
最低賃金が大幅に上がりそうです。
厚生労働省の審議会が、最低賃金の全国平均を63円増の1118円とする目安を決めたためです。これは、過去最高の6%の上がり幅となります。都道府県別の最低賃金は秋に決まりますが、今回の目安が適用されるため、アルバイト代なども大幅に上がることになりそうです。
最低賃金が上がる理由は3つあります。ひとつめは、物価高です。物価上昇に見合うレベルで賃金を上げなければ、実質賃金がマイナスになってしまうのです。ふたつめは、政府に財政的な余裕がないことです。最低賃金を負担するのは企業なので、政府の財政出動はありません。財政負担がいらない経済対策になるわけです。そしてみっつめは、外国人労働者に選ばれる国になることです。日本は若者の数が減り、外国人労働者に頼らないと経済が回らなくなっています。ただ、韓国なども同じような状況で、労働者の取り合いになりつつあります。日本の最低賃金は先進国の中ではまだ低いほうで、もっと高くして外国人労働者に来てもらわないといけません。働く人にとって最低賃金が上がるのは喜ばしいことですが、その背景には喜べない現実もあります。(ジャーナリスト・一色清)
(写真・審議会が開かれている厚生労働省の前には、大幅な最低賃金引き上げを求める労働者らが集まった=2025年8月4日、東京・霞が関/朝日新聞社)
★【労働】最低賃金1118円、過去最高63円引き上げ 全都道府県1千円台に(8/4.Mon)
厚生労働省の中央最低賃金審議会は4日、最低賃金(時給)を全国加重平均で63円(6.0%)増の1118円とする目安を決めた。物価高に対応し、過去最高だった昨年の目安の50円(5.0%)を大きく上回り、過去最高の上げ幅となった。審議会の小委員会がこの日開かれ、労使の代表と公益代表の有識者で目安をまとめた。現在の最低賃金は全国の加重平均で1055円。東京都が1163円で最も高く、秋田県が951円と最も低い。目安通りの引き上げとなれば全都道府県で初めて1千円を超えることになる。
★【政治】日本が初の護衛艦輸出 豪州と戦略一致、武器輸出政策の転換点に(8/5.Tue)
豪州政府は5日、豪州海軍が導入を計画している新型艦について、日本が提案する三菱重工業の最新鋭「もがみ」型護衛艦(FFM)を基にした共同開発を採用すると発表した。豪州のマールズ副首相兼国防相が記者会見で明らかにした。日本が護衛艦を輸出するのは初めてで、「初めての大型の装備移転案件」(防衛省幹部)。護衛艦のような殺傷能力の高い大型兵器の輸出は、戦後日本の武器輸出政策をめぐる大きな転換点にもなる。
★【社会】日本人の人口減少、1年で90万人超え過去最大 外国人は35万人増(8/6.Wed)
総務省は6日、今年1月1日時点の住民基本台帳に基づく人口を発表した。日本人の人口は、前年から90万8574人(0.75%)減り1億2065万3227人だった。減少数は調査を始めた1968年以来最大で、初めて90万人を超えた。一方、外国人の人口は前年から35万4089人(10.65%)増え367万7463人。増加数は2013年の調査開始以来最大となった。日本人と外国人を合わせた総数は、前年から55万4485人(0.44%)減の1億2433万690人。加速し続ける日本人の減少を、同じく加速する外国人の増加が補う構図が続いている。
★【スポーツ】広陵、高校野球選手権大会の出場辞退 「暴力の情報、重く受け止め」(8/10.Sun)
第107回全国高校野球選手権大会(朝日新聞社、日本高校野球連盟主催)に出場している広陵高校(広島)は10日、大会の出場を辞退すると発表した。今年3月、日本高校野球連盟から「厳重注意」とされた暴行事案をめぐって、SNS上で批判や誹謗(ひぼう)中傷が殺到していた。同校の堀正和校長は10日、記者団に対し「過去に日本高野連に報告した部員間の暴力を伴う不適切な行為だけでなく、監督やコーチらから暴力や暴言を受けたとする複数の情報がSNSなどで取り上げられた」として、「こうした事態を重く受け止め、本大会への出場を辞退した上で、速やかに指導体制の抜本的な見直しを図ることにした」と述べた。
★【国際】ウクライナ侵攻後初の米ロ首脳会談 停戦へ進展なし、突破口開けず(8/15.Fri)
トランプ米大統領とロシアのプーチン大統領が15日、米アラスカ州アンカレジの米軍基地「エルメンドルフ・リチャードソン統合基地」で会談した。ロシアによるウクライナ侵攻について停戦の合意はできず、具体的な進展を示せないまま終わった。仲介に自信を見せてきたトランプ氏にとっては、事態打開の難しさがあらためて浮き彫りとなった。会談後の共同記者会見でプーチン氏は、ウクライナ問題の解決のためには「根本原因の排除」が必要だという従来の主張を繰り返し、ウクライナの事実上の降伏以外の解決は困難だという姿勢を鮮明にした。さらに、「ウクライナと欧州が、進展を妨げないことを願っている」などと述べ、今後の交渉を米ロ主導で進めたい考えも示した。
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