言葉マイスター ナカハラハラハラ 略歴

2015年02月18日

「思います」、必要ないと思います

 前々回「書き出し」の大切さについてお話ししました。今日のテーマは「書き終わり」、文末についてです。
 ES(や面接)の役割とは、何度も書いてきましたが「あなたがどんな人か」を相手に伝えることにつきます。人事担当者や面接官はあなたのことを何も知らないのです。情報源は履歴書、ES、そしてあなた自身だけ。

 そこで一番大切なことは何か。「言い切る」ことです。「私はこういう人間です」を、ポンと相手に投げかける。

 そこで具体的なテクニックをひとつ授けます。改めて、今回のタイトルを見て下さい。
 何のこっちゃ、と思うでしょうか。要は「文末に『思います』を可能な限り使わない」ということです。以下の文章を見てみましょう。

 1:(「消費増税についてあなたの意見を教えて下さい」)必要だと思います。なぜなら~
 2:(「若者のSNS依存についてどう思いますか」)依存し過ぎは当然良くないと思います。私自身もツイッターやLINEを~
 3:(「あなたの長所は?」)決断力があるところだと思います。大学のテニスサークルでも~

 いずれも前々回に書いた「前置きは要らない」をきちんと踏まえていますね。しかしいずれも文末が「思います」ばかり。これがそれぞれ別の人(ES)ならいいですが、もし一人の人、そして一枚のESからこの3文が出てきたとしたら……。いささか平板で稚拙な印象を受けます。

 そもそも「思います」には自分の意見を伝える際、クッションと言うか一呼吸置く柔らかさがあります。それはいかにも日本人らしい「優しさ」だとも言えますが、同時に「弱さ」でもある。ちょっときつい言い方をすれば「まどろっこしい」んですね。ではどうするか。

 1':必要だと確信しています。なぜなら~

 「確信する」という硬い表現で強い意思を感じさせます。以前話した「漢字+する」はなるべくやめる、というのを応用して「信じています」でもよいでしょう。

 2':依存しすぎは当然良くないと 考えます。私自身もツイッターやLINEを~

 「考えます」の方が「思います」より主体的な印象があります。「感じます」でもよいでしょう。

 「ん?それって主観的じゃない?要は語感の差では?」との意見もあるでしょう。それでいいんです。上記したように「私はこういう人間です」という印象を相手に刻むことが大事なんですから。
 更に言うと、「思います」以外にたくさんの語彙を持っていることは、それだけで十分な「知性」の証しです(この辺りは連載2回目で「繰り返しを避ける」としても話しました)。

 3':決断力です。大学のテニスサークルでも~

 「決断力」と言っておきながら「思います」で留保するのはナンセンス、というかほとんど言語矛盾ですよね(笑)。ここは断言しましょう。
 実は1、2も言い切って構いません。「必要です」「良くないです」。もちろんその主張を裏付けるだけの強さ(具体的なデータ、エピソード)が必要にはなりますが。

 文末と言えばよくESの書き方で、「ですます」と「だ、である」、どちらがいいですか?と聞かれることがあります。個人的には

 「混在させず、全体がどちらかに統一されていればどちらでもOK」

 と答えます。

 「ですます」に比べ「だ、である」は、端的に短く表現できるので、同じ字数でもより多くの内容を盛り込めるという利点があります。しかし「だである」だと見た目がきつそう、と不安なら「ですます」で書くしかない。いずれにせよ、「あなた自身」をプレゼンするのに一番ふさわしい表現を見つけて下さい。

【今週のおまけ ~めし、どこか、たのみたいと思います~】

 文末が印象的な歌詞と言ったら、もうこれしかありません。ロックバンド、サンボマスターの「世界はそれを愛と呼ぶんだぜ」。フジテレビ系ドラマ「電車男」(2005年)の主題歌としても有名ですね。

 まずタイトルからして「世界はそれを愛と呼ぶ」でもなく「世界はそれを愛を呼ぶんだ」ですらない。「~ぜ」という念押しの終助詞をだめ押しで重ねることによって、メッセージ性がこれでもか、と言わんばかりに強まっています。

 上記した「ES(や面接)で言い切れ!」とはベクトルが反対かもしれませんが、「自分(たち)の思いを伝えたい」という点では共通しています。あの暑苦しい歌唱(褒めています)とマッチして、心かき立てられれるラブソングです。あまり男性ボーカルの曲を聴かない私にとっても、大好きな歌のひとつです。

 一番のサビが

 ♪新しい日々をつなぐのは 新しい君と僕なのさ
 ♪僕等なぜか確かめ合う 世界じゃそれを愛と呼ぶんだぜ
 ♪
 ♪心の声をつなぐのが これ程怖いモノだとは
 ♪君と僕が声を合わす
 ♪今までの過去なんてなかったかのように歌い出すんだ

 で、二番は

 ♪新しい日々を変えるのは いじらしいほどの愛なのさ
 ♪僕等それを確かめ合う 世界じゃそれも愛と呼ぶんだぜ
 ♪
 ♪心の声をつなぐのが これ程怖いモノだとは
 ♪僕等なぜか声を合わす
 ♪今までの過去なんてなかったかのように歌い出すんだぜ

 となっています。前半の最後、一番が「それを」なのに対し二番が「それも」となっている重み。そしてサビの最後、一番は「歌い出すんだ」だったのが二番で「~ぜ」の一文字がついて、圧倒的に説得力が増しています。良い歌詞だ!