言葉マイスター ナカハラハラハラ 略歴

2014年11月05日

マジでこんな表現使ったらヤバいし~話し言葉に気をつけようその1

 まいど!人気コラム「ナカハラハラハラ」でっせ! 今回も言葉にまつわるおもろい話、読んでやー!

 ……はい。いきなりすいません。関西弁全開でお送りしました。
 今まで秘密にしてきましたが、実は私……何を隠そう関西出身なんです!(大げさ)
 
 日本は国土面積に比して、方言が大変多いことで知られています。ところで朝日新聞は東京・大阪・名古屋・西部(福岡)に本社を持っていますが、大阪本社で作る新聞の文章が関西弁(や広島弁や讃岐弁……)になったり、ということはありません。名古屋も福岡も同様です。

 全国紙だけではありません。東海地方で圧倒的シェアを誇る中日新聞。記事に名古屋弁は出てきません。
 当たり前と言えばそうなのですが、改めて考えると不思議ですね。

 これは、新聞などの文字媒体は「書き言葉」で統一されているからです。一方方言は「話し言葉」ですよね。だから文字媒体にはそぐわないのです(もちろん小説や戯曲など、例外はあります)。

 きちんとした文章を書くとき(もちろんESもそうです)や面接のようなきちんとしたシチュエーションでしゃべるときは、いわゆる「標準語」(正確には日本では「共通語」と言うべきなのですが、説明が煩雑になるのであえて避けます)を使うことを常に意識しなければなりません。

 「そんなの分かってるよー。ESや面接で方言とか使わねーし(笑)」

 と思った人が多いでしょう。しかし「話し言葉」は何も方言に限りません。いわゆる「若者言葉」や「略語」も含まれます。略語や若者言葉を使っていると、相手に稚拙な印象を与えてしまいます。

 「マジで~」「ゴチになる」「がっつり~する」「ゲーセン」

 さすがにこの辺りだと皆さんも「ヤバい」(笑)と思って使うことはないでしょう。
 ではこれはどうですか。

 「若者の過度なスマホ依存は目に余ります」
 「北国の出身なので、スノボの腕には自信があります」
 「ファミレスとコンビニで計5年間バイトしたことが、私を大きく成長させてくれました」

 いかにもESや面接で出てきそうな文章ですね。お気づきの通り、「略語」まみれです。

 最初から最後まで正式名称で言え(書け)とは言いません。せめて初出時は「スマートフォン」「スノーボード」「アルバイト」としたいですね。

 あれ?「ファミレス」や「コンビニ」は?と思った人もいるでしょう。確かにそうです。正式には「ファミリーレストラン」「コンビニエンスストア」ですね。もっともこの辺りの略語は長く使われてきて、すでに「話し言葉」から独立した一定の「共通言語」化しているとみなしてよいと思います。
 パソコンを「パーソナルコンピューター」と言う(書く)人もほとんどいませんよね。

 確かに線引きは難しいところです。もちろん悩んだら正式名称で書いておけば問題ありません。

 「一個上の先輩にボランティア活動をすすめられ、めっちゃハマってしまった」

 いい話ですね。でも表現が良くない。「若者言葉」が三つもあります。
 年齢差を「~個上」と表さない。「~歳上」「~年上」としましょう。「~年先輩の人」でもいいですね。
 「めっちゃ(めちゃ)」はもともと「めちゃくちゃ」から来た言葉です。そもそも、「めちゃくちゃ」もややくだけた言葉ですので、ここは素直に「とても」や「非常に」としましょう。
 「夢中になる」「熱中する」という意味で「はまる」を使うのは適切ではありません。「ワナにはまる」など、マイナスの状態に陥ってしまうのが本来の意味だからです。

 今回は比較的「言われれば気づく」話し言葉を取り上げました。次回はもう少し、気づきにくい(=つい使ってしまう)話し言葉について話します。

今週のおまけ ~知っていますか「MK5」~

 「若者」に届けたい意図のあるポップスには、当然ながら「若者言葉」を使った歌詞やタイトルがたくさんあります。

 まず思いつくのが松浦亜弥さんの「Yeah! めっちゃホリディ」。タイトルの「めっちゃ」はもちろん、歌詞中に繰り返される「すんげぇ」の連呼が印象的です(もっとも、その直前に「ファッション雑誌を開くのじゃ」「ひょんな出会いもあるものぞ」とあえて古めかしい老人語を使うことで、より効果を高めているのは注目に値します)

 もっとも、若者言葉というのははやり廃りがあるので、後々聴いたら「なんだこれ……?」とそもそも意味が分からなくなってしまうおそれがあるのですが、その問題を見事に昇華したのが、広末涼子さんのデビュー曲「MajiでKoiする5秒前」。

 90年代後半、「MK5」というギャル語がはやりました。今の就活生の皆さんは知らないでしょうね。これは「マジ(Maji)で切れる(Kireru)5秒前」という意味で、腹が立った時に使う言葉だったのです。今や死語ですが、こういう言葉を覚えておくともしかしたら面接で話のタネになるかもしれませんね。

 この曲を作詞した竹内まりやさんが、そのはやり言葉をもじって、恋する女の子のピュアな気持ちを歌うタイトル(と歌詞)に転換しました。

 元はお世辞にも「美しい」とは言えない言葉。それをちょっと加工することでエバーグリーンな名曲として生まれ変わった……と言ったら褒めすぎでしょうか。