話題のニュースを総ざらい!面接で聞かれる!就活生のための時事まとめ

2020年07月15日

社会

最近よく聞く「マイナンバーカード」 って?【時事まとめ】

10万円給付大混乱で注目

 最近、「マイナンバー」に関するニュースをよく見ますね。マイナンバーはすべての国民に割り当てた個人番号で、行政手続きや暮らしを便利にするための仕組みですが、新型コロナウイルス対策の一律10万円給付でうまく機能しなかったことで、かえって注目されるようになりました。政府はなかなか普及が進まない「マイナンバーカード」を広めようと、あの手この手を繰り出そうとしています。その一つ、7月に受け付けが始まった「マイナポイント」をめぐっては、キャッシュレス業界で顧客争奪戦が起きています。そもそもマイナンバーってなんだっけ?という人も多いと思います。マイナンバーの「基本のき」と課題、これからについてやさしく解説します。(編集長・木之本敬介)

(写真は、マイナンバーカードの見本=茨城県土浦市提供)

全住民に12ケタの番号

 マイナンバーは2016年に本格的な運用が始まった制度で、赤ちゃんからお年寄りまで住民登録をしている全員に12ケタの番号が割り振られました。自治体税務署年金事務所などが別々に持っている情報を一つに結びつけることで、行政を効率化し、面倒な手続きを簡単にするのが目的です。実際、多くの手続きで添付書類が減るなど便利になりました。番号は、結婚したり引っ越したりしても変わらず、一生同じ番号を使います。

 役所に申し込めば、顔写真入りのマイナンバーカードが発行されます。氏名、住所、生年月日、性別、個人番号が載っていて、身分証明書になります。カードのICチップに入った電子証明書を使えば、コンビニで住民票をとったり、自宅のパソコンからオンラインで税金の手続きをしたりすることもできます。しかし、2020年6月1日時点でカードを持っている人は16.8%、2135万枚しか発行されていません。カード取得は任意ですし、どうしても必要なものではなく、なくしたりすると個人情報が漏れるリスクもあるためです。日本人は戦前戦中の厳しい情報統制の経験から、国家に個人情報を管理されることへの警戒感が強い、つまり政府への不信感が根強いことが根っこにあるといわれます。

ひもづいていないカードと口座

 今回、マイナンバーが注目されたきっかけは、新型コロナウイルス対策の国民への一律10万円の特別給付金でした。カードを使ってオンラインで申請すれば早くもらえるとのふれ込みでしたが、いざ始まるとトラブルが続出しました。暗証番号が4種類も必要なひどくわかりにくいシステムのうえ、オンライン申請での入力ミスが多く、カード発行の窓口には住民が殺到。実務を担う自治体は大混乱に陥りました。マイナンバーカードは銀行口座とひもづいていないため、役所は手作業による入力や確認に追われ、郵送の申し込みよりも支給が遅くなったり、オンライン受け付けを中止したりする自治体まで出ました。

 欧米では個人番号と金融機関の口座情報をもともとひもづけている国が多く、給付金が素早く支給された例が盛んに報じられました。マイナンバーのシステムにはこれまで3000億円超のお金をつぎ込んできたのに、この大失態です。政府に批判が集まりました。

(写真は、マイナンバーカード関連の申請で多くの人が詰めかけた江戸川区役所葛西事務所=2020年5月8日、東京都江戸川区)

政府はカード普及にあの手この手

 この反省から、高市早苗総務相はマイナンバーに一つの銀行口座の登録を義務づける方針を打ち出しました。今後は、個人の口座に素早く公的な支援金などを振り込めるようにするためです。ただ、赤ちゃんにも口座を持たせるのか、義務化したら罰則で徹底するのかといった課題もあり、見通しは立っていません。

 それでも、政府は行政手続きのオンライン化を重点政策とし、マイナンバー制度を電子政府の基盤と位置づける方針です。このために2023年3月末までにほとんどの国民がマイナンバーカードを取得するという目標を掲げ、カードの利便性を高めるためにあの手この手を繰り出しています。2021年3月からは、カードを健康保険証としても使えるようになります。診察時の手続きが簡単になり、2021年秋ごろからは服用している薬や健診の情報も確認できるようになります。さらに、運転免許証との一体化やマイナンバーカードの機能をスマホに搭載できるようにすることも検討されています。

「マイナポイント」って?

 政府がマイナンバーカードを持つ人に最大5000円分のポイントを配る「マイナポイント」の受け付けも7月1日に始まりました。2020年9月から2021年3月までの7カ月間に電子マネークレジットカードスマホ決済など、キャッシュレスで買い物やチャージをすれば、利用額の25%分が還元される仕組みで、2万円分の買い物をすれば上限の5000円分もらえることになります。ポイントはその後のキャッシュレスでの買い物に使えます。ポイント還元を受けるには、マイナンバーカードを取得し、専用アプリやソフトでマイナポイントを申し込む必要があります。政府は4000万人分の予算計2000億円を用意していますが、申込数が上限に達したら申請を締め切ります。

 私たちがポイントをもらうには、いろんな種類のキャッシュレス決済から1社を選び、それで買い物をする必要があります。キャッシュレス各社は自社を選んでもらおうと、自らの負担で上乗せ還元のキャンペーンを相次いで打ち出し、競争を繰り広げています。マイナンバーカードをめぐるさまざまな動きも、利用者としての「消費者目線」だけでなく、「ビジネス目線」で見てみると、業界・企業研究につながります。

◆人気企業に勤める女性社員のインタビューなど、「なりたい自分」になるための情報満載。私らしさを探す就活サイト「Will活」はこちらから。

※「就活割」で朝日新聞デジタルの会員になれば、すべての記事を読むことができ、過去1年分の記事の検索もできます。大学、短大、専門学校など就職を控えた学生限定の特別コースで、卒業まで月額2000円です(通常月額3800円)。お申し込みはこちらから