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ビール大手4社の2020年のビール系飲料の販売実績が出そろいました。このところアサヒビールが業界トップを続けてきましたが、キリンビールが11年ぶりに首位を奪還しました。背景には、コロナ禍の影響で飲食店の需要が減り、家飲み需要が増えたという環境の変化があります。ビール系全体の売り上げが減る中、それぞれの会社の強み、弱みも見えてきます。こうした業界ニュースから、志望企業の特徴やライバル社との違いをつかみ、「なぜ我が社?」に答えられるように備えましょう。(編集長・木之本敬介)
(写真は、キリンビール「本麒麟」など第3のビール=同社提供)
(写真は、キリンビール「本麒麟」など第3のビール=同社提供)
「家飲み需要」で第3のビール増
「ビール」「発泡酒」「第3のビール」を合わせたビール系飲料の販売は、長年減り続けています。2020年の販売数量は、業界全体で前年より9%減り、16年連続で前年を下回りました。コロナ禍で大手4社とも減りましたが、アサヒは15%減、キリンは4%減、サントリービール10%減、サッポロビール8%減と、減り方にはかなり違いが出ました。特に落ち込みが激しいのがビールで、市場全体で推計22%減りました。コロナの感染拡大で、飲食店が臨時休業に追い込まれたことが響きました。一方、外出自粛で増えたのが「家飲み需要」です。家庭で多く飲まれている第3のビールは3%増え、販売数量でビールを上回りました。昨年10月の酒税改正で第3のビールは値上げになりましたが、勢いを保った形です。
飲食店のアサヒ、家飲みのキリン
市場シェアの推計では、キリンが37%、アサヒが35%となり、キリンが2009年以来の首位に返り咲きました。キリンとアサヒは宿命のライバルです。昭和の時代はキリンが圧倒的に強かったのですが、アサヒが「スーパードライ」でシェアを伸ばして2001年に首位が交代してからは、基本的にアサヒの時代が続いてきました。今回のキリンの首位奪還には、コロナによる環境変化が影響しました。アサヒの売り上げの半分ほどを占めるスーパードライは飲食店で高いシェアを誇っているため、影響をより強く受けました。これに対し、キリンは第3のビール「本麒麟」をはじめ家庭向けの割合が高いのが特徴です。キリンの布施孝之社長は6日の記者会見で「ブランド戦略がコロナの行動変化に合致した。将来にとっても大きな年だった」と2020年を振り返りました。
(写真は、第3のビール売り場。昨年10月の酒税法改正で値上げされたが、人気は根強い=2020年9月、東京都目黒区)
各社、家飲み取り込みに工夫
今年の販売方針では、4社とも家飲み需要の強化を掲げています。キリンは家庭向けビール販売にサブスクリプションを導入。定額制で家庭用のビールサーバーを貸し出す「ホームタップ」に力を入れています。アサヒは今春、お店のような細かい泡が売りのスーパードライ「生ジョッキ缶」を売り出します。サントリーは「神泡サーバー」付きのケータリングサービスで「オンライン飲み会」需要の取り込みを図ります。2021年の販売については、各社ともワクチンの普及や東京五輪・パラリンピック開催の効果を期待し、プラスの目標を掲げています。アサヒの塩沢賢一社長は「2021年の後半から(売り上げが)上がっていくと思っている」と語りました。
(写真は、アサヒビールの「スーパードライ 生ジョッキ缶」。ふたを開けると自然と泡立つ)
ソフトドリンクとアルコールメーカー
飲料メーカーは就活生に人気ですが、それぞれに特徴があります。2022年卒生対象のあさがくナビ就職人気企業ランキングで見てみます。アサヒグループでは、ソフトドリンクメーカーのアサヒ飲料が前年の6位から3位に上がった一方、アサヒビールは23位から32位にダウンしました。アルコールもソフトドリンクも扱うキリンは51位から37位に、サントリーグループは39位から12位にアップしました。ソフトドリンク専業の伊藤園も78位から61位に上がりました。若者を中心にアルコール離れが進む中、コロナ禍でもスーパーなどでの販売が増えたソフトドリンクをつくるメーカーに人気が集まったとみられます。◆アサヒ飲料の「人事のホンネ」はこちら
業界まとめニュースでライバル比べよう
ビール業界に限らず、新聞にはさまざまな業界の状況をまとめた記事が連日のように載ります。業界の最新事情や、各社ごとの特徴や違いが分かります。各社の採用ホームページを見ても、ライバル社の話や比較する情報は載っていません。業界の記事からは、志望動機の中でも「なぜ他社じゃなくて、我が社を志望するのですか」という問いに答える材料が得られます。志望業界の記事に注目してください。
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