2025年05月14日

大手マスコミに落ちて本当の自分の志望に気づく【26卒学生の就活ルポ32】

テーマ:学生の就活ルポ

 2026年卒学生の就職活動を適宜、「就活ニュースペーパー」で紹介するこのコーナー。今回は、マスコミ系を志望する都内女子大のシュリさんがひさしぶりの登場です。年があけてから大手マスコミに立て続けに落ちて沈んでいたシュリさんですが、心機一転、地元のタウン情報紙に内定しました。残念な結果が続くなかで自分が本当にやりたいことを考え、地元に戻りたいという思いに気づいたというシュリさん。いまのところ、これ以上の就活はしない可能性が高いといいます。(編集部・福井洋平)
(写真はiStock)

【都内女子大 文系学部3年 シュリさん】

■内定をもらうことがゴールになっていた
 1月に、大手マスコミの選考に立て続けに落ちました。どちらも書類選考は通過したのですが、次の面接を突破できませんでした。

 緊張してしまい、受け答えがいっぱいいっぱいになってしまいました。それ以上に、「この会社だからこそこういうことをやりたい」という、それぞれの会社独自の強みやと自分の志望との結びつけに踏み込めず、「うちの会社じゃなくてもよくないか」と思われたのではないかと感じます。

 純粋に、熱意が足りなかったんだなと思います。新聞社で働いて、将来こういう人になって……という未来がちゃんと見えていませんでした。小学生くらいから漠然と新聞記者になりたいという夢を描いていたんですが、ぼんやりしすぎていたんです。内定をもらうことがゴールで、将来のことをきちんと考えていなかったな、と思いました。

■地元に帰って生活したい
 1社目に落ちたときは泣きましたが、2社目に落ちたときは素直に「自分は記者に向いてないのかも」と思って、悲しかったですが、「ほかの会社を見るチャンスだ」と切り替えることができました。そうなったときに強く思ったのが、自分の地元に帰りたい、ということでした。もともと大学で上京したときもかなりホームシックになったりして、ずっと心のなかでは自然の豊かな地元に帰って生活したいという希望が大きかったのかもしれません。全国紙は全国転勤が必須ですが、本当に自分ができるのだろうかとも思っていました。最初は押さえのつもりで1月にエントリーしていた地元のタウン情報紙に、本気で向き合おうと方針転換しました。ここは、記者も営業職もやる会社です。

 面接は3回あり、途中で時事問題などの筆記テストもありました。面接はオンラインはなくすべて対面で、1次面接は会社側2人に学生側2人、その次の面接は会社側3人に学生側3人でした。いずれもエントリーシートをもとに志望動機や自己PR、大学の専攻や趣味の話などをしました。筆記テストは特に難しくはなかったですが、漢字は苦手なので直前に参考書で対策をしました。

■面接重ねるうちに本命に
 最終面接は会社側1人に学生側3人で、やはり志望動機や自己PR、ガクチカなどを聞かれました。自分の強みをどう活かせるか、ということはしっかり力を入れてアピールできて、手応えは結構あったと思います。「休みは取れるんでしょうか」など、こちら側の質問にも丁寧に答えてくれたことが好印象でした。4月に内定をいただき、内定承諾書をもらうことができました。

 最初は本命ではなかったタウン情報紙ですが、面接を重ねていくうちに社員のみなさんの人柄もよく、最終的にはここ一本に絞ろうと決めることができました。実は地元のメディアはもう1社ありますが、そこにエントリーするかどうかは正直悩んでいます。新しいアルバイトをしてみたい、ボランティア活動をしてみたい、教職をとってみたいなどいろいろやりたいことも出てきています。正直、一1から就活をする気力はなく、就活はいったんここで終わらせたいと思っているところです。

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