2023年03月06日

出生数80万人割れ 人口減と低成長の悪循環断ち切るには【週間ニュースまとめ2月27日~3月5日】

テーマ:週間ニュースまとめ

 生まれてくる子どもの数が減っています。2022年の出生数(速報値)は統計のある1899年以降、初めて80万人を割りました。就活生のみなさんが生まれたころは115万人(2002年)くらいでしたから、3割以上減ったことになります。子どもの数が減るということは将来の働き手が減るということですから、経済成長にはマイナスに働きます。そうした将来予測は今の企業の行動にも影響を与えます。経営者は国内向けの投資を抑えようとします。それが日本経済の長い低成長につながっています。低成長になると経営者は賃上げに慎重になり、若い世代の給料が上がりません。給料が上がらないと、若い世代は結婚にも子育てにも慎重になり、子どもの数が減っていきます。悪循環です。この悪循環を断ち切ろうとする動きもあります。今春闘では思い切った賃上げが期待されます。次世代半導体の国内生産を目指すラピダスは5兆円規模の投資をして北海道に新工場を建設することを発表しました。賃上げや国内投資が多くの企業に広がり、長続きすることになれば悪循環に歯止めがかかることになりますが、さてどうなるでしょうか。(ジャーナリスト・一色清)

(写真・北海道千歳市に工場を建設すると発表したラピダスの小池淳義社長(右)と鈴木直道知事=2023年2月28日、札幌市の北海道庁)

【社会】出生数、初の80万人割れ確実に 2022年の速報値(2/28.Tue)

 2022年に国内で生まれた子どもの数は、統計のある1899年以降、初めて80万人を割り込むことが確実になった。厚生労働省が28日に公表した2022年の人口動態統計(速報)で、外国人と、海外で生まれた日本人の子どもを含む出生数は79万9728人だった。国内生まれの日本人に絞り込んだ出生数(概数)は6月に公表される。国の推計方法で計算すると77万人台と見込まれる。40年前の1982年の出生数(国内で生まれた日本人の子ども)は、151・5万人で、40年間でほぼ半減することになる。国立社会保障・人口問題研究所の推計(17年)では、外国人を含む出生数が79万人台になるのは、33年とされていた。国内の日本人に限った出生数が77万人台になるのも、同じ33年と見込んでいた。いずれも想定より11年早く少子化が進んだことになる。

【社会】五輪談合、電通など6社と組織委元次長ら7人を起訴 東京地検特捜部(2/28.Tue)

 東京五輪・パラリンピックの運営業務で談合したとして、東京地検特捜部は28日午後、広告最大手「電通グループ」や業界2位の「博報堂」など法人6社と各社の担当幹部ら6人、大会組織委員会の大会運営局の元次長・森泰夫容疑者(56)の計7人を、独占禁止法違反(不当な取引制限)罪で起訴し、発表した。他に起訴した法人は、広告大手「東急エージェンシー」、イベント制作会社の「セレスポ」と「セイムトゥー」、番組制作会社「フジクリエイティブコーポレーション(FCC)」の4社。広告3位の「ADK」も談合への関与を認定されたが、課徴金減免制度(リーニエンシー)に基づいて公正取引委員会に最初に違反行為を自主申告したため、公取委の刑事告発を免れ、起訴されなかった。
 東京五輪・パラリンピックの運営業務をめぐる談合事件で、公正取引委員会は28日午前、広告最大手「電通グループ」や業界2位「博報堂」など法人6社と、各社の担当幹部ら6人、大会組織委員会の元次長の計7人を、独占禁止法違反(不当な取引制限)容疑で検事総長に刑事告発し、発表した。(2/28.Tue)

【経済】次世代半導体、2025年に試作開始 ラピダスが千歳市の新工場発表 (2/28.Tue)

 次世代半導体の国内生産をめざすラピダスは28日、工場を北海道千歳市に建てると発表した。2020年代後半の量産に向け、2025年に試作を始めることも明らかにした。5兆円規模とされる投資は、北海道で「過去最大の案件」(鈴木直道知事)。高度な技術開発と巨額の資金調達ができるのかが、プロジェクトの成否の鍵を握る。新工場の用地は新千歳空港に近い工業団地「千歳美々(びび)ワールド」。ラピダスの小池淳義社長によると、工場の敷地面積は数十ヘクタールほどの見通し。試作までの研究・開発に2兆円、量産までに3兆円の資金が必要と想定しているという。

【社会】楽天モバイル元部長ら逮捕 携帯電話基地局めぐり不正300億円か(3/3.Fri)

 楽天モバイル(東京都世田谷区)の携帯電話基地局整備事業をめぐり、水増しした業務委託料を同社に支払わせたとして、警視庁は3日、同社の元部長、佐藤友紀容疑者(46)=東京都港区=ら3人を詐欺の疑いで逮捕し、発表した。警視庁は、佐藤容疑者らは2019~21年の3年間で約300億円を同社に不正に支払わせていたとみている。他に逮捕されたのは、物流会社「日本ロジステック」(千代田区)の元常務、三橋一成容疑者(53)と、物流会社「TRAIL」(港区)社長の浜中治容疑者(49)。捜査2課によると、佐藤容疑者は楽天モバイルの物流管理部長だった2021年6月ごろ、三橋、浜中両容疑者と共謀し、楽天モバイルから日ロジに委託していた基地局の部材の保管費用など約9億2000万円分を水増しするなど、約25億円を楽天モバイルに振り込ませて、だまし取った疑いがある。同課は3人の認否を明らかにしていない。

【国際】中国、今年の成長率目標「5%前後」 前年より0.5ポイント下げる (3/5.Sun)

 中国の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)が5日、北京の人民大会堂で開幕した。李克強(リーコーチアン)首相が読み上げる政府活動報告では、今年の経済成長率目標が「5%前後」に設定された。中国は昨年はゼロコロナ政策の影響で経済活動が停滞し、実質成長率は3・0%にとどまった。「5・5%前後」と掲げた成長率目標を大きく下回った。経済の立て直しが課題となる中、今年の目標が注目を集めていた。

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