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「ジョブ型」という言葉が、採用や雇用のニュースによく登場するようになりました。欧米では主流の採用や雇用のやり方で、日本の大卒採用では、これに近いのが職種をあらかじめ決めて入社する「職種別採用」です。日本の大卒の採用では、「メンバーシップ型」の新卒一括採用が大半でしたが、変化の兆しが見えてきました。文系(事務系)でも総合職採用を職種別採用に変える会社があるほか、新型コロナウイルスの影響で在宅勤務(テレワーク)が定着したのを機にジョブ型雇用に転換しようとする会社もあります。学生はどう対応したらいいのでしょう?(編集長・木之本敬介)
「ジョブ型」は、まず会社が求める特定の職務(ジョブ)があって、その仕事をできる人を募集して採用する方法です。まさに「就職」ですね。求められるのは「即戦力」で、新卒・既卒を問わず専門スキルを重視した採用となります。日本でも、専門性が求められる技術系ではジョブ型採用も行われています。仕事に直結するような内容を大学で学んでいるか、インターンシップ(就業体験)で経験を積んだ学生、あるいは働いた経験がある人が対象なので、文系では中途採用が中心です。
これに対し、「メンバーシップ型」は、まず人ありきです。日本では多くの会社が、職種を特定しない「総合職」採用をしています。会社に合った人を採用して、入社後に適性を判断して仕事を割り当て、研修や教育で社員を育てます。日本の就職の実態は「就社」だといわれるのはこのためです。日本でも、派遣社員、契約社員などの非正社員は、あらかじめ決められた仕事をするので「ジョブ型」に近いといえます。
「ジョブ型」は、まず会社が求める特定の職務(ジョブ)があって、その仕事をできる人を募集して採用する方法です。まさに「就職」ですね。求められるのは「即戦力」で、新卒・既卒を問わず専門スキルを重視した採用となります。日本でも、専門性が求められる技術系ではジョブ型採用も行われています。仕事に直結するような内容を大学で学んでいるか、インターンシップ(就業体験)で経験を積んだ学生、あるいは働いた経験がある人が対象なので、文系では中途採用が中心です。
これに対し、「メンバーシップ型」は、まず人ありきです。日本では多くの会社が、職種を特定しない「総合職」採用をしています。会社に合った人を採用して、入社後に適性を判断して仕事を割り当て、研修や教育で社員を育てます。日本の就職の実態は「就社」だといわれるのはこのためです。日本でも、派遣社員、契約社員などの非正社員は、あらかじめ決められた仕事をするので「ジョブ型」に近いといえます。
採用直結インターンも
ところが、グローバル化による国際競争の激化や、デジタル化による急激な変化に素早く対応するには、メンバーシップ型の新卒一括採用だけでは太刀打ちできなくなってきました。新卒一括採用は年功序列、終身雇用とセットの日本独特のシステムで急にはやめられませんが、多くの企業が中途採用を増やしたり、新卒にもジョブ型採用を取り入れたりし始めました。ジョブ型採用が増えると予想される職種としては、AI(人工知能)人材、データサイエンティスト、高度な専門性を持つエンジニア、フィンテック人材、商品開発・マーケティング人材などがあげられています。早稲田大学の田中愛治総長との対談の中で経団連の中西宏明会長は、今は政府のルールで禁止されている採用直結のインターン解禁を政府に要請していることを明らかにしました。これも同じ流れの話です。まずは理系の博士課程の大学院生が対象になりそうですが、始まるのは2022年なのでまだ先ですね。
(写真は、経団連の中西宏明会長〈右〉と早稲田大の田中愛治総長=202年6月9日、東京・経団連会館)
コロナでジョブ型転換加速?
新型コロナの影響で広まったテレワークを、緊急事態宣言(感染症)が解除された後も働き方の中心に据えるという企業が多くあります。日立製作所は2021年4月以降も3万3000人いる国内従業員の出社率を全体の半分にとどめると発表しました。年功序列型の人事制度を「ジョブ型」に転換していく方針で、在宅勤務定着をきっかけに転換を加速させたい考えのようです。同社の役員は記者会見で「事業の世界展開には、多様な人材や働き方が必要。新しい働き方にかじを切る」と語りました。資生堂も2021年1月から一般社員3800人をジョブ型の人事制度に移行します。魚谷雅彦社長は「この仕事は何が必要かを細かく説明し、一番ぴったりあう人を配置します。ジョブ型はよく成果主義と言われますが、それは短絡的で、究極の適材適所です。男性、女性、若い人、外国人、外部の人でも、ぴったり合う人ならいい。ダイバーシティー(多様性)につながります。果たすべき役割がしっかり決まっていると、会社に来なくても仕事ができるようになるんです」と言います。
通信システムを手がけ、全社的にテレワークを導入している富士通の時田隆仁社長も「テレワークだと労働時間の管理や人事評価が難しい面はあります。仕事の内容に沿って採用する欧米流のジョブ型に転換して、仕事そのものの成果に着目した評価の仕組みに変えざるを得ないでしょう。富士通でも採り入れており、さらに広げていきたいと思っています」と述べました。
花王、Skyはジョブ型採用導入
「人事のホンネ」に登場した企業にも、ジョブ型採用を取り入れているところがあります。花王では、事務系で職種別採用と総合職採用を併用していて、2020年卒採用では事務系30~40人を「スペシャリティコース」「総合職コース」の2コースで募集しました。マーケティング、情報システム、ロジスティクス、経理など専門性を求める部署もあり、「学んだことをいかしたい」「どうしてもこれをやりたい」という学生もいれば、「どの職種にしようか迷っている」「適性を見て決めてほしい」という学生もいるため、どちらかを選択できるようにしたそうです。Sky株式会社はすべて職種別採用で、会社説明会や選考の過程で学生が職種を一つに絞る形をとっています。企業も模索しています。
●花王の「人事のホンネ」はこちら
● Sky株式会社の「人事のホンネ」はこちら
ジョブ型採用に、学生はどう対応すればいいのか。中西経団連会長との対談で早稲田大学の田中総長はこう語りました。
「私のゼミの卒業生をみると、半分以上が3~5年以内に転職しています。大企業で安定しようというより、中小でも自分のやりたいことをやろうと変わってきています。そこに耐えられる教育が必要で、早稲田を出ているから大丈夫ではない。職務により採用するジョブ型の人事制度や、新たな働き方が浸透していく変化の時代には、自分は何ができるかということを磨かなければダメだと、学生には常々言っています」
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