……はい。いきなりすいません。関西弁全開でお送りしました。
今まで秘密にしてきましたが、実は私……何を隠そう関西出身なんです!(大げさ)
日本は国土面積に比して、方言が大変多いことで知られています。ところで朝日新聞は東京・大阪・名古屋・西部(福岡)に本社を持っていますが、大阪本社で作る新聞の文章が関西弁(や広島弁や讃岐弁……)になったり、ということはありません。名古屋も福岡も同様です。
全国紙だけではありません。東海地方で圧倒的シェアを誇る中日新聞。記事に名古屋弁は出てきません。
当たり前と言えばそうなのですが、改めて考えると不思議ですね。
これは、新聞などの文字媒体は「書き言葉」で統一されているからです。一方方言は「話し言葉」ですよね。だから文字媒体にはそぐわないのです(もちろん小説や戯曲など、例外はあります)。
きちんとした文章を書くとき(もちろんESもそうです)や面接のようなきちんとしたシチュエーションでしゃべるときは、いわゆる「標準語」(正確には日本では「共通語」と言うべきなのですが、説明が煩雑になるのであえて避けます)を使うことを常に意識しなければなりません。
「そんなの分かってるよー。ESや面接で方言とか使わねーし(笑)」
と思った人が多いでしょう。しかし「話し言葉」は何も方言に限りません。いわゆる「若者言葉」や「略語」も含まれます。略語や若者言葉を使っていると、相手に稚拙な印象を与えてしまいます。
「マジで~」「ゴチになる」「がっつり~する」「ゲーセン」
さすがにこの辺りだと皆さんも「ヤバい」(笑)と思って使うことはないでしょう。
ではこれはどうですか。
「若者の過度なスマホ依存は目に余ります」
「北国の出身なので、スノボの腕には自信があります」
「ファミレスとコンビニで計5年間バイトしたことが、私を大きく成長させてくれました」
いかにもESや面接で出てきそうな文章ですね。お気づきの通り、「略語」まみれです。
最初から最後まで正式名称で言え(書け)とは言いません。せめて初出時は「スマートフォン」「スノーボード」「アルバイト」としたいですね。
あれ?「ファミレス」や「コンビニ」は?と思った人もいるでしょう。確かにそうです。正式には「ファミリーレストラン」「コンビニエンスストア」ですね。もっともこの辺りの略語は長く使われてきて、すでに「話し言葉」から独立した一定の「共通言語」化しているとみなしてよいと思います。
パソコンを「パーソナルコンピューター」と言う(書く)人もほとんどいませんよね。
確かに線引きは難しいところです。もちろん悩んだら正式名称で書いておけば問題ありません。
「一個上の先輩にボランティア活動をすすめられ、めっちゃハマってしまった」
いい話ですね。でも表現が良くない。「若者言葉」が三つもあります。
年齢差を「~個上」と表さない。「~歳上」「~年上」としましょう。「~年先輩の人」でもいいですね。
「めっちゃ(めちゃ)」はもともと「めちゃくちゃ」から来た言葉です。そもそも、「めちゃくちゃ」もややくだけた言葉ですので、ここは素直に「とても」や「非常に」としましょう。
「夢中になる」「熱中する」という意味で「はまる」を使うのは適切ではありません。「ワナにはまる」など、マイナスの状態に陥ってしまうのが本来の意味だからです。
今回は比較的「言われれば気づく」話し言葉を取り上げました。次回はもう少し、気づきにくい(=つい使ってしまう)話し言葉について話します。