言葉マイスター ナカハラハラハラ 略歴

2015年03月18日

つかみはオッケー?~見出しについて・その1

 突然ですが、皆さん。ちゃんと新聞読んでいますか?
 まあこの「あさがくナビ」に登録している人たちなら、複数とは言わずとも、せめて朝日新聞は精読していますよね?(笑)

 笑顔のプレッシャーはさておき、忙しい中でも新聞を読むコツの一つに「見出し読者になる」というものがあります。朝刊だとだいたい40ページ、情報量にして新書2冊分とも言われる記事を全て読むには、どんなに速くても1時間以上かかります。
 ところが見出しをチェックするだけなら、速くて10分、慣れないうちでも15~20分あれば全ページのチェックができる。実に有効な手段です。

 ちなみに私は約3年間、新聞紙面レイアウトをしたり見出しをつける部署(以前は「整理部」、今は「編集センター」と言います)にいました。その経験をもとに、この「見出し」を就活に生かせないか。ちょっと考えてみました。

 まず思いつくのがESです。
 ESには普通、いくつかの質問項目があります。全て文章で書いても構いませんが、「見せ方」の一つとして文章の冒頭に「見出し」をつけるやり方があります。そこに新聞の技を応用してみましょう。

 新聞の見出しにはいくつかルールがあります。その中でも一番大切なことに

 「本文に書いていないことは見出しにしない」
 (記事本文に出てくる言葉を使う。同じ意味の言い換えはOK)

 というものがあります。ちなみにこのルールを守らない見出しを「幽霊見出し」と言います。実態がないから、ですね(笑)。
 ESで見出しをつける時も一緒。本文に「積極性」を示すエピソードが無いのに見出しに「積極的」などを使ってはちんぷんかんぶんです。中身と整合性(前回のテーマですね)が取れているか、よく確認を。

 次に意識して欲しいのは「文字数」です。普通新聞の見出しは原則として9~13字程度に収まっています。私が編集者として新人のころ、上司に厳しく言われたのが

 「見出しを読ませるな。見せろ」

 ということでした。忙しい「見出し読者」は、記事をじっくり読んでいる暇がないからこそ、見出しで情報を集めたいわけです。なのに「熟考しないと頭に入らない見出し」をつけていては本末転倒。少ない文字数に情報をギュッと詰めて、まるで画像のように「見るだけ」で意図を伝えなければならない、ということなんですね。

 ESの見出しも一緒。人気企業には万単位のESが届きます。採用担当者がES1枚に目を通す時間は2~3分、短い人は1分程度といいます。それなのに「文章」のような見出しをつける人が割といます。例えば

 「1カ月の短期語学留学で得た積極性。少ない時間を工夫でカバー」

 のように(よく見るでしょう?)。体言止めは見出しらしくていいのですが、いかんせん長い。

 これに似たもの、ESだけではなく学級通信やミニコミ紙なんかでもよく見ます。厳しいことを言わせてもらうと、我々「プロ」からすると「ダサい」。これなら見出しにしなくても、普通に地の文で書いてしまえばいいですよね。

 私ならせめてこうします。

 「短期留学で得た積極性」
 「語学留学で得た積極性」

 後半は要りません(もちろん本文にはその要素入れて下さい)。「1カ月」は「短期」とほぼ同じ意味。どちらかがあれば十分(こちらも本文でちゃんと「1カ月」のデータは落とさないこと)。
 あなたの売り(積極性)が「期間」より「語学」で培われたのなら、「語学」の要素を生かしましょう。

 ちなみにもし「語学」をアピールしたいなら、私なら

 「仏語留学で~」(独語留学で~/英語留学で~)

 とするかな。同じ文字数でも情報量が多くなるでしょう?

 もっと言えば、上の二つですら重い。私ならこのくらい思い切ります。

 「積極性 留学でゲット」

 「一番言いたいことは前に持ってくる」というルールも見出しでは重要です。いわゆる「倒置」ですね。あと、「助詞はなるべく省く」(この場合「を」)。これでグッと見出しらしくなります。

 「得た(獲得)」を「ゲット」とカタカナ言葉にしたのは、上記した「見せる」ことを重視した結果。漢字が続くと読みにくいのです。
 もちろん、そのせいで「短期」「語学」の両要素が落ちたので功罪ともにあるとは思いますが……。

 次回は具体的な例を使って、更に「見出し」らしくする技をお伝えしようと思います。

今週のおまけ ~逆に長すぎる歌のタイトル~

 歌や文学、映画や絵画の「タイトル」もある種「見出し」だと言えます。もちろん新聞とは違いますから、中身と(一見すると)全く関係のないものが付いている場合もありますが。

 1990年代は、なぜかやたらに長いタイトルを歌につける傾向があった記憶があります。
 有名どころだとこの辺でしょうか。

 「あの娘ぼくがロングシュート決めたらどんな顔するだろう」(1990年、岡村靖幸)
 「愛のままにわがままに 僕は君だけを傷つけない」(1993年、B'z)
 「別れましょう私から消えましょうあなたから」(1993年、大黒摩季)
 「タイトでキュートなヒップがシュールなジョークとムードでテレフォンナンバー」(1996年、宮本浩次)

 最近だと、2013年のAKB48のシングル

 「鈴懸(すずかけ)の木の道で『君の微笑みを夢に見る』と言ってしまったら僕たちの関係はどう変わってしまうのか、僕なりに何日か考えた上でのやや気恥ずかしい結論のようなもの」

 が話題になったのを覚えている方も多いでしょう。しかしここまで来るともう文章ですね……(苦笑)。