さて本題。前々回に触れた「文末」。あの更新では「です・ます」「だ・である」についてはサラッと触れるだけでしたが、結構これで悩んでいる就活生が多いので、改めてもう少し整理します。
まずは大前提。面接は「です・ます」で臨みましょう。いくら自分に自信があっても目上である人事担当者と「直接向かい合って」口頭でやり取りする場では「だ・である」体はそぐわない。さすがにこれは分かるか(苦笑)。
皆さんが悩むのはESの書き方でしょう。文末をどちらにするべきか。就活指導の書籍やサイトを見ると、両論ありますね。
・「だ・である」は自信の表れ。「です・ます」はインパクトが弱く見える
・「だ・である」は失礼。「です・ます」で丁寧に
・どちらでもいい。自分の書きやすい方で
答えを言いましょう。全部正解。ん?「ふざけるな金返せ」って?(いやもらってませんけど。笑) だって仕方ないもん。どれもウソじゃないので。
まずは絶対に揺るがない事実としてあるのが、
*「だ・である」の方が文章が短くなる = 欄内に書ける情報量が増える
ということ。これは長い文章を書けば書くほど端的に分かります。一文字でも多く自分の情報を伝えたい(伝えるべき)ESにおいて、このメリットは見逃せない。しかし
*「だ・である」は文体が強く・硬くなる = 力強さの反面、尊大に見えるリスクもある
更に付け加えると、「確固たる論拠」を求めたくなる印象も与えます。例えば次の文を見てみましょう。
・「体力には自信がある」
・「体力には自信があります」
前者は「ほう? で、どのくらい働けるの?」とすぐさま問い詰めたくなりますが、後者は「へえそうなんだ」と引き取った上で、質問を投げたくなりますね。「なんだ印象論か」と言いたくなる気持ちも分かりますが、ESや面接(特に一次面接)においては「印象」が一番大事といっても過言ではありません。
「じゃあやっぱり『です・ます』が無難?」と言いたくなる気持ち、分かります。実際のところ、大多数のESが「です・ます」であるのは事実ですから。しかし一番大事なことは何か。結局「その文体で自分のことが書けるのかどうか」でしょう。「だ・である」の方が良い中身を書けるならどんどんやればいい。ぶっちゃけ「だ・である」だから選考を落とす、なんてことはまずありません(あるとしたらその会社の姿勢を疑います)。
次に大事なのが、あなたの志望する企業(や業種)のスタイル。「だ・である」が求められる、むしろみんなそっちで書くのが主流ならそうすべきです(広告やマスコミにはよく見受けられます)。これはOB・OG訪問で質問すればすぐ分かるはず。
こういうことを書くと「なんだ結局周りと同じことをしなきゃダメなのか。いかにも日本人だ。つまらん。俺は嫌だ」なんて失望する人がいるかもしれません。いやあ、その発想がもう古いというかダメ。本当の「個性」とは、奇抜なことをして発揮するものではありません。それはただの悪目立ち。
同じルールにのっとって、その中でいかに「自分」を見せるか(見えてくるか)。それこそが「個性」でしょう。ES(や面接)で言えば、いかに唯一無二なエピソードを紡げるか。それを表出するのに「です・ます」か「だ・である」であるかは、正直あまり大きな問題ではありません。
ただ一つだけ絶対に忘れて欲しくないのは、文体は必ず「統一する」こと。混在はダメです。「整合性」は他にも大事……って、長くなってきたので、この話は次回に。