花王
2021シーズン⑪ 花王《前編》
「花王ウェイ」への共感確認 ポイントは倫理観と挑戦意欲【人事のホンネ】
人財開発部門 キャリア開発部 採用担当・評価育成担当 久米夏子(くめ・なつこ)さん
2020年02月05日
人気企業の採用担当者に直撃インタビューする「人事のホンネ」の2021シーズン第11弾は、花王です。どの家庭にもある身近な商品を扱う会社ですから、エントリーシートにいろいろ書けそうですよね。でも、「消費者目線」だけでは通りません。(編集長・木之本敬介)
■2020年卒採用
──2020年卒の採用を振り返って、何か特徴はありましたか。
多様な人財を採用したいと思い、海外に留学している学生や現地の学生にアプローチした結果、勉強内容や国籍、バックグラウンドなどが異なる学生にたくさん出会えました。宇宙の勉強をしたり、美術や魚類の研究をしたりとバラエティー豊かで、従来よりも学生の幅が広がったように思います。ただ、海外にはなかなか行けないので、初めてすべての選考をオンラインで行いました。
──採用に至ったのは何人くらいですか。
外国籍の学生が5人ほど、日本人の海外留学生が数名です。全体の採用数が300人くらいなので多くはありません。
■職種と採用実績
──職種とそれぞれの採用人数を教えてください。
採用する約300人のうち、技術系の「研究開発」(約100人)と「生産」(約130人)が多くを占めます。営業のプロである「販売」の約60人はグループ会社の花王グループカスタマーマーケティング(KCMK)が採用しますので、この300人には含まれていません。
私が担当しているのはそれ以外の職種で、「マーケティング」(約10人)、「ケミカル営業」(4~6人)「クリエイティブ」(1~2人)、原料・原材料を調達する「購買」(1~2人)、人事や経理などの「コーポレート」(8~10人)、「情報システム」「ロジスティクス」(8~10人)で、計30~40人です。
──文理と男女の割合は?
情報システムやロジスティクスだけではなく、マーケティング、ケミカル営業にも理系がいるので、私が担当する事務系30~40人のうちおよそ半分は理系です。
男女比は、「研究開発」「生産」といった理系部署は男性が多いので、計300人のうち3割が女性です。事務系30~40人は半分が女性です。
──事務系30~40人は職種別採用ですか、それとも総合職採用?
両方です。2020年卒採用では、「スペシャリティコース」「総合職コース」の2コースで募集しました。情報システムやロジスティクス、経理など専門性を求める部署があるほか、学校で学んだことをいかしたいという学生もいるので、そういう学生は「スペシャリティコース」、それ以外は「総合職コース」に応募してもらいました。
当社はBtoC(一般消費者向け)のイメージが強いと思いますが、BtoB(企業間取引)の仕事もあり、ケミカル原料を他社に販売する営業の仕事もあります。ここでは化学系を勉強している学生を「スペシャリティコース」で募集します。
──「スペシャリティコース」「総合職コース」の割合は?
何人ずつとは決めていません。応募段階でコースを選ぶのですが、2021年卒採用は、たとえば「どうしてもマーケティングをやりたい」と強い思いを持つ人には希望する仕事を「単願」してもらえるようなコース、一方で、「どの職種にしようか迷っている」「適性を見て決めてほしい」という学生には選考途中で「幅広い職種」の可能性を一緒に探していくコースを設けることを検討しています。
──日本では多くの会社が「総合職の一括採用」です。「スペシャリティコース」はいつから?
スペシャリティコースは2年前からです。ただ、一昔前に、職種別採用していたこともあります。今は職種別に応募するコースも、一緒にキャリアを考えていくコースもあり、学生の選択肢を増やし、なるべく希望に添うようにしたいと思っています。
──「10年で3部門」といったジョブローテーションではないんですね。
はい。部門をまたいでの異動は少ないので、入社時のミスマッチを防ぎたいです。さまざまな職種がありますから、面接で「何に興味があるの?」「どんな志向なの?」としっかり聞きます。希望に合わせた初期配属をするために深掘りするのが花王の採用の特徴です。ときには「マーケティング志望だけど、人事が向いているんじゃない?」といったアドバイスもします。最終面接は初期配属される部門の幹部が担当します。
ただ、10年3職場のローテーションはあります。部門をまたいだローテーションは少ないのですが、一定の専門分野の中でのローテーションはあるので、新しいチャレンジングな仕事は次々待っていますよ。
──人気が高い部署は?
