なおこの就活道場 略歴

2015年07月03日

新卒採用で面接「やめます」! 対策は「本気で生きること」(番頭フッキーの「就活イヤァオ!」その6)

 まいど! 「なおこの就活道場」番頭のフッキーです(ノブ&フッキーの柴田理恵のモノマネをする方ではないですよ)。 毎回、就活生の陥りがちな悩みを「イヤァオ!」と一刀両断する言葉をお届けします。

 さて、前回のコラムで「面接官はいいかげん」というイヤァオ!をお届けしました。いまの日本では就活に際し、会社側から「こういう能力の学生を採りたい」という明確な指針がでることはまれ。そのため面接でも学生の何を見るか、そのためにどういう質問をするかについてのはっきりした方針は確立されておらず、面接官のフィーリングという漠然とした要素に左右されている、という指摘でした。

 そんな中、新卒採用で面接を「やめます」とうたった企業が登場しました。人材サービス会社のビースタイルです。新卒採用HPを見ると、「NO 面接! NO リクルートスーツ! NO お祈りメール! 偽造(つく)られた自己PRはもういらない!」という文字がドカーンと踊っています。

 面接もしないのにどうやって学生を採るのか。もしかして入りたいと思った学生は全員採るのか? というわけではなく、最終的に学生は社長に自分をプレゼンする必要があります。時間の指定は特になく、形式も問いません。

 エントリーの窓口は「自分をどういうタイプと考えているか」に応じて5つに分かれています。5つとは以下の通りです。
 「勉強キライじゃないよ学生」
 「勝負事大好き学生」
 「気付いたらキャプテンだった学生」
 「空想でごはん食べられちゃう学生」
 「新卒だけど、即戦力の自信があるよ学生」
 「アメトーーク」のタイトルを思い起こさせる、わかりやすいタイプ分けですね。実際にどんなふうに選考が進むのでしょうか。

 「エントリーしてもらった学生はまず私と1対1でお話をします。そのあと、タイプごとに学生数人と社員数人で『ふれあって』もらいます」

 と、採用担当の兒玉(こだま)有希さん。最初に兒玉さんから聞く内容はエントリーの経緯やタイプを選んだ理由などで、特に会社についての説明はしないそうです。

 「うちが女性の就業支援を軸にした人材会社ということくらいがわかってきていただけたら嬉しいですが、知らなくても全く問題ないです。」

 その後の「ふれあい」はタイプにより多彩なメニューがあります。たとえば「勝負事大好き」学生の場合は社員とババ抜きや大富豪といったトランプゲームをしてもらいます。「空想でごはん食べられる学生」は「お風呂の未来はどうなっているだろうか」といったテーマを議題にアイデア会議を、勉強キライじゃないよ学生にはもう少し固いテーマをもとにディスカッション……といった具合。その後は学生が辞退しない限り、最終プレゼンまで進むわけです。5月上旬には空想タイプのコースからエントリーした女子学生が6回の会社訪問を経て自作の紙芝居による自己PRのプレゼンを行い、この選考第一号の内定を獲得しました。

 「最終プレゼンでは『ここで働くことをイメージしてオフィスカジュアルな服装できました』と服装へのこだわりも見せていました。その意気がこちらに伝わってきたのだと思います」(兒玉さん)
 兒玉さんは、面接廃止の理由を2つあげます。

 「ひとつは普通のナビを使った方法ではいい学生に出会いづらくなり、新しいスタンダードをつくるというスローガンを持った人材サービス会社として、何か新しい選考方法を打ち出したかったこと。もうひとつは時間がもったいないということです。『面接』という形で学生と会うと緊張しているし、質問に対して用意した答えはペラペラ出てきますが少しつっこむとしゃべれなくなってしまう。仮面をはいで本人の素を見るためには時間をかけて気持ちをほぐす必要がありました」

 だったら、面接という形をとらないほうがいいんじゃないか――というわけです。斬新な選考方法ということもありアナウンス効果も抜群。面談参加者は昨年からは減っていますが、「志望度もレベルもかなり高い学生が集まっています。採用する側からすれば手間は面接をしていたころと変わりませんが、学生さんが最初からオープンマインドで来てくれるのでありがたいですね」(兒玉さん)といいます。

 では、就活生に向けた兒玉さんのイヤァオ!をいただきましょう。

まず、本気で生きてください

 ビースタイルは学生の素を見るために面接を廃止しましたが、ほかの企業でも基本的にはみなさんの「素の姿」を見るためにいろいろな工夫を重ねています。小手先の対策よりも、大切なのは素の自分を磨くこと。

 兒玉さんは昔から「明日死んだとしても悔いはないか」と自分に問いかけ行動を決めてきたといいます。子どものころからピアノに打ち込み音楽大に進んだにもかかわらず、友人にすすめられ一般企業への就活を開始。「いろいろな業界の話を聞けて楽しかったです」と就活を楽しみ、新たな自分の可能性を見つけてビースタイルに飛び込みました。

 「就職する時は『等身大の自分』で臨んでほしいですね」

 次回も「脱・面接」の採用を続ける会社を取材します。課題は「裸電球のデッサン」に「焼き魚の食べ方」……。いったいどういうことでしょう?

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