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メガバンク3行が大規模なリストラ(リストラクチャリング、構造改革)を始めます。窓口業務などを人工知能(AI)やロボットに置き換えることで、計3万人分以上の業務量を減らし、店舗を減らす計画です。国内の人口減少に加え、日本銀行のマイナス金利政策で業績が悪化していることが背景にあります。メガバンクはこれまで毎年1000~2000人の規模で新卒を大量採用してきました。すでに2018年卒採用から数を絞り始めていますが、今後さらに減らす可能性があります。地方銀行など他の金融機関にもリストラは広がるでしょう。多くの銀行員の仕事内容も変わります。銀行を志望する人は、今まで以上に会社の将来像や仕事についてしっかり研究しないと、「こんなはずじゃなかった!」なんてことになりかねませんよ。(編集長・木之本敬介)
(写真は、東京都内の3メガバンクの支店)
(写真は、東京都内の3メガバンクの支店)
3万2500人分の仕事を削減!
三菱東京UFJ銀行、みずほフィナンシャルグループ(FG)、三井住友銀行の3メガバンクの主なリストラ内容は表を見てください。合計3万2500人分の業務を削減し店舗も減らします。三菱UFJとみずほは、国内の従業員の3割にあたる人数分の仕事を減らすという大胆な計画です。ほかにも、三菱UFJは今後10年で総合職を3500人減らし、窓口での振り込みや資産運用の相談ができる拠点店舗を半減させる、みずほはグループ内の事務部門を集約する、三井住友は全店舗をペーパーレスの次世代型店舗に変える――といったリストラ策が報道されています。カギは「フィンテック」
リストラしなければならないのは、マイナス金利などの影響で銀行業の柱である貸し出し業務では儲からなくなったからです。三菱東京の三毛兼承(みけかねつぐ)頭取は「伝統的なビジネスモデルは構造不況化している」と話しています。インターネットバンキングの普及で銀行の店舗に足を運ぶ人が減っている事情もあります。IT(情報技術)の進歩で、口座開設や振り込み、送金など多くのサービスが店舗に行かなくても利用できるようになり、さらにスマホの普及が流れを加速させています。三菱UFJではこの10年で全国の支店への来店者数は4割も減ったそうです。
各行とも、法人と個人向けの業務を全てカバーできる拠点店舗を減らし、スリム化した簡易型の店舗や窓口業務を完全にデジタル化した無人店を増やして、業務量を大きく減らす方針です。人の代わりに仕事をこなすのはAIやロボットで、カギを握るのは金融とITを合わせた「フィンテック」です。フィンテックについては、「フィンテックは金融の革命!」を読んでください。
(写真は、三井住友銀行が4月に都内にオープンした新型店。カウンターの数を減らし相談ブースを増やした=東京・中央区の同行銀座支店)
メガバンクはすでに採用大幅減
3万人分の仕事を減らすといっても、今のところ各行とも大勢をクビにしたり、希望退職を募ったりするわけではないようです。窓口や事務的な仕事をしている人を、新たな金融商品の営業や富裕層の資産運用の相談といった部門に配置転換して収益を上げる計画です。一方で、新卒採用は減るでしょう。これからバブル期に大量に採用した行員が退職していきますが、採用を抑制して自然減をめざすそうです。実は、すでに3行ともこの数年、採用数を大幅に減らしています。2019年卒の採用予定数はまだ分かりませんが、減少傾向であることは間違いありません。
2016卒→2017卒→2018卒
◆三菱UFJ 1386人→1250人→1050人
◆みずほ 1920人→1880人→1365人
◆三井住友 1916人→1347人→800人
(計画段階の数字を含む。2016年5月29日と2017年4月23日の朝日新聞から。みずほの2018卒の数字のみ2017年10月16日の日経新聞から)
(写真は、2016年10月3日の三井住友銀行の内定式=東京・丸の内)
「一般職」なくなる?
仕事内容も変わります。銀行といえば、仕事内容は何でもありで国内外への転勤もある幹部候補生の「総合職」と、事務的な仕事が主で引っ越しを伴う転勤がない「一般職」がある典型的な職場。窓口業務などの一般職はほとんどが女性というのが実態です。
その窓口業務や事務的な仕事をAIやロボットが担うようになるわけですから、必然的に銀行の一般職は減ることになります。「総合職でバリバリ働くより、一般職に就きたい」と考えている人もいると思います。一般職の採用がすぐになくなるようなことはないでしょうが、こうした仕事は確実にAIなどに取って代わられていきます。これから仕事を選ぶみなさんは、事務職以外で自分は何をしたいか、何ができるかを考えることが大切です。
「総合職」「一般職」「事務職」や「営業」などの職種については、こちらで詳しく書いています。「あさがくナビ インターン・ジョブズ『○○ってどんな仕事?』」
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