(写真は、デジタル庁発足式で記念撮影する平井卓也デジタル相〈右〉と石倉洋子デジタル監=9月1日、東京都千代田区)
(写真は、デジタル庁発足式で記念撮影する平井卓也デジタル相〈右〉と石倉洋子デジタル監=9月1日、東京都千代田区)
どんな組織?
菅義偉首相は1日の発足式で「行政のみならず、我が国全体を作り替えるくらいの気持ちで知恵を絞って」と演説。デジタル監に就任した石倉洋子氏も「デジタルだと日本は蚊帳の外。存在感が全然無い。逆に言えば可能性はすごく大きい」と語りました。
コロナで「デジタル敗戦」
そこで大急ぎでつくったのがデジタル庁です。ここに予算と権限を集中し、個人を識別できるマイナンバーと行政サービスをひもづけ、子育てや引っ越しなどの手続きをオンラインで一括申請できるようにしたり、緊急時に迅速に現金給付する仕組みを整えたりします。自治体ごとにバラバラのシステムを標準化して、コスト削減と情報共有を強化。今35%ほどのマイナンバーカードの交付率を2022年度末までにほぼ全国民に広げる方針です。
デジタル先進国のデンマーク、韓国では
デジタル競争力ランキング8位、電子政府ランキング2位の韓国でデジタル化が進んだのは、財政破綻(はたん)の危機に直面した1997年のアジア通貨危機がきっかけです。経済立て直しの一環で電子政府への移行が進み、2009年には電子政府戦略を担う情報化振興院(現・知能情報社会振興院)も発足。情報の一元化を可能にするのが、国民に割り振られた住民登録番号です。北朝鮮の脅威にさらされる韓国では、個人のプライバシーより公共の利益を優先する意識が強いこともデジタル化を推進したといわれています。
(写真は、デジタル手続きが進み、離婚の手続きができるデンマークの市民ポータルの画面=2020年2月、コペンハーゲン市)
課題も山積
デジタル庁の発足で遅ればせながら形は整った日本ですが、「デジタル先進国」の仲間入りをするには高いハードルがあります。私たち1人ひとりに割り振られたマイナンバーの活用もカギですが、日本ではプライバシーを重視する意識が高いため、マイナンバーカードの普及が進まないといわれます。背景にあるのは「政府への信頼感」が低いことです。デンマークなどデジタル競争力が高い北欧諸国は、「高福祉高負担」で、税金は高いけれど福祉や公的な教育が充実していて国民の満足度は高い傾向があります。一方で日本では、国民にはウソの情報を流して無謀な戦争に突き進んだ記憶が根強いうえ、最近でも政府に都合の悪い情報を隠蔽する体質があらわになる出来事も相次いでいます。韓国ほど安全保障上の危機感が切迫しているわけでもありません。
デジタル庁設置を決めたデジタル改革関連法の審議が拙速だったこともあり、大量の個人情報の利活用が情報漏洩や悪用、監視社会につながらないのかを心配する声も広くあります。日本では、高齢者を中心にデジタル化についていけない人も多く、受けられるサービスに格差が生まれないかも課題です。
「明治維新、戦後改革に匹敵するデジタル革命」
いまやデジタル化に無縁の企業はありません。デジタル庁発足を機に、その可能性や課題を押さえたうえで、企業研究を進めてください。
● DXってなに? 社会変えるデジタル…志望企業の対応は【時事まとめ】
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2023/11/29 更新
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