さて前回、自分を売り込むためにはまず「ウソをつくんじゃない!」という話をしました。先週更新の「ナカハラハラハラ」でも趣味の欄に「歌舞伎鑑賞」とウソというか大げさな書き方をした結果、歌舞伎好きの面接官にいろいろ聞かれて撃沈した――という話が紹介されています。
でも、本当に面接で「ホントのこと」を言ってもいいものなのでしょうか。答えはイヤァオ! ではなく「イエス!」。そもそも、本当の自分を評価してくれるような会社にいかないと仕事自体長続きしません。
ただ、あまりに素すぎるホンネを語ってしまっても面接官は困ってしまいます。「この人と一緒に仕事していけるだろうか」と考えている時に「私は三度の飯よりスイーツが大好きなんです!甘甘甘!」だの「できれば1日15時間寝て過ごしたいと考えています」だの、いくらホントのことであっても「お引き取りください」となることでしょう。ホントのことを言いつつ面接官にアピールするためには工夫が必要です。ただ、工夫のパターンは実はごくシンプルです。まずはこのイヤァオ!を覚えてください。
「豚(P・I・G)になれ!」
Pは「PASSION」、Iは「IDEA」、Gは「GROWTH」。いずれも自分の「ホントの姿」にまぶして会社へのアピールに使える要素です。この3つを覚えておけば、自己PRがぐっと楽になることでしょう。
①PASSION! =「私の情熱を見て!」
三度の飯よりスイーツが好きだ、でんぱ組.incの追っかけに人生を賭けている、インドを愛している―― 「これを捨てろと言われたら暴れる!」というものを持っている方は幸いです。面接ではこんな風に言ってみましょう。
「私は○○がとてつもなく好きです。そのために毎日情報を集めたり、日本全国を飛び回ったりしました。こんなふうに一筋に何かを愛し、打ち込めることが自分の特質だと思っています。
だから、御社の与えてくださる仕事にもきっとこれくらい打ち込んでみせます!」
○○に入るものは反社会的なものでなければスイーツでもアイドルでもインドでも何でも構わないのです。なぜならば特に総合職採用の場合、会社に入ってから何の仕事につくかは自分ではなく会社が決めることがほとんど。となれば、「どんな仕事でも私は情熱的に打ち込めます!」というタイプの人のほうが重宝されますよね。
ここでのポイントは、自分の○○への打ち込みっぷりや、そもそも○○がどれくらい魅力的な存在なのかを相手を引きつけるように話せることです。そこをきちんと話せるかどうかで、あなたのPASSIONが「ホント」かどうかが見極められます。
「私の情熱は○○にしか注げないの!」という方は……○○に似たジャンルの仕事をしている会社を志望するのが一番ですね。あるいはこんな方法もあるかもしれません。
「私は○○好きで、そのためにはものすごくたくさんお金が必要なんです。だからどんな仕事でも情熱的に打ち込めます!」
さすがにこれだけでは厳しいかもしれませんが、相手にPASSIONは伝わるのではないでしょうか。
②IDEA!=「私の工夫力を見て!」
そこまで打ち込んだものがないや……という学生さん、ではなぜあなたは今、大学4年でいられるのですか? 受験勉強もしたでしょう、アルバイトもやったりしたでしょう、単位だってそろえたはずです。「いやー、適当にやってたらなんとなく4年に……」というあなた、適当にやって4年生になれたこと自体すごいことなのですよ。受験をうまくしのぐ方法、単位をかきあつめる方法、バイトをうまいことさぼる方法、すべては「工夫」の言葉で美化されます。
「私は確かに怠け者の気質があり、1日15時間は寝ていたい人間です。
でも寝る時間を確保するために工夫を惜しみません。大学の単位をうまく集めるために友人関係を大切にし、ノートを回してもらう人脈作りを心がけてきました。効率と工夫の心を忘れずどんな仕事でも立ち向かっていきたいです」
「不合理でも正面突破の営業が持ち味!」という会社には向かないかもしれませんが(もともとそういう会社に行ってもうまくいかないでしょう)、ふつうはどの会社でも効率よく仕事を回すことを(表向きは)志向しているはず。自分のホントの姿が「怠け者」寄りだなと感じたあなたはぜひ「工夫」をアピールしましょう。
③GROWTH= 「私の伸びしろを見て!」
いやー、情熱もなければ工夫もないわとお嘆きの方、ここは「伸びしろ」をアピールしましょう。「私はまだこれっぽっちの人間ですが、御社でかならずここまで成長してみせます! 私の伸びしろに投資してください!」というアピールです。
ポイントは、なんでもいいから自分が努力している様子をエピソードをまじえて話すことです。努力の内容はなんでもいいのです。1日1人知らない人と話すとか、英語の勉強をしているとか、毎日日記をつけているというのでもいい。ただ伸びしろという言葉を連呼しても相手は信じてくれません。せめて内定を欲しかったら、上に書いたくらいの努力はしましょう。
以上、自己PRに困ったら「豚になれ!」を思い出してみてください。イヤァオ!