今日は、あるマスコミ志望の学生さんのお話です。いわゆる大手マスコミを目指しているのですが、ESは通過しても面接では思うような結果が出ないことが続いていました。
思い悩む彼女は親戚で研究者のおじさんに相談をします。様々なプレゼンで数々の高評価を得てきたというおじさんのアドバイスはシンプルでした。
「まず発声練習をする。そして、できる社員を演じたらいいんだよ」
たしかにこの学生さん、少し声が小さかったり、話を結論から話し始めない(=長くなる)という傾向がありました。よく話を聞いていくといいことを言っているんですが、面接官にうまく伝わらない危険性も高そうです。
みなさんは面接の前に「発声練習」してますか? ためしにネットで「面接 発声」と検索してみると、「面接の前の日は発声練習にあてていた」「直前はカラオケボックスで発声していた」といった体験談を見ることができます。
面接は短い時間で自分を効果的に売り込むゲームです。そう考えると、自分の言っていることがそもそも相手に伝わっていなければ「致命傷」です。ふだん人前でしゃべることに慣れていない人ならば特に、面接の前に「声をひらく」必要があります。これまでやったことがないよという人、面接の控室でいきなり発声練習するのは単純に迷惑なのでできれば面接に行く前、自室で発声練習をしてみましょう。大声をはりあげる必要はありません。お腹に手をあてて力をいれ、3メートル先の人に声を届かせる意識で「○○○○(名前)です、よろしくお願いします」と何回か発声してみてください。
製品やサービスを会社に売り込みにいったり、お客様に対してサービスの説明をしたり、社内で企画を売り込むためにプレゼンをしたり……社会に出ると、何かをアピールしなければいけない状況は確実に増えます。就活における面接は、すべてその練習だと割り切って挑んでほしいと思います。
発声練習で声をいつもよりも張れるようになると、もう一つの効果が出てきます。「演じる」ことができるようになってくるのです。これも、面接突破には結構大切なポイントです。
「面接で演技していいのか! 就活ではウソをつくなって言ってたじゃないか!(イヤァオ! その2)」というお怒りの声が聞こえてきますが(そこまで熱心に読んでないって?)演技というのはウソをつくことではなく、自分の持っているものをよりうまく伝えることと考えてください。
会社というのは基本的には営利を求めて毎日ミッションをこなしている組織ですから、程度の違いはあれ基本的に欲しいのは前向きに、そして自社を愛してくれる人材です。ESでいいことを書いているのに面接を突破しきれない人は、そこの気持ちが足りないと見抜かれている可能性もありますね。
見抜かれないようにするにはどうしたらいいか? 熱心に前向きにその会社で働いている人材を「演じる」ことです。「いやー、自分はとてもその会社で前向きには働けない……」と考えている人、もう一度真剣に考えてください。よくよく考えてどうしてもそういう自分を演じきれないと思ったら、入社後もミスマッチを感じる可能性が高いですから、面接から撤退するのも一つの選択肢です。
演じようと思えば演じられる! と思ったら、発声練習をしてみましょう。そのあと、面接をシミュレーションしてみてください。内心「そんなに言うほどこの会社に行きたくない」と思っていても、声を張ると、
「いまのところ御社には、行けたら行ってもいいかなくらいには考えています!」とはならず自然と、
「ぜひとも御社で働かせてください!」となります。また、
「御社と同業他社の違いはよくわかりませんが、とりあえずアイウエオ順でエントリーしました!」ではなく、
「御社は同業他社と違い、私の思う仕事ができる環境だと思いました!」みたいな言葉が出てくると思うんですね。これぞ「演技」です。
前出の学生さんはそのアドバイスを守れたからでしょうか、最終面接までは進みましたが残念ながら内定はもらえませんでした。ただ、就活はまだまだ続いています。あなたの就活を変える第一歩は、案外こんなちょっとしたトレーニングからかもしれません。