2023年12月06日

2025卒人気企業ランキング発表! 1位は6年連続あの企業、ランキングにない企業にも注目を【就活イチ押しニュース】

テーマ:就活

 就職情報会社の学情が、毎年恒例の「就職人気企業ランキング(2025卒対象)」を公表しました。総合ランキングのほか、文系・理系別や男女別、29業種別のランキングも発表しています。くわしくは下記のリンクからご覧下さい。

2025年卒対象 人気企業ランキング

 6年連続で1位となったのは総合商社伊藤忠商事でした。そのあと講談社集英社任天堂と、強いコンテンツを持っている企業が続いています。自分の志望企業はどのくらい人気があるのかをチェックするのも面白いですし、なによりまだこのランキング表の中にはみなさんの知らない企業も入っていると思います。企業を知るきっかけとしても活用できるでしょう。

 ランキングは2023年4~10月、「あさがくナビ」会員や学情主催のイベント来場学生を対象にアンケートを行い作成しています。まだ就職活動をはじめてまもない学生が多いことから、上位に並ぶ企業は一般的な知名度が高い企業がほとんどという結果になっています。

 しかし、世の中には知名度は高くなくても優良な企業はたくさんあります。なによりも、就活で大切なことは知名度が高い企業を選ぶことではなく、自分が一番パフォーマンスを発揮できる企業と「マッチング」することです。ランキングに入っている企業のチェックはもちろん、これ以外にもいい企業があると考えて一度にたくさんの企業をチェックできる合同説明会などを積極的に活用し、選択肢の幅を広げましょう。(編集部・福井洋平)

(写真・東京・北青山にある伊藤忠商事の本社ビル=2022年)

伊藤忠は働き方改革で社内出生率上昇

 伊藤忠商事はいわゆる総合商社です。総合商社は日本特有の業態と言われ、特に売上の大きい三菱商事三井物産、伊藤忠商事は「三大商社」とも呼ばれます。これに住友商事丸紅を加えて「五大商社」、豊田通商双日を加えて「七大商社」と呼ぶこともあります。賃金もよく、また資材やエネルギーからソフトウェアまで扱わないものはないほどビジネスの幅が広く、チャレンジングな仕事ができることから昔から人気の高い業種のひとつです。今回は三菱商事が20位、住友商事が49位、三井物産が94位にランクインしています。このなかでも伊藤忠商事の人気が高い理由は、非資源分野に強くコンビニ大手のファミリーマートやアパレルなど学生にも親しみのある分野に進出していることが上げられます。さらに午後8時以降の残業を禁止し仕事を朝型にシフトする「朝型勤務」を取り入れるなど働き方改革への取り組みも評価されています。伊藤忠商事の社内出生率は2021年度で1.97と、東京都の1.08人 に比べておおよそ倍まで向上。総合商社といえば激務、夜型というイメージを払拭しつつあります。そのため、伊藤忠商事は女性からの人気も高くランキング3位につけています。

●商社についてくわしくはこちら
5大商社株を「投資の神様」が買い増し 「永遠に生き延びる」理由【業界研究ニュース】

大学生ならではの経験求める

 伊藤忠商事については、2023年シーズンの「人事のホンネ」で採用担当者にインタビューしています。

前編 後編

 インタビューでは大学生のみなさんに、「自転車で日本一周するとか、田舎に行って農業をやるとか、本を読んで映画を観て物思いにふけるとか、人生経験を積む時間をもっととってほしい」「少しでも多く大学生ならではの体験をし、いろんなことに時間を使って人間的な魅力を高めて就活に臨んでほしい」というアドバイスを送っています。また、商社は「キラキラしたイメージがあると思うが、現場はトラブルだらけで、それらをどう処理して利益を守ってビジネスを積み上げるかに奔走しているのが実態」ともいいます。大学時代に幅広く、深く経験を積むことで未知のトラブルに対応できる懐の深さを築くのがポイントとなりそうです。ぜひインタビューを読んで、参考にしてください。

