2016年10月25日

「留学した」だけじゃダメ!どう成長?具体的に語れ

テーマ:就活

ニュースのポイント

 海外に留学する学生が増えています。グローバル時代に見聞を広め、外国で学ぶのは素晴らしいことです。一方で留学は珍しいことではなくなっています。エントリーシート(ES)や面接の自己PRで、「留学しました」を書いたり話したりするだけでは、相手に響きません。具体的に何をして、どう成長したのかが大事です。もちろん、留学体験がなくても心配はいりませんよ。(編集長・木之本敬介)


 今日取り上げるのは、「進学特集」(23~25面)の「世界への 開く人間力」「正解ない問い 深く向き合う」「留学で見えた未来」(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版)です。

7人に1人が留学経験

 今日の特集記事では、国際教養大、立教大、東京工業大、法政大の日本人学生の海外留学制度や海外からの留学生との交流、英語での授業など、国際化の取り組みを紹介。3人の学生が留学体験を語ってくれました。

 近年、学生の「内向き志向」が指摘され、日本人学生の海外留学がピーク時より減っているというデータがあります。ただ、日本学生支援機構の調査では、2009年の約3万6000人が右肩上がりで増え、2014年には8万1000人が留学しました。中でも伸びているのは「1カ月未満」の短期留学で、「6カ月以上」は2014年で約1万5000人でした。

 4年制大学の学生は1学年あたり56万人ほどですから、7人に1人が留学を経験していることになります。ESに留学経験について書いてくる学生が多いわけです。多くの企業が海外進出や外国企業との取引でグローバル人材を求めていますから、企業は留学経験者を歓迎します。ESに「留学経験」欄を設けている会社も増えています。でも、「行っただけ」では通用しません。

「行ったこと」が大事なのではない

 人気企業インタビュー「人事のホンネ」から、採用担当者の声を紹介します。
三井物産「昔に比べて1カ月の短期海外留学やボランティア活動をしたことがある学生が増えました。就活に有利だと教えられるのでしょうか。そういう経験は、した方がいいと思いますが、履き違えてほしくないのは、『行ったこと』が大事なのではないということ。『行って何を感じて、それが自分の生き様にどう影響したのか』を考えてほしい」→詳しくはこちら

双日「(商社は)エントリーしてくる方の中の海外留学経験比率は高いと思います。だから、留学しただけでは『すごいね』とはならない。留学してどんなことを考え、具体的にどう行動したかが重要です」→詳しくはこちら

凸版印刷「せっかく時間と労力とお金をかけて、別の土地へ行ってきたのだから、『留学』と書くだけではなく、そこから何を感じ、何をつかんできたのか書いてほしい。留学で何かを見てきれいだった、面白かっただけでは足りない。活動への主体性など、何かつかんできた子は面白いですね」→詳しくはこちら

留学体験なくたって

 今日の記事で、大妻女子大3年の豊村安梨さん(写真)が「語学は仕事をしていく上でも武器になる。でも、一番変われたのはものの捉え方じゃないかな」と、就活では留学で何を学べたのかをアピールしたいと話しています。具体的に、何を学んだのか、どう成長できたのかを整理して語るのがポイントです。

 「留学なんてしてないし……」という人も心配はご無用。

 ユニリーバ・ジャパンの採用担当者は「留学したかしていないかは問題じゃない。その中で何をしたか、何を考えどう行動していたかが聞きたいポイント、知りたいポイントなんです」と言っています(→詳しくはこちら)。学生時代の経験や自己PRで求められるのは、「特別な体験」ではなく、サークル、アルバイト、学業など、どんな経験でもOK。

 ただ、「留学したこと」が大事なわけではないのと同様に、「やったこと」や「結果」ではなく、何をどう学び、苦労を乗り越えたのか、「過程」を振り返ってアピールすることが大切です。

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