2025年06月30日

停戦合意、防衛費引き上げ――トランプはアメリカの「王」なのか【週間ニュースまとめ6月23日~29日】

テーマ:週間ニュースまとめ

 アメリカのトランプ大統領が毎週のようにニュースの主役になっています。この週には「イスラエルとイランの停戦が合意された」と自らSNSに投稿し、停戦の立役者となりました。その直後には北大西洋条約機構(NATO)の首脳会議に出席し、トランプ大統領が求める「GDP比5%の防衛費」がすんなりと首脳宣言に採択されました。トランプ関税とよばれる高関税を逃れるための交渉には、世界各国の交渉担当者が「アメリカ詣で」を繰り返しています。世界最強の軍隊を持ち、世界最大の経済力を持つアメリカの「王様」に世界がひれ伏しているような状況です。

 毎日のようにニュースを提供し、世界の注目を集め続けるトランプ大統領のすごさは認めざるを得ませんが、一歩間違えれば世界を危うくするのではないかという不安も抱かせます。トランプ大統領が世界史に名を残すことは確実だと思いますが、どういう形で名を残すのか、ここ数年の動向から目が離せません。(ジャーナリスト・一色清)
(写真・6月にカナダで開かれたG7サミットの記念撮影を終え、引きあげる各国首脳ら。一番右がトランプ米大統領=2025年6月16日、カナダ西部カナナスキス/代表撮影)

【国際】「イスラエルとイランが完全な停戦で合意」 トランプ氏がSNS投稿(6/23.Mon)

 トランプ米大統領は23日午後6時(日本時間24日午前7時)すぎ、イスラエルとイランの間で「完全かつ全面的な停戦が合意された」とSNSに投稿した。7時間後には停戦発効を表明。米国の参戦で極限まで高まった緊張は沈静化に向かうかに見えるが、「薄氷の合意」は極めて危うい状態だ。トランプ氏は最初の投稿で、まずイランが攻撃を停止し、その後、イスラエルも停止すると説明。24時間後に交戦を終わらせるとした。24日午前1時(同24日午後2時)すぎには「いま停戦が発効した。どうか違反しないでくれ!」と再び投稿した。

【国際】NATO防衛費5%採択 首脳宣言で新目標、多くの国に重い財政負担(6/25.Wed)

 オランダ・ハーグで開かれていた北大西洋条約機構(NATO)の首脳会議は25日、加盟国の国内総生産(GDP)に占める防衛費の割合を5%に引き上げる新目標を盛り込んだ首脳宣言を採択した。NATOに懐疑的なトランプ米大統領をつなぎとめる狙いがあるが、多くの加盟国にとって財政負担は重く、目標の達成は見通せない。従来の防衛費の目標は2%以上だった。だが、その2%でも下回っている国が2024年時点でスペインやイタリアなど9カ国あり、5%の達成は容易ではない。新目標の達成期限は2035年までとゆとりをもたせた。トランプ政権は日本に対しても、防衛費を3.5%に引き上げるよう非公式で打診しており、将来的に正式な要求に発展する可能性がある。

【社会】フジHD新経営陣、株主総会で承認 北尾氏起用の株主提案を否決(6/25.Wed)

 フジ・メディア・ホールディングス(FMH)の株主総会が25日、東京都内で開かれ、清水賢治氏(64)=フジテレビ社長=ら11人の取締役の選任案を可決した。大株主の米投資ファンドは、会社案とは別に取締役12人を選任する株主提案を出したが否決された。フジテレビの一連の問題を受けて、1月から続いた会社と株主との攻防に一つの区切りがついた。総会での承認を受けて、FMHの取締役会は約半数が女性に、平均年齢も10歳以上若返って57歳になる。今後は3月末以降打ち出してきた改革プランを着実に実行し、企業風土を改善できるかが問われる。

【社会】生活保護の大幅引き下げは「違法」、原告側の勝訴確定 最高裁判決(6/27.Fri)

 国が2013~15年に生活保護費を大幅に引き下げたのは違法だとして、利用者らが減額決定の取り消しなどを求めた2件の訴訟の上告審判決が27日、最高裁第三小法廷であった。宇賀克也裁判長は、引き下げを違法と判断し、減額決定を取り消した。原告側の勝訴が確定した。同種訴訟は29地裁で31件起こされた。引き下げを違法とした最高裁の判断を受け、今後、同種訴訟でも減額決定を取り消す判断が続くとみられる。国は、原告に加わっていない生活保護利用者も含めて、減額分をさかのぼって支払うなどの対応を迫られそうだ。

【科学】H2Aロケット、最後の50号機が打ち上げ成功 「夢見ているよう」(6/29.Sun)

 日本の主力ロケット「H2A」として最後の50号機が29日午前1時33分、鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられた。観測衛星「いぶきGW」が軌道に投入され、打ち上げは成功した。H2Aは全長53メートルの液体燃料ロケット。先代のH2ロケットの改良版として、2001年に初号機が打ち上げられた。日本の宇宙への「足」として、多い時で年間6回の打ち上げに成功した。H2Aの後を継ぐのは、昨年打ち上げに成功したH3ロケットだ。

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