圧倒的にマーケティング系ですね。モノづくりのメーカーなので、マーケティングや企画・商品開発をやりたい気持ちも分かりますが、ほかの部門の採用はわりと苦労しています(笑)。
■2020年卒採用
──2020年卒の採用を振り返って、何か特徴はありましたか。
多様な人財を採用したいと思い、海外に留学している学生や現地の学生にアプローチした結果、勉強内容や国籍、バックグラウンドなどが異なる学生にたくさん出会えました。宇宙の勉強をしたり、美術や魚類の研究をしたりとバラエティー豊かで、従来よりも学生の幅が広がったように思います。ただ、海外にはなかなか行けないので、初めてすべての選考をオンラインで行いました。
──採用に至ったのは何人くらいですか。
外国籍の学生が5人ほど、日本人の海外留学生が数名です。全体の採用数が300人くらいなので多くはありません。
■職種と採用実績
──職種とそれぞれの採用人数を教えてください。
採用する約300人のうち、技術系の「研究開発」(約100人)と「生産」(約130人)が多くを占めます。営業のプロである「販売」の約60人はグループ会社の花王グループカスタマーマーケティング(KCMK)が採用しますので、この300人には含まれていません。
私が担当しているのはそれ以外の職種で、「マーケティング」(約10人)、「ケミカル営業」(4~6人)「クリエイティブ」(1~2人)、原料・原材料を調達する「購買」(1~2人)、人事や経理などの「コーポレート」(8~10人)、「情報システム」「ロジスティクス」(8~10人)で、計30~40人です。
──文理と男女の割合は?
情報システムやロジスティクスだけではなく、マーケティング、ケミカル営業にも理系がいるので、私が担当する事務系30~40人のうちおよそ半分は理系です。
男女比は、「研究開発」「生産」といった理系部署は男性が多いので、計300人のうち3割が女性です。事務系30~40人は半分が女性です。
──事務系30~40人は職種別採用ですか、それとも総合職採用?
両方です。2020年卒採用では、「スペシャリティコース」「総合職コース」の2コースで募集しました。情報システムやロジスティクス、経理など専門性を求める部署があるほか、学校で学んだことをいかしたいという学生もいるので、そういう学生は「スペシャリティコース」、それ以外は「総合職コース」に応募してもらいました。
当社はBtoC(一般消費者向け)のイメージが強いと思いますが、BtoB(企業間取引)の仕事もあり、ケミカル原料を他社に販売する営業の仕事もあります。ここでは化学系を勉強している学生を「スペシャリティコース」で募集します。
──「スペシャリティコース」「総合職コース」の割合は?
何人ずつとは決めていません。応募段階でコースを選ぶのですが、2021年卒採用は、たとえば「どうしてもマーケティングをやりたい」と強い思いを持つ人には希望する仕事を「単願」してもらえるようなコース、一方で、「どの職種にしようか迷っている」「適性を見て決めてほしい」という学生には選考途中で「幅広い職種」の可能性を一緒に探していくコースを設けることを検討しています。
──日本では多くの会社が「総合職の一括採用」です。「スペシャリティコース」はいつから?
スペシャリティコースは2年前からです。ただ、一昔前に、職種別採用していたこともあります。今は職種別に応募するコースも、一緒にキャリアを考えていくコースもあり、学生の選択肢を増やし、なるべく希望に添うようにしたいと思っています。
──「10年で3部門」といったジョブローテーションではないんですね。
はい。部門をまたいでの異動は少ないので、入社時のミスマッチを防ぎたいです。さまざまな職種がありますから、面接で「何に興味があるの?」「どんな志向なの?」としっかり聞きます。希望に合わせた初期配属をするために深掘りするのが花王の採用の特徴です。ときには「マーケティング志望だけど、人事が向いているんじゃない?」といったアドバイスもします。最終面接は初期配属される部門の幹部が担当します。
ただ、10年3職場のローテーションはあります。部門をまたいだローテーションは少ないのですが、一定の専門分野の中でのローテーションはあるので、新しいチャレンジングな仕事は次々待っていますよ。
──人気が高い部署は?
圧倒的にマーケティング系ですね。モノづくりのメーカーなので、マーケティングや企画・商品開発をやりたい気持ちも分かりますが、ほかの部門の採用はわりと苦労しています(笑)。
「営業のプロ」志向ならKCMK受けて 面接の前後に社員と話す場設定
■技術系と営業職
──「研究開発」「生産」の採用は?
