ES(や面接)の役割とは、何度も書いてきましたが「あなたがどんな人か」を相手に伝えることにつきます。人事担当者や面接官はあなたのことを何も知らないのです。情報源は履歴書、ES、そしてあなた自身だけ。
そこで一番大切なことは何か。「言い切る」ことです。「私はこういう人間です」を、ポンと相手に投げかける。
そこで具体的なテクニックをひとつ授けます。改めて、今回のタイトルを見て下さい。
何のこっちゃ、と思うでしょうか。要は「文末に『思います』を可能な限り使わない」ということです。以下の文章を見てみましょう。
1:(「消費増税についてあなたの意見を教えて下さい」)必要だと思います。なぜなら~
2:(「若者のSNS依存についてどう思いますか」)依存し過ぎは当然良くないと思います。私自身もツイッターやLINEを~
3:(「あなたの長所は?」)決断力があるところだと思います。大学のテニスサークルでも~
いずれも前々回に書いた「前置きは要らない」をきちんと踏まえていますね。しかしいずれも文末が「思います」ばかり。これがそれぞれ別の人(ES)ならいいですが、もし一人の人、そして一枚のESからこの3文が出てきたとしたら……。いささか平板で稚拙な印象を受けます。
そもそも「思います」には自分の意見を伝える際、クッションと言うか一呼吸置く柔らかさがあります。それはいかにも日本人らしい「優しさ」だとも言えますが、同時に「弱さ」でもある。ちょっときつい言い方をすれば「まどろっこしい」んですね。ではどうするか。
1':必要だと確信しています。なぜなら~
「確信する」という硬い表現で強い意思を感じさせます。以前話した「漢字+する」はなるべくやめる、というのを応用して「信じています」でもよいでしょう。
2':依存しすぎは当然良くないと 考えます。私自身もツイッターやLINEを~
「考えます」の方が「思います」より主体的な印象があります。「感じます」でもよいでしょう。
「ん?それって主観的じゃない?要は語感の差では?」との意見もあるでしょう。それでいいんです。上記したように「私はこういう人間です」という印象を相手に刻むことが大事なんですから。
更に言うと、「思います」以外にたくさんの語彙を持っていることは、それだけで十分な「知性」の証しです(この辺りは連載2回目で「繰り返しを避ける」としても話しました)。
3':決断力です。大学のテニスサークルでも~
「決断力」と言っておきながら「思います」で留保するのはナンセンス、というかほとんど言語矛盾ですよね(笑)。ここは断言しましょう。
実は1、2も言い切って構いません。「必要です」「良くないです」。もちろんその主張を裏付けるだけの強さ(具体的なデータ、エピソード)が必要にはなりますが。
文末と言えばよくESの書き方で、「ですます」と「だ、である」、どちらがいいですか?と聞かれることがあります。個人的には
「混在させず、全体がどちらかに統一されていればどちらでもOK」
と答えます。
「ですます」に比べ「だ、である」は、端的に短く表現できるので、同じ字数でもより多くの内容を盛り込めるという利点があります。しかし「だである」だと見た目がきつそう、と不安なら「ですます」で書くしかない。いずれにせよ、「あなた自身」をプレゼンするのに一番ふさわしい表現を見つけて下さい。