「結局、パソコンを使ってESや履歴書って書いていいの?」
という問題について「ある程度の」方向性を示したいと思います。今「ある程度」と書いた通り、これから書くことは決して「正解」を伝えるものではありません。あくまで目安です。
これは言い訳でもなんでもなく、結局のところ、ESを読む人事担当も皆さんが受ける会社も千差万別な以上、一つの答えを出せるわけがないのです。
とは言え、これは大前提として言えます。
「迷ったら手書き」
「なんだ、結局そうなのかよ……」という皆さんのタメイキが聞こえてきそうです。なぜこう言えるのか。答えは簡単。「手書きがダメ」と言う会社はほぼ皆無だからです。反対に「手書きを評価する」風潮は、まだまだ日本の会社に残っています。
ちなみに前回の議論ではないですが、「手書きの方があたたかい」なんて視点から言っているわけではありません。そんな発想はそもそもビジネスにおいてはナンセンスですよね? 大体今どきの会社では9割方の書類や資料はパソコンで作り、プリントアウトされる。日本の伝統とも言える「ハンコ」の文化でさえ、今や電子的に処理できるくらいなのですから。
間もなくやって来る年賀状シーズン。これだって同じ。皆さんやご家族のお手もとに届く大半がパソコンや業者によって「電子的に」プリントアウトされたものでしょう。それをもらったからって「なんか冷たい」と思うことはなく、家族の写真やイラストを見てほっこりするはず。
話が少しずれました。毎度毎度このコーナーで指摘している通り、ESで最終的に評価されるのは「中身」。「薄っぺらな手書き」よりは「中身のあるパソコン文」の方がいいに決まっています。
ではなぜ「手書き」が安全パイなのか。答えは簡単。「めんどくさい」からです。言い方が悪いか。「手間が掛かる」からです。例えばあなたが、今から明日までに100社へのESを書かねばならないとしましょう(まあこの設定が馬鹿馬鹿しいのは百も承知で)。そしてその100社が「手書きでもパソコンでもお好きにどうぞ」という条件だったとしたら。あなたはどうしますか?
「全部パソコン!」。そういう合理主義者もいるでしょう。
「何としても全部手書きで」。そういう根性論者もいるでしょう。
私ならこうします。「絶対に入りたいと思う10社を優先してそこは手書きで書く」。
100社もあれば、どこかで「選択」を迫られるはずです。このESにせよ、先々に面接がかち合ったりしても。結局のところ、そこで「選んだ結果」は自分の「志望度の高さ」の確認でもあるわけです。これは企業にとっても同様。「手書きという手間をかけて送ってくる」方が、自社への熱意=志望度が高いに決まっている。それがひとつの指標になるわけです。
……というのは手書きかパソコンか選べる場合の話で、最近主流のウェブエントリーはそもそも「手書き」がありえません。ただ、このウェブエントリーでも「手間」をかけたかどうか、は見る人が見れば一目瞭然です。ブラウザを開いてフォーマットに打ち込む形だと、つい「パチパチ打ち込んで、ポチッと送信」とインスタントになりがち。良くないですね。
入力タイマーなど、時間制限のあるものなら別ですが、フォーマットに直接書き込むのではなく、まずはパソコン付属のメモ帳やワープロソフト(wordなど)に書き起こしましょう。字数制限などは、ワープロソフトで確認した方が確実です。
そして以前「校閲とは」でお話ししたように、できればそれをプリントアウトする。誤字脱字のチェック、文章の内容の吟味……などを繰り返して、「決定稿」を作ってからフォーマットに入れましょう。この時にこそ、電子データならではの「コピー&ペースト」を生かして楽をすればいいのです。
ウェブエントリーではなくても、フォーマットをダウンロードして書かせた上、データで送信を求めるような会社なら、パソコン入力でも構わないでしょう。そもそもやりとりに一定のパソコンスキルが必要とされているわけですし。もちろんこの場合でも、(とりわけ、あなたが字に自信があるなら)手書きして、スキャン→PDF化、などもありだと思います。
あと最後に大切な事。どうしてもESや履歴書を電子データで送りたいのなら、説明会やOB・OG訪問で聞いてみましょう。そこで「ダメだ」と言われれば諦めて手書きするか、志望をとりやめればいい。どうすればいいか書いてないし言われてないから「みんなと同じに」する。就活ではつい取ってしまいがちな行動パターンですが、それで後悔するくらいなら、「自分で」疑問を解決して「自分で」行動を決める。これはESに限らず、就活全般に言えることですが。誰かのためにする就活ではありません。「あなたの」就活なのです。
このコーナーだけでなく、「就活ニュースペーパー」全体に言えることですが、あくまで我々が示すのは「地図」。どの道を行くかを強要することはしませんし、そもそもできないのです。