前回のイヤァオ!で、就活は①自分を知ること②その自分を会社に売り込むこと――の2ステップにつきる、という話をしました。ではこの①、「自分を知る」ためには一体何をしたらいいのでしょうか?
ウソをつかないことです。イヤァオ!
「そんなことは当たり前だ!」と思うでしょうが、就活ではえてして、自己「PR」をしなければと思ってしまうあまりにちょいちょいウソをついてしまいがちです。
都内私大の男子学生ストライカー君。高校時代はサッカーで県代表クラスまでのぼりつめ、大学でも結構ハードなサークルでサッカーに打ち込んできたといいます。で、彼の自己PRを見てみました。
「私は自分のことよりも他人のためにがんばれる人間である。ランニングでも自分1人で走るとタイムがあまり伸びないが、たすきを持つことでタイムが30秒ちかく縮まった……」
ありがちというか、いかにも頭で考えた文章という感じがします。「これ、本当に自分で思ってる? 本当にいつでも他人のためにがんばれる人間なの?」と聞いてみると、「うーん、そうですね……」と言葉につまっています。このように自分で本当に信じていない、言い換えればウソの自己PRは、面接時に突っ込まれるとすぐにはげ落ちてしまいます。
まずは、ウソをつかずに自分の等身大を見直してみることです。このストライカー君、志望企業を見てみると某有名化粧品メーカーに某有名下着メーカー、どっちかというと女性に人気の企業が並んでいます。趣味を聞くと「競馬です」。好きな馬は「ジェンティルドンナ……牝馬ですね」。
フ「ってことは、女性が好きなの?」
ス「そうですね、好きです。人を観察するのが好きで、女の人としゃべっていてもメイクが変わったとか、体調の微妙な変化とかによく気づくんです」
フ「じゃあ、そう自己紹介したほうがいいんじゃない? 『私は女の人が好きです』って。それだけだとアレなので、『男性が気づかないことが多い女性の微妙な変化や気分の移り変わりを敏感にくみ取ることができます』っていうと、へぇーってなるよ」
ス「なるほど……」
これが、ウソをつかずに自分と向き合う一例です。
自分にウソをつかないコツはいくつかあります。その一つは、
「小学生でもわかる言葉で考えること」
です。ようは、小難しくカッコをつけて考えないということです。
美術史を専攻し美術関連の仕事を希望している女子大生のアートさん。最初、志望動機にはこんなことを書いていました。
<私は美術のすばらしさを人々と共有することで、個人や企業、自治体や社会全体の問題を解決したい>
これも、「本当にこんなこと考えてるの?」と聞くと「うーーーーん……」と言葉につまってしまいました。じゃあ、こんな感じはどうですか?
<私は美術が好きだし、そのすばらしさをたくさんの人につたえたい!>
「ああ、こっちのほうがしっくりきますね」(アートさん)
実際の志望動機や自己PRを作る際には、もう少しこの言葉を引き延ばす必要があります。ですが、核はこれくらいシンプルに、小学生でもわかるようにしてみましょう。
「お金持ちになりたい!」
「人から尊敬されたい!(ついでにモテたい!)」
「地元から離れたくない!」
「世界に行きたい!」
「趣味をきわめたい!」
これくらい言葉を削ることで、自分が心から信じられるウソのない言葉が残るのではないでしょうか。自分がしっくりくる言葉でないと、面接でもなんでも自信をもってプレゼンすることができません。②の部分がうまくいなかい、ということになるわけです。
ただ、さすがにこれをそのまま自己PRや志望動機に書いたり面接で叫ぶのはちょっとやりすぎですね。次回は、自分の核をうまく「就活」で使えるようにする方法について考えてみましょう。