言葉マイスター ナカハラハラハラ 略歴

2015年03月04日

「です・ます」「だ・である」 どっちがいいの?

 いよいよ3月。就活も本格的にスタートですね。最近あさがくナビに登録して、このコラムを読むのが初めて、という方もいるのかな? 私が担当するのは「ことば」を通じて皆さんの就活をサポートするコラム。肩の凝らない内容をめざしていますから、どうぞ時間のあるときに過去分も読んで下さいね。

 さて本題。前々回に触れた「文末」。あの更新では「です・ます」「だ・である」についてはサラッと触れるだけでしたが、結構これで悩んでいる就活生が多いので、改めてもう少し整理します。

 まずは大前提。面接は「です・ます」で臨みましょう。いくら自分に自信があっても目上である人事担当者と「直接向かい合って」口頭でやり取りする場では「だ・である」体はそぐわない。さすがにこれは分かるか(苦笑)。

 皆さんが悩むのはESの書き方でしょう。文末をどちらにするべきか。就活指導の書籍やサイトを見ると、両論ありますね。

 ・「だ・である」は自信の表れ。「です・ます」はインパクトが弱く見える
 ・「だ・である」は失礼。「です・ます」で丁寧に
 ・どちらでもいい。自分の書きやすい方で

 答えを言いましょう。全部正解。ん?「ふざけるな金返せ」って?(いやもらってませんけど。笑) だって仕方ないもん。どれもウソじゃないので。

 まずは絶対に揺るがない事実としてあるのが、

 *「だ・である」の方が文章が短くなる = 欄内に書ける情報量が増える

 ということ。これは長い文章を書けば書くほど端的に分かります。一文字でも多く自分の情報を伝えたい(伝えるべき)ESにおいて、このメリットは見逃せない。しかし

 *「だ・である」は文体が強く・硬くなる = 力強さの反面、尊大に見えるリスクもある

 更に付け加えると、「確固たる論拠」を求めたくなる印象も与えます。例えば次の文を見てみましょう。

 ・「体力には自信がある」
 ・「体力には自信があります」

 前者は「ほう? で、どのくらい働けるの?」とすぐさま問い詰めたくなりますが、後者は「へえそうなんだ」と引き取った上で、質問を投げたくなりますね。「なんだ印象論か」と言いたくなる気持ちも分かりますが、ESや面接(特に一次面接)においては「印象」が一番大事といっても過言ではありません。

 「じゃあやっぱり『です・ます』が無難?」と言いたくなる気持ち、分かります。実際のところ、大多数のESが「です・ます」であるのは事実ですから。しかし一番大事なことは何か。結局「その文体で自分のことが書けるのかどうか」でしょう。「だ・である」の方が良い中身を書けるならどんどんやればいい。ぶっちゃけ「だ・である」だから選考を落とす、なんてことはまずありません(あるとしたらその会社の姿勢を疑います)。

 次に大事なのが、あなたの志望する企業(や業種)のスタイル。「だ・である」が求められる、むしろみんなそっちで書くのが主流ならそうすべきです(広告やマスコミにはよく見受けられます)。これはOB・OG訪問で質問すればすぐ分かるはず。

 こういうことを書くと「なんだ結局周りと同じことをしなきゃダメなのか。いかにも日本人だ。つまらん。俺は嫌だ」なんて失望する人がいるかもしれません。いやあ、その発想がもう古いというかダメ。本当の「個性」とは、奇抜なことをして発揮するものではありません。それはただの悪目立ち。

 同じルールにのっとって、その中でいかに「自分」を見せるか(見えてくるか)。それこそが「個性」でしょう。ES(や面接)で言えば、いかに唯一無二なエピソードを紡げるか。それを表出するのに「です・ます」か「だ・である」であるかは、正直あまり大きな問題ではありません。

 ただ一つだけ絶対に忘れて欲しくないのは、文体は必ず「統一する」こと。混在はダメです。「整合性」は他にも大事……って、長くなってきたので、この話は次回に。

今週のおまけ ~「大好きだ」と「大好きです」~

 前回の「おまけ」では「『愛してる』や『好き』という言葉を使わずに気持ちを表す」大切さについて語っておいてなんですが、今日は直球の例です(苦笑)。

 「大好きだ」と「大好きです」
 
 やっぱり受ける印象が違いますよね。前者の方が力強い。代表格と言えばやはりこれでしょう。

 ♪大好きだ 君が 大好きだ
 ♪僕は全力で走る
 ♪大好きだ ずっと 大好きだ
 ♪声の限り叫ぼう
 ♪大好きだ 君が 大好きだ
 ♪息が苦しくなるよ
 ♪しまっておけない
 ♪大声ダイヤモンド

 AKB48のメジャー10作目「大声ダイヤモンド」。AKBが世に知られるきっかけを作った2008年の曲です。オリコン週間ランキングは3位で、初のトップ5入りを果たしました。
 余談ですが、どちらかと言えばAKBに距離を置いていた私がハマるきっかけとなった曲でもあります(笑)。

 一方「大好きです」といえば、まさにそのものずばりの「全体的に大好きです。」という曲を思い出します。モーニング娘。などと同じ、つんく♂さんがプロデュースするハロー!プロジェクトの一員、3人組女性グループ「シェキドル」の曲。2000年から2年弱と活動期間は短かったのですが、当時にしては珍しい、あまりアイドル感を前面に出さない楽曲が特徴的でした。

 この曲も冒頭で

 「全体的に大好きです。」

 というフレーズが4回繰り返されます。これは誰もが耳にしたことのあるベイ・シティ・ローラーズ「サタデー・ナイト(Saturday Night)」の有名なフレーズ「S! A! TUR! DAY! NIGHT!」とそっくりに、「全・体・的に・大好き・です」と区切って歌うのです。めちゃめちゃ耳に残る!

 ちなみにモーニング娘。の3枚めのアルバムには「愛車ローンで」という曲がありましす。これもザ・ナックの「マイ・シャローナ」(「アメトーーク!」のテーマ曲でおなじみですね)のタイトルをもじっている上に、イントロもそっくり。どちらも洋楽好きなつんく♂さんの遊び心が光りますね。

 ……今回のおまけ、情報量多すぎるな(苦笑)。