
この週には、アメリカのメディア業界の大きなニュースがふたつありました。ひとつは、動画配信大手の
ネットフリックスとメディア大手のパラマウント・スカイダンスがメディア大手のワーナー・ブラザース・ディスカバリーの買収をめぐって争い始めたというニュース。もうひとつは、ウォルト・ディズニーが人工知能(
AI)の先頭を走る
オープンAI とライセンス契約を結んだというニュースです。このふたつのニュースの背景には、メディア界の基盤をゆるがしている大きな変化があります。ひとつは、動画を見る道具として放送や映画館に代わって通信が主役になりつつあることです。その象徴的な企業がネットフリックスで、このニュースからはネットフリックスがさらに強大になることを既存のメディア企業が阻止しようとする構図が見えます。トランプ大統領の思惑もそこに加わり、先行きは見通せません。
もうひとつは、メディアとAIの関係です。AIは人間が作ったものをもとにそれらしいものを作り出せますが、その力が高まると人間の役割が小さくなり、独創的なコンテンツも生まれにくくなるとメディアは警戒をしてきました。ディズニーがオープンAIとライセンス契約を結んだというニュースは、AIに対して警戒から活用の段階に移ろうとしていることを示しています。メディア業界の変化は社会の変化と連動しています。こうしたニュースから社会の流れを読み取りましょう。(ジャーナリスト・一色清)
(写真・ネットフリックス社のロゴ=アメリカ・ロサンゼルス/朝日新聞社)
★【社会】青森・震度6強、負傷者51人に 初の後発地震注意情報も(12/8.Mon)
8日午後11時15分ごろ、青森県東方沖を震源とする地震が発生し、同県八戸市で最大震度6強を観測した。気象庁によると、青森県で震度6強を観測したのは1996年10月に観測計を設置して以降初めて。震源の深さは54キロ、地震の規模を示すマグニチュードは7.5と推定される。気象庁と内閣府は9日、続いて起きる可能性のある巨大地震への警戒を求める「北海道・三陸沖後発地震注意情報」を発表した。
★【国際】パラマウントがワーナーに敵対的買収 ネトフリ上回る買収額を提示(12/8.Mon)
米メディア大手パラマウント・スカイダンスは8日、同業の米ワーナー・ブラザース・ディスカバリー(WBD)に対し、敵対的買収を始めると発表した。すでに米動画配信大手のネットフリックスが720億ドル(約11兆2千億円)でワーナーを買収する契約を結んでいるが、より高い額を提示して対抗する。トランプ米大統領が介入する構えを見せており、その判断が大きく影響しそうだ。
★【経済】FRBが3会合連続の利下げ決定、3人反対 来年利下げは1回の予想(12/10.Wed)
米連邦準備制度理事会(FRB)は10日、金融政策を話し合う連邦公開市場委員会(FOMC)で、0.25%幅の利下げを決めた。利下げは9月以来3会合連続で、弱含む雇用を下支えする。ただ、インフレ(物価高)再燃への懸念などから、決定に3人が反対した。来年の利下げも1回のみを見込んでおり、慎重さをにじませた。新たな政策金利は年3.50~3.75%。FRBのパウエル議長は10日の記者会見で、これまでの利下げにより、景気を冷やしも熱しもしない「中立金利」の範囲内に入ったとの認識を示した。
★【国際】ディズニー、オープンAIに1550億円 動画生成でキャラ使用も可(12/11.Thu)
米ウォルト・ディズニーは11日、米オープンAIと3年間のライセンス契約を結んだと発表した。オープンAIの動画生成AI(人工知能)のSNSアプリ「Sora(ソラ)」で、ディズニーやマーベル、ピクサーなど200種類以上のキャラクターを使った動画を生成できるようになる。契約の一環として、ディズニーは、オープンAIに10億ドル(約1550億円)を出資する。生成した一部の動画は、配信サービス「ディズニープラス」で配信する。また、ディズニーの従業員向けにオープンAIの対話型AI「ChatGPT(チャットGPT)」を展開する。
★【経済】日本製鉄、6兆円投資は米国やインド中心に 国内生産規模は維持方針(12/12.Fri)
日本製鉄は12日、2030年度までの中長期経営計画を発表した。国内の鉄需要が低迷する中、海外を中心に今後5年間で設備や事業に約6兆円を投じる。近年、高炉の停止などによって削減を進めてきた国内の生産規模は、現状を維持する方針を示した。約6兆円の投資のうち、約4兆円を海外に振り向ける。中国からの安価な鉄の輸出による影響を受けにくい市場とみて、米国やインドなどに重点を置く。
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