2023年03月01日

就活解禁! 「コロナ禍世代の強み」とこれからやるべきこと【イチ押しニュース】

テーマ:就活

 2024年卒採用の就活が3月1日に解禁されました。すでに内々定(内定)を得た学生が3割を超え、選考の早期化がさらに進んでいますが、ほとんどの学生はこれからが本番ですから焦る必要はありません。なかなか思うように進んでいない人、これから本格的に動き始める人は、有名・大企業ばかりでなく、企業間ビジネスのBtoB(Business to Business)の会社や中堅・中小企業に視野を広げてください。人気企業を除けば多くの企業は人手不足で、みなさんに来てほしいと思っている企業が山ほどあります。ただし、自ら積極的に動かなければ内定は得られません。情報を整理しながら、とにかく行動することが肝要です。「ガクチカ」(学生時代に力を入れたこと)や面接に悩んでいる人もいると思います。ここから取り組むべきことをアドバイスします。(編集長・木之本敬介)

(写真・合同企業説明会への入場を待つ学生たち=2023年3月1日、東京都江東区)

内々定率はすでに3割超

 「あさがくナビ」利用学生のアンケート調査では、2月末時点の内々定率は30.8%で、1カ月前から8.9ポイント伸び、前年同期の22.2%を8.6ポイント上回るハイペースです。文理別では、文系が 25.4%で、理系は41.1%と4割超え。理系は前年同期を14.1ポイント上回る大きな伸びとなりました。内々定企業の業種は、「IT・ソフトウェア・インターネット」が17.0%でトップ、「情報・調査・コンサルティング」が14.7%で続きました。内々定の平均獲得社数は1.59 社で、前年同期の1.44 社を上回りました。それでも、「就活をしている」学生は88.2%、「まだしていない」が6.4%で、「内定を獲得し就活を終了」したは5.3%だけでした。ほとんどの学生は、これから本番だということがわかります。調査から1カ月経っているので、現時点ではもっと高くなっていると思いますが、そもそもこの種の調査に協力してくれるのは、ある程度積極的に活動している学生が多い傾向があります。「2割超」という数字を見て、慌てる必要はありません。

企業の採用意欲はコロナ前の水準に

 すでに何社かの選考に落ちて存在を否定されたように感じている人がいるかもしれませんが、自分に合う会社にまだ出会えていないだけです。コロナ不況を越えて、企業の採用意欲は高まっています。昨年9月の学情の企業アンケートでは、2024年卒の採用予定数を「増やす」と回答した企業が20%を超え、「減らす」の5.7倍にのぼりました(グラフ参照)。

 新卒採用ではありませんが、帝国データバンクの調査でも、昨年12月時点で全国約1万社のうち47.5%が正社員が「不足している」と答えました。コロナ禍前の2019年の調査では5割前後で、緊急事態宣言が初めて出た後の2020年5月に29.1%まで急落しましたが、徐々に回復しコロナ禍前の水準近くまで戻ったことになります。学生優位の「売り手市場」が戻りつつあり、今年は予定数を採りきれずに秋や冬まで採用活動を続ける企業が多くなると思います。

BtoBと中堅・中小に目を向けて

 とはいえ、就職人気企業ランキングの上位に名を連ねるようなところばかりに目を向けていると、すぐに「持ち駒全滅」になりかねません。こちらのランキングを見てください。注目してほしいのは、消費者向けビジネスのBtoC(Business to Consumer)企業が圧倒的に多いことです。BtoBでトップ10に入ったのは伊藤忠商事と大日本印刷(DNP)だけ。100位まででもわずか12社です。当然ながら有名なBtoCにはエントリーが殺到します。

 みなさんが目指す産業界では、BtoBのほうが市場規模が大きく、企業数も多いことを知っていますか。一般には知られていなくても、その分野で高い評価を得ている企業がたくさん。就活ではBtoBが狙い目ということです。新聞の株式欄のページを開き、「東証プライム」の一覧を見てみてください。日本を代表する約1800社が名を連ねるトップ市場ですが、「知らない会社」が大半だと思います。その多くはBtoB。「自分が知っている会社はごく一部」だと気づくはずです。中堅中小企業にも目を向けてください。日本には小さくてもキラリと光る企業も多数存在します。企業の知名度や大きさだけにこだわらずに視野を広げれば、内定の可能性はぐっと高まります。

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深い企業研究と学業の頑張りアピールを

 来春卒業予定の今年の就活生は大学入学の直前にコロナ禍に襲われ、「不運なコロナ世代」と嘆いている人も多いと思います。でも、みな条件は同じですし、この世代ならではの特長もあります。先日、あさがくナビの「就活直前対策セミナー」に登場した東京ドームの採用担当者は、「今年の就活生は企業研究が深い。複数の情報源から情報を得て準備している」と感心していました。大学に行けない分、ネット検索などでじっくり調べる時間が多かったのでは、との分析です。オンラインでのOB・OG訪問にも熱心な学生が多いと言っていました。

 サークルに参加する機会がなく、エントリーシート(ES)や面接で必須の「ガクチカに書くことがない」との声もよく聞きますが、そのぶん学業を頑張った学生が多いのも、みなさんの学年の特長です。あさがくナビの学生調査では、「大学生活で力を入れていること」の1位が「大学の授業」、3位が「ゼミ・研究室」でした(グラフ参照=24卒生10~11月調査)。学業で頑張ったことも立派なガクチカです。コロナ禍で工夫したことや、学業での頑張りを自信を持ってアピールしてください。

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対面面接の練習を

 注意してほしいのは、「対面」に慣れていない人が多いことです。コロナ禍を経て面接試験は、初期はオンライン、最終は対面といった「ハイブリッド型」が主流です。昨年も、オンラインには授業で慣れているものの、対面面接でガチガチに緊張して失敗する学生が続出しました。事前に対面面接の練習をしておくことをオススメします。大学のキャリアセンターはたいてい対応してくれるでしょう。すぐに満席になって受けられなければ、親に頼んででもいいので、少なくとも姿勢や目線、声の出し方など基本的なところだけでも見てもらいましょう。オンラインなら小さな声でもマイクが拾ってくれますが、対面で声が届かなければ相手は判断すらできません。企業は「一緒に働きたい人」を選びますから「明るく元気に」が大切。明るさは性格にもよりますが、声は大きくできますよね。いつもより大きくハキハキと話すようにしましょう。

丸暗記はNG、キーワードを押さえ自分の言葉で

 オンライン面接ならメモのちら見もできなくはありませんが、対面ではそうはいきません。だからといって、志望動機などの丸暗記は絶対にしないこと。緊張で飛んでしまったらアウトですし、相手にはバレバレです。せっかくリアルに会っているのに、覚えたことを思い出しながら話す学生に、面接する側は本当にがっかりするものです。いずれの答えも、出だしとオチ、キーワードを押さえて、自分の言葉で思いを込めて伝えてください。「面接は言葉のキャッチボール」です。みなさんが言いたいことを話す場ではなく、企業の「知りたい」に答える場です。質問の意図をくみ取り、思いを込めつつ簡潔に。わかりやすく伝えるコツは「結論➡理由・具体例➡別表現で結論」。エピソードを盛り込みつつ、長くても1分で語れるよう準備しましょう。

 さあ、これからたくさんの企業、社員に出会ってください。就活では「あきらめない」が大切です。企業の知名度や大きさだけにこだわらず視野を広げて行動すれば、あなたにぴったりの企業がきっと見つかりますよ。

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