コンテンツ産業は「好き」だけではダメ

 今回は、トップ10にここ20年ではじめて出版社が4社入りました。出版不況と言われて久しいですが、上位に入った出版社=講談社集英社KADOKAWA小学館はそれぞれメディアミックスに成功した強いコンテンツを持ち、デジタル展開やIPビジネスに積極的に取り組んでいることが特徴です。コロナ禍で娯楽が限られるなか、スマホでも簡単に見られるマンガやアニメ、ゲームといったコンテンツの人気は高まっており、ビッグヒットも毎年生まれています。そういったところがランキング上昇の原因ではないかと思われます。

 就活ニュースペ―パーではこれまで「人事のホンネ」で講談社(2016シーズン)、KADOKAWA(2019シーズン)、ソニーミュージックグループ(2021シーズン)、東宝(2022シーズン)、スクウェア・エニックス(2023シーズン)などのコンテンツ系企業にインタビューしてきました。記事は、「就活ニュースペーパー」のトップページにあるメニューの「就活と企業を知る」→「人事のホンネ」から探してください。

 採用のポイントで共通するのは、コンテンツが「好き」というだけでは突破できない壁があるということ。「『好き』というファンの視点を理解したうえで、『もっとこうしたほうがいい』『私ならこうする』というプラスの視点が必要です。『愛あるダメ出し』ができて、より良くする視点、拡大する視点を持っていてほしい」(ソニーミュージック)、「ゲームやマンガなどのエンタメを仕事にするというのはどういうことなのか、しっかり考えてくれる学生と会いたい」(スクウェア・エニックス)という声があがっています。「好き」を「仕事」につなげられるようにするためには、仕事に対する深い理解と幅広い知識が求められます。コンテンツ産業に入りたい方はぜひインタビューを読んで参考にしてください。

 ただ、2023年の採用人数で見ると講談社は27人、集英社は24人、小学館は17人、KADOKAWAは32人と、正直かなり狭き門です。売上規模の大きい大手出版社でもこうですから、コンテンツ系、それも名前の知れ渡った企業だけを狙って就活を進めていると行き詰まる可能性もあります。

(写真・講談社の社屋前にあるショーケース=2020年)

「業界地図」や合同説明会で視野広げて

 コンテンツ系に限らず、今回のランキングで上位にくる企業のほとんどは、消費者向けのビジネス=B to Cビジネスが主軸です。対企業のビジネス=B to Bビジネスが主軸の企業は、たとえばトップ10を見ても伊藤忠商事と大手印刷業の大日本印刷の2社のみです。

 日本の企業の大半はB to B企業で、売上の大きな会社もたくさんあります。なんとなく知っている企業名だけを頼りに就職活動をしていると、そういった優良企業、自分にマッチするかもしれない企業を見落とす可能性は高いです。先日取材をしたある企業の人事担当者は自身の就活を振り返り、1年目はアートや映画・ドラマに関わる仕事をめざし業界を絞って受けたが「自分の成長機会が失われる」と感じ、2年目はシロアリ駆除の会社やメガバンクなど100社ほど見て、いまの会社に決まったと教えてくれました。

 今年ある化学メーカーに内定した学生さんも、文系学部で最初はまったく化学業界を意識していなかったのが、いろいろな会社のインターンシップに参加するなかである化学メーカーの仕事に強く惹かれたことでいまの会社を受け、内定に至ったそうです。できるだけ幅広い業種をチェックすることが就職活動では大切です。

 そのためにぜひ活用してほしいのが就活ニュースペーパーでも何度も触れている、各出版社が出しているいわゆる「業界地図」 です。あらゆる業界の4000社もの企業が載っていますので、パラパラめくりながら自分が興味ある業界、興味のなさそうな業界をチェックしていくだけでも視野がぐっと広がります。また、企業がたくさん集まる合同説明会に足を運ぶのも企業研究にはきっと役立ちます。学業に就活に忙しいと思いますが、ぜひスケジュールをチェックしてみてください。

(写真・合同説明会の様子)

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