なおこの就活道場 略歴

2015年06月17日

面接官はいいかげん!(番頭フッキーの「就活イヤァオ!」その5)

 まいど! 「なおこの就活道場」番頭のフッキーです(ノブ&フッキーの柴田理恵のモノマネをする方ではないですよ)。 毎回、就活生の陥りがちな悩みを「イヤァオ!」と一刀両断する言葉をお届けいたします。

 化粧品メーカー志望の都内大学生ストライカー君は最近、ご飯などの炭水化物を抜く糖質カットダイエットをはじめました。久しぶりに会った高校の後輩から「何があったんですか?」と聞かれるほど太ってしまったことも原因ですが、もうひとつこんな理由もありました。

 「高校や大学の勉強とちがい、就活は何をどこまでやればいいのかはっきりしていなくて、苦手なんです。だから毎日やることがはっきりわかって成果も形にあらわれることをやりたいなと思いました」

 勉強と違って就活にはカリキュラムもなければ模擬試験も偏差値もない。「こういう努力をすればこういう結果が得られる」という明確な指針もありません。そこが、学生のみなさんにとって負担となっているんですね。ですが、こういう悩みが生まれるのは学生さんだけのせいだけではありません!
 「日本の就活は、特に総合職採用の場合非常に『あいまい』です」

 そう語るのは、横浜国立大学の服部泰宏准教授。今、「採用学」という学問を提唱しその研究普及に努めています。

 あいまいとは、どういうことでしょうか。

 「たとえば採用方針について、企業側は学生側に『あいまい』な言葉を出すことがほとんど。また、面接時に何が評価され、何が評価されなかったかが明確にされることもあまりありません。結局は、面接官のフィーリングにまかされることがほとんどです。その結果、会社にマッチした学生を採用できている面接官もいたりしますが、まれです」

 アメリカなどでは「こういう人材が欲しいので、こういう条件を満たして欲しい」という情報がクリアに開示されていると服部先生。ですが日本では、「突破力がある」だの「コミュニケーション能力」だの「自分で考え行動できる人」だの、つまりそれは何ですか? という条件くらいしか提示されないことが多いですね。結果、学生はいったい就活で何をしたらいいのか、何の能力を伸ばせばいいのかわからず、ダイエットでもするか……ということになってしまうわけです。
 企業側も、履歴書やESを書いてもらい、面接をして、採用というこれまで通りの採用の仕方で本当にいいのか、迷いはじめていると服部先生は言います。

 「面接は3回したほうがいいのか4回がいいのか、どんな質問をすれば自分たちの欲しい人材が採れるのか、何が正解かわからなくなってきたというのです。日本企業にとって新卒採用は長らく最重要課題ではなかった。採った人間をOJTで育成すればいいと思っていたわけです。それが昨今就活市場が売り手市場化し、学生側も採用に関する情報をたくさん手にするようになったため、企業が新卒採用に苦労するようになってきたのです」

 「採用学」の目的は、そういったいいかげんさを脱却してよりよい就活システムを考えることなのです。

 「いまは企業と協力し、①募集②選抜、セレクション③会社への定着(社会化)という3つの局面についてデータを集め、どのようなやり方が効果的に人材を採用できるか分析していきます」
 さて、「採用学」はまだ始まったばかりのプロジェクト。いまこの記事を読んでいる学生の皆さんは「それなら、採用の方針が固まるまで家でのんびりしてるべぇ」というわけにはいきません。採用学の立場から学生の皆さんにアドバイスできることはありますか?

 「まず、すべてとは言いませんが、面接官が何を基準に人を選んでいるかは結構あいまいなものです。だから仮に落ちても『自分に能力がない』とは思わないでください」

 そう、「面接官は結構いい加減!」ということなのです。イヤァオ! その上で、こんなデータも紹介してくれました。

 「ある企業との共同研究ですが、面接を50分間行って10分ごとに学生への印象をつけてもらいました。そうすると、開始10分間で得た印象はそのあと40分間面接してもほとんど変わらないことがわかったんです」

 すなわち、長時間の面接であっても「最初の10分が超肝心!」ということなんです。スロースターターは厳禁。10分はおろか5分で自分の良さ、魅力をきっちり相手に伝えられるよう努力することが大切です。

 最後に、こんなアドバイスも。

 「人脈を作れる人が社会的に成功するという研究もあります。会社は採用の局面で自社のいいことしか言いません。そんな時に大切なのは社会人や友人らから得る生の情報。できるだけそういった情報に触れられるよう、頑張って下さい」

 人脈というテーマは今後「イヤァオ!」でとりあげていきますが、次回はそのまえに、採用について考えて考えて考えた結果「面接いらなくね!」ということに気づいてしまった会社に取材してきます!

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