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海外赴任は労働基準法が原則適用されず
そもそも海外赴任の場合、時差があり、日本の時間帯にあわせて働かされることも多く過重労働になりがちだといいます。海外で生活するとなれば言葉も生活環境も日本と違い、ビジネス慣習や文化も違うなどストレスにさらされることも多くなります。孤立し、メンタル面に支障をきたすこともあります。かつては社員の健康管理を手厚くやっていた大企業での海外赴任が主流でしたが、最近はあらゆる産業がグローバル化し、中小企業からの赴任も多くなっています。国によっては、日本ほどの医療が期待できないところもあります。海外赴任は現状、リスクはかなり高いにもかかわらず、ケアは十分でないのです。
(図表はすべて朝日新聞社)
病院まで車で4時間の地で倒れる
朝日新聞デジタル版4月20日に掲載された記事「病院まで4時間、ラオスのへき地で倒れた夫 海外赴任の労災に『壁』」では、大手建設会社の土木技師として東南アジアの ラオス赴任中に亡くなった男性社員(当時49)の妻の声を取材しています。この男性は現地でダム建設の現場監督を担い、連日深夜まで働いていたそうです。「頭が痛い」と訴えた翌日、 くも膜下出血で亡くなりました。現場は病院まで車で4時間かかる場所にあったといい、妻は夫の死は医療体制が整っていない海外だったから起きたのではないかと感じたそうです。
男性は死亡直前の1カ月前に時間外労働時間が100時間を超えていました。幸い、この会社は冒頭で述べた「特別加入」をしていたため、労災が適用されたといいます。手続きをしていなかったら、労災は認められないところでした。妻は取材に対してこう述べています。
「海外赴任の社員は常に人手不足な中で働いているが、会社が調査に非協力的だったり記録がなかったりして、労働時間の把握すら難しい人も多い」
「海外労働連絡会」が発足
また、こういった海外赴任者にとって不利な状況を変えようと海外勤務中に過労死した人の遺族が呼びかけて遺族や弁護士、研究者などが集まり、「海外労働連絡会」が結成されました。ウェブサイトも公開されており、連絡会は今後、国や企業に労災補償の促進を求めていくといいます。こういった労働問題が放置されていては、世界に羽ばたこうというビジネスパーソンはどんどん減っていき、日本の競争力も失われかねません。まずは、国が海外赴任時の労働環境についてきちんと調査し、いまの制度を変えることに期待したいところです。もちろん、企業の対応も強く求められることになるでしょう。海外赴任と労働災害の問題に今後もぜひ注目してください。
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