンでこういう情報に接することができ、迷いなく入社を決めることができたわけです。
また、会社が学生に求める条件はいろいろありますが、多くの人事担当者があげる条件は「うちの会社でこの学生が働いているイメージが湧くこと」です。学生側がそのイメージをしっかり抱けていれば、ほかの学生から一歩進んだアピールをすることができるでしょう。
就活どうしよう……と悩んでいる3年生の皆さんはまず、OB・OG訪問のつてを探すところからはじめてみましょう。もちろん、最近盛況のインターンを使って社員の雰囲気を見るのも有効です。ミシュラン君のような後悔をしないよう、準備はいまからでも早すぎることはありません。焦らずしかし悩まず、「イヤァオ!」と飛び込んでいきましょう。