「研究開発」は大学のゼミなどと関わりがあり、「生産」は高校生や高専生も採ります。採用の形が違うので別部署で採用しています。
学部の指定はありません。化学系から生物系、情報系、機械系など、ほぼ理系の全分野を募集しています。理系の学生は研究室で学んだ内容を聞きながら選考を進めます。
──営業職は別会社なんですね。どんな仕事ですか。
花王の営業部隊の会社「KCMK」です。仕事は、商品と消費者をつなぐ「小売業様の売場」で、ブランドの持つ価値を消費者の皆様に正しく伝えることです。具体的には、商品陳列、売場演出、プロモーション手法などを各小売業様の特性やニーズに合わせて提案。それを小売業様との協働で実現することにより、消費者にその商品を使って満足していただくことです。KCMKは花王と消費者をつなぐ「よきモノづくり」の最終段階という重要な役割を担っています。「営業のプロ」になりたい学生には、こちらへの応募を勧めています。花王とKCMKは併願もできます。
■インターンシップ
──インターンシップについて教えてください。
技術系の「研究開発」と「情報システム」だけ実施しています。研究開発は8月末から9月にかけて2週間、情報システムは2月の1週間です。文系向けのインターンはやっていません。
研究開発のインターンは長いので参加者も私たちも覚悟が必要です。栃木や和歌山の研究所で職場体験をしてもらいます。情報システムは東京・亀戸の事業場での研修です。仕事の進め方について先輩のフォローを受けながら体験し、最後に発表してもらいます。
参加者は研究開発が70~80人、情報システムは12~13人です。面接で選考します。とくに情報システムは多くの学生を受け入れられないので、インターンに応募したのに参加できなかった学生向けの説明会を2月に行っています。
■エントリー
──本採用のエントリー数は?
1万人に届かないくらいです。この5年ほど減っていたのですが、2020年卒採用では前年より増えました。一時はベンチャー企業なども人気でしたが、今は安定志向、大手志向に戻りつつあるのだと思います。
――就職人気企業ランキングでは常に上位です。日用品メーカーとしての人気の理由をどう分析されますか。
どこまで影響しているかは分かりませんが、みなさん東日本大震災を経験していて、世の中に貢献したいという思いを持つ人が多いのではないでしょうか。私たちは生活に必要なものを届けるという使命感を持っているので、そこに共感する学生が来てくれているのだと思います。
■説明会
──採用スケジュールを教えてください。
3月1日に採用広報を解禁し、WEB説明会をします。その後はエントリーシート(ES)、動画選考、面接と進みます。学生と直接会う自社説明会はいっさい行っていません。
──えっ!? 説明会がないのですか。
自社説明会は2013年にやめました。合同企業説明会にはたまに出ますが、業界説明会や仕事説明会にもあまり出ていません。経理職や情報システム系などはゼミを訪問することがありますが、どうしても、訪問できる大学の数に限りが出てしまいますし、学生にとっても遠方から参加するのは大変なため、他社に先駆けてWEB説明会を取り入れました。ライブ配信だけでなく、録画を誰でもいつでも見られるようにしています。
──学生は社員に会って直接聞きたいのでは?
選考の過程で来社してもらう際、面接の前後で先輩社員に会えるようにして、「自由に質問してね」「花王のことを何でも聞いてね」と言っています。OB・OG訪問を選考の前後に設定しているような形です。学生たちは「聞きたいことが聞けた」「仕事の理解が深まった」と満足してくれているようです。
──多くの企業が夏のインターンから学生に接触したり、リクルーターが学生と個別に会ったりしています。花王では少人数のインターンを除くと、選考が始まるまで学生が社員に会う機会はない?
そうですね。早い時期から直接会わなくても、当社の採用ホームページは充実しているのでいろんな情報を取れると思います。興味がある人ほど自分で探しにいくのではないでしょうか。選考期間だけではなく、花王に興味を持ったら是非ホームページを見てほしいと思います。
──「研究開発」「生産」の採用は?
「研究開発」は大学のゼミなどと関わりがあり、「生産」は高校生や高専生も採ります。採用の形が違うので別部署で採用しています。
学部の指定はありません。化学系から生物系、情報系、機械系など、ほぼ理系の全分野を募集しています。理系の学生は研究室で学んだ内容を聞きながら選考