2023年09月15日

大学のキャリア相談室はとにかくフル活用を!【イチ押しニュース特別編 先輩に聞く!①】

テーマ:学生の就活ルポ

 企業の採用意欲が高まり、「売り手市場」と言われている2024年卒(大学4年生)の就職活動。今年6月末時点で、「あさがくナビ」2024年卒の84.4%が内々定を獲得しています(学情調べ)。一方で、大学側からは内定をもらえる学生ともらえない学生の「二極化」が進んでいるとの声も聞かれます。売り手市場だからといって、のんびりしているわけにはいかないようです。

 今回、2024年卒ですでに意中の企業に内定を得た大学生2人に、自身の就活を振り返ってもらいました。2人の就活に共通していることは「スタートの早さ」と「大学就職課、OB・OG訪問の活用」。そのほかにも参考になる話がたくさん聞けました。2回にわけてお届けします。(編集長・福井洋平)

【お話をうかがった先輩のプロフィル】
大川さん(仮名、男性)……首都圏の国立大法学部4年生。1年留年し、外資系金融機関に内定。
鈴木さん(仮名、男性)……首都圏の私立大理工学部4年生。自動車メーカーに内定。
(写真・PIXTA)

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夏インターン全敗も 経験生かし冬に再起

■就活を始めた時期
 鈴木 3年生の夏インターンから開始しました。自動車業界にもともと行きたくて大学でも自動車関連のサークルに入っており、インターンシップも自動車関連企業を中心に10社くらい申し込んで、すべて通過しました。そのなかで1社、2週間泊まり込みのインターンシップに参加しました。ほかにも秋に2日間のインターンシップに参加しています。

 大川 私も3年生から始めました。実際に働いて自分にどういう仕事が合うのかを見極めたくて長期間働けるインターンシップを探そうと、「長期インターン ベンチャー」で検索して見つけた金融系ベンチャー企業に、最終的には昨年の6月から8カ月間お世話になりました。そのインターンを通して金融系の仕事に興味を持つようになり、3年夏 のインターンシップには金融系10社程度に申し込んだんですが、実はこのときは全部選考で落ちたんです。

 選考フローはどこも同じようなもので、ESがあり、そのあと企業側が出すお題に動画で返信し審査してもらう「録画面接」を経てグループディスカッション(GD)や社員面接、という流れでしたが、私はこのGDや面接を突破できませんでした。
 このころは、面接で自分をよく見せなければ、いいことを言わなければという意識にとらわれていたと思います。ただ、たくさん面接を受けたことで慣れてきて、だんだんフランクに、自分を素直に出せるようになってきて、どういう質問が来るかもわかるようになってきました。冬には20社くらいインターンシップを受けましたがこのときはかなり選考にパスできるようになり、結果的にはそのうちの1社に内定をいただくことができました。実は本選考では補欠だったようなんですが、辞退者が出て、今年のゴールデンウィーク前に面接に呼ばれて内定をいただきました。

(写真・鈴木さん=左、大川さん=右 撮影・編集部)

志望動機は最後には熱意をアピール

■エントリーシート(ES)
 大川 ESはサークルの先輩や、大学のキャリア相談室に添削をお願いして、ブラッシュアップしていきました。社会人では常識だけど学生は知らない、ということがあって、たとえば御社と貴社、弊社の使い分けなどの言葉遣いなどを教わりました。
また、書きたいことをなるべく箇条書きにして、ともアドバイスされました。私が志望する理由は三つある、一つは、二つは、三つはみたいに、まず三つあるということを提示しないとわからないと言われましたね。

 鈴木 私もそれは言われました。社員はたくさんESを読んでいるから、それくらいまとめておかないと読んでくれないと。
また私は理系ですが、ESで専門的なテーマを書くときには、文系の人でも読んでわかるようになるべくかみくだいて説明したほうがいいとアドバイスされました。

 大川 志望動機については「論理性が重視される」と僕は思っていたんです。でも面接では最後に必ず「どうしてうちの会社を志望したのか」と聞かれるんですが、そこでいくら論理的に語っても絶対に穴が出てくるんです。とりわけ金融系だと、扱う商品はどこも同じようなものですから違いを論理的に説明しきれない。
だから、最後は熱意をアピールする、会社の雰囲気につながるように語れるようにすると面接はうまくいく、と教わりました。そのとき話す内容と合致するようにESの要素も考えておく、ということも教えていただき、心にとめていました。

(写真・PIXTA)

「会社の製品好き」だけでは内定できない

■面接
 大川 なので、面接では最後は情熱を伝えるようにしたら、通過するようになりましたね。それと、わからないことはとりつくろったり噓をついたりせず、すなおに「わからないです、教えてください」と言った方がいいということもアドバイスされました。

 鈴木 私は逆でした。製造業での話だと思うのですが、製品がすごく好きという理由で企業を志望すると、入社後にその製品に関わる仕事ができなかったり、理想とのギャップが大きかったりしてすぐ辞めちゃう人がいるらしいです。なのでOBの方からは、あまりその企業の製品が好きというアピールはしないほうがいいと言われました。私はむしろ、その企業に対して「こういうことをしたらいいのでは?」という改善点を伝えるようにしてほかの人との差別化をはかっていました。たとえばハイブリッドの技術をどうしたらいいとか、EVへの取り組みをどうしたらいいとか、そこをエンジニアとしてはこう考えるといった内容です。

 あとは、オンライン面接対策に3000円くらいの、ユーチュ―バーが使っているライトを買いました。表情もよく見えるようになるし、本当に印象が変わります。

 大川 ライトは僕も買いました。あと、カメラも自分が一番まっすぐに見えるように位置を考えました。

 鈴木 自分は大学に入学してすぐコロナ禍になった世代ですが、コロナ禍という制限のもとでどういう行動をしてきたのか、ということは面接で聞かれました。自分はサークルでの活動が比較的充実していたので、しゃべりやすかったですね。オンラインで学生20人くらいが打ち合わせすると結構混乱するんですが、そこを小さなグループにわけて意見をまとめていけるよう工夫したり、活動のモチベーションが落ちてきたときはオンラインで自動車レースを観戦してテンションを高めたり、そういった工夫について話したりしました。

 大川 話す内容も大事ですが、それをどのように説明するかを見られていると思っていました。

 鈴木 よくESでは「○○の売り上げを○円伸ばした」といった「数値」を入れて具体的に書けというアドバイスがありますが、数値を入れることよりも、どうしてそういう結果が出たのかをちゃんと説明できるほうが大事だと思います

 大川 自分がアドバイスを受けて意識したのが、「しゃべりすぎないように」ということ。1から10まで全部説明せず、相手が聞いてくれるのを待つ。相手も何人も面接して疲れているでしょうから、相手が聞きたいことだけ答えよう、と考えていました。

 鈴木 それは本当に重要ですね。


(写真・損保会社のオンライン面接=2023年6月1日、朝日新聞社撮影)

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