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内々定獲得の決め手は「はやく就活スタート」
就活の「早期化」は年々加速しています。コロナ禍があけて以降人手不足はどの業界でも顕著で、学生をいちはやく確保するために選考を前倒しする傾向が強まっています。インターンシップを選考に利用できるようになったことで、大学3年・修士1年夏のインターンシップのための選考が事実上、就活のスタートになっているという現状もあります。4月に学情は新2~3年生向けのイベント「Career Design Forum」を東京や大阪などで実施しましたが、東京ビッグサイトの会場には前年比で144.9%の6415人が来場。筆者も参加しましたが、前年に比べても学生の数が明らかに多く、企業のブースをまわる動きも活発で熱心だと感じました。
「就活ニュースペーパー」では昨年から、2026年卒の大学生4人に密着して就活のようすをルポしてきましたが、4人とも就活「解禁」前に内々定を獲得しました。内々定を獲得できた決め手として全員が口をそろえたのが「はやく就活をスタートしたこと」。大手メーカーに内々定した地方女子大の学生は、「2年生の秋ごろに早期のインターンシップに申し込み、まだ倍率が低い段階でテストを通過できたことで、オープンカンパニーに何回でも申し込めるようになったことが幸いしました」といいます。また昨年にIT大手に内々定した首都圏私立大の男子学生は、「4月から就活を始動させた人は夏のインターンに通過し、早期選考にのって内々定も獲得している傾向があると思います。6月ごろからの動きだしだと出遅れている印象ですね」とも語っています。
進路しぼりきれず長期化も
なぜ「長期化」するのでしょうか。要因のひとつは学生側が進路をしぼりきれないことです。
人手不足の影響もあり、比較的簡単に学生に内々定を出す企業は増えているとみられます。内々定をもらったはいいけれど、本当にここは自分が行きたいところなのかと悩む学生が、就活を継続するのです。先ほど出てきた首都圏私立大の男子学生も、就活の広報が「解禁」された3年生の3月から就活を再開し、大手通信会社や金融機関の選考に臨んでいます。形骸化しているとはいえ6月解禁のタイミングでも選考をする企業も多く、簡単に就活を終わらせることは難しいようです。朝日新聞の記事「長引く就活『まさかこんな気持ちに…』 6月1日解禁待たず内定8割」で、インディードリクルートパートナーズ・リサーチセンターの栗田貴祥・上席主任研究員は就活早期化の影響で「自分がやりたいことや企業への理解を深めないまま、内定を得てしまっている学生もいるのではないか」と分析しています。
「本当にこの会社でいいのか」と悩んだまま入社しても、結局会社とのミスマッチに直面し、早期に辞めてしまうという可能性は十分にあります。自分の人生を決める決断なのですから、納得がいくまで考える、悩むことは就活生の権利です。キャリアセンターや内々定先の担当者など悩んだときはできるだけ相談を重ねて、納得のいく選択をしてほしいと願っています。
学生は「二極化」 苦戦する学生も
また、学生の「二極化」も長期化の要因とみられます。さきほど引用した学情のリポート5月号によると、4月に入って2027年卒予定の新3年生を対象にした就活ガイダンスなどが各大学で実施されていますが、参加率は昨年並みか、微減しているといいます。就活イベントに参加し熱心に情報を収集する学生がいる一方、「売り手市場」ということで油断し、就活のスタートを遅らせる学生も一定数いる、というわけです。さらに現4年生で4月に入ってはじめて大学のキャリアセンターに来訪する学生も目立つといい、「書類選考は通るものの面接で落とされる」という相談が多く寄せられているそうです。売り手市場であっても、就活に苦戦する学生は引き続き苦戦する――という構図がみえます。
なぜ苦戦するのか。個別の事情はもあると思いますが、特に面接で苦戦する理由はたとえば下記が考えられます。
面接で苦戦する要因は
・経験不足で力を発揮できない――面接対策にはさまざまな方法がありますが、一番は「場慣れ」だといいます。オンライン面接に慣れすぎて、はじめて対面での面接をしたときに面接官のちょっとした動きや目線が気になって自分の話したいことが十分に話せなかった、という学生もいました。フレンドリーに話しかけてくる面接官、エントリーシート(ES)を読み込んで意外なところから質問を投げかけてくる面接官、面接のパターンはさまざまです。はやめに就活をスタートし、企業のジャンルを問わず面談、面接の機会を多く持つことで経験を積めば、志望度の高い企業に自信をもってのぞめるようになります。
・企業研究が不足している――近年はウェブでのエントリーが一般化し、さらに生成AIでESを書くサービスもひろがっていることから、そもそも面接に挑むときに自分のESの内容を覚えていない学生が結構いるそうです。これはさすがに論外ですが、面接にいどむに際して相手の企業を調べ、自分の言葉で志望理由、自己PRをしっかり言えるようにしておくことは面接突破に欠かせない準備です。
企業の研究といっても何をしたらいいかと思われるかもしれませんが、採用のウェブサイトをもっている会社ならそこのページの情報はすみずみまで読み、よく出てくるキーワードや、その企業が将来的にやろうとしている事業のポイントは押さえておく必要があります。さらに同業他社と比べて特徴や強みを考えると、より研究に深みが増します。しっかりと企業を研究することで、面接官にも「入社したい」という熱意が伝わると思います。
・受ける企業を絞りすぎている――自分が行きたい企業や業界を考えることは重要ですが、あまりに絞り込みすぎると早々に手詰まりになってしまうこともありえます。世の中には自分が知らない企業や業界がたくさんあり、もしかしたらどこかに自分にぴったりくる企業があるかも知れないと考えて、特に就活をスタートした段階では受ける企業を幅広く選んだほうがあとあとよい結果に結びつきやすいです。前述の女子大学生は、「特に就活初期のときは、社会見学と思っていろいろな種類の会社にエントリーして話を聞くと勉強になる」と語っていました。
多くの企業が採用難に苦しんでいます。かつての就職氷河期のように、働きたくても採用がない、という状況ではありません。早期化、長期化と学生にとっては就活が簡単になったとはいえない状況ですが、ぜひ最良の結果をめざして、がんばってほしいと思います。
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