言葉マイスター ナカハラハラハラ 略歴

2015年12月24日

年末恒例、二つの「ことば」にまつわる話

 メリークリスマス! 「そんな浮かれ気分にはなれないよ……」という人もいるかもしれませんが(苦笑)。早いもので今年もあと1週間。今日は、毎年この時期に発表される二つの「ことば」に関するイベントを取り上げます。もちろん、就活に役立つ(かもしれない?)狙いからです。

<「新語・流行語大賞」で時事ネタ総ざらいと苦手チェック>

 まずは「新語・流行語大賞」。読者アンケートを参考に、「現代用語の基礎知識」編集部が50語を候補としてノミネート。そこからトップテンと年間大賞が選ばれます。今年の年間大賞は二つありましたが、どちらも言えますか?

 「トリプルスリー」(野球の打率3割・30本塁打・30盗塁以上)と「爆買い」(訪日外国人が家電製品などを大量に購入すること)でしたね。ちなみにトップテンの残りは……

 ・アベ政治を許さない
 ・安心して下さい、穿(は)いてますよ。
 ・一億総活躍社会
 ・エンブレム
 ・五郎丸(ポーズ)
 ・SEALDs
 ・ドローン
 ・まいにち、修造!

 この10語を見ると、まさに「2015年」をギュッと濃縮してまとめた感があります(そのために選んでいるのですから当然ですが)。今年就活を終えた方はもちろん、来年就活をする方は、どの言葉も説明できてほしい……いや、できないとダメでしょう。

 なぜそう言えるのか。だってこれって究極の「時事ネタ」ですよね? 就活生の皆さんは、普段から新聞や雑誌、テレビやネットなどで、「ニュース」に対するアンテナを張っていると思います。それを改めて一覧視するのに「新語・流行語大賞」は格好の素材なのです。

 欲を言えば、ノミネート50語全部について説明でき、自分の意見を言えるくらいであってほしい。もちろん、人には得手不得手があるので

 「経済用語は割と強いけど……エンタメはちょっと」
 「芸能やゲームの関係はみんな分かったけど……政治関係は全然だめだ」

 なんてこともあるでしょうが、それはそれで「自分の弱点」を再確認するきっかけです。そしてこの10語(ないしは50語)に選ばれる言葉くらいは、いくら自分の「苦手ジャンル」だとしても「知らないのは恥ずかしい」常識なんだ、と受け止めるくらいがちょうどいいと思います。

 ちなみに今年のノミネートには、まさに就活生の皆さんが直面したかもしれない「オワハラ」も入っています。

<「今年の漢字」の理由、自己PRにも使える?>

 もうひとつは日本漢字能力検定協会が選ぶ「今年の漢字」。今年は「安」でした。理由としては

 ・安倍政権のもとで安全保障関連法案の採否をめぐり国論が二分された
 ・世界で続発したテロ、マンションの杭偽装で不安が広がった

 などが挙がっています。ちなみに「新語・流行語大賞」トップテンにもあった「安心して下さい、穿いてますよ。」も理由のひとつ。そう言えばこのフレーズを使う芸人さん自身、とにかく明るい「安」村さん。いわば「ダブル受賞」ですね(笑)。

 「今年の漢字」もまさに世相を表す「時事ネタ」ではあるのですが、個人的にはむしろこの「理由付け」の方が就活に生かせるのでは、と感じます。つまり「一つの文字に複数の概念を込める」やりかたです。

 自己PRの定番「あなたを色で例えると」「動物で例えると」などで、即答は出来るものの、理由付けが薄っぺらだったりネタが続かない、なんてパターン、ありませんか?

 「情熱的なので赤」「献身的なので犬」

 これではあまりに平板。「安倍・安保・不安・安心・安村」まで幅広く、人名や現象、時事問題をひっくるめて「安」の一字で象徴するやり方を参考にしてみましょう。最初は連想ゲームのような感じでもいいと思います。

 ・赤 → 情熱・血液・トマト・リンゴ・赤っ恥・闘牛・信号の止まれ……
 ・犬 → 献身的・鼻が利く・スパイ・しっぽを振る・散歩・昔話……

 キーワードの中に、自分のエピソードと結びつくものが複数あればしめたもの。例えた「ひとこと」の背後に複数の理由がある、という引き出しの豊富さ(=人間的な奥行き)を示すことが出来ます。

今週のおまけ ~自分の生まれた年、流行語は何だった?~

 「新語・流行語大賞」の第1回は1984年。私が12歳(!)の時ですね。これを読んでいる皆さんの9割方はこの世に存在していないことでしょう……(苦笑)。当時は「新語」と「流行語」それぞれに金賞と各賞を選ぶ形式でした。ちなみにそれぞれの金賞は

 新語=オシンドローム
 流行語=まるきん まるび

 でした。まあ皆さん「???」でしょうね……。

 皆さんが生まれるか生まれないかのちょうど端境くらいの20年前、1995年の年間大賞を見てみると……

 無党派/NOMO/「がんばろうKOBE」

 の三つでした。さすがにこの辺だと皆さんも分かるかな? 「応用編」ではないですが、自分の生まれた年に選ばれた「新語・流行語大賞」を調べてみて、話題づくりに生かすのも面白いかもしれません。

 なお「今年の漢字」は第1回がまさに20年前。選ばれたのは「震」でした。阪神・淡路大震災、オウム真理教事件、金融機関崩壊……と身震いするような年だったことが分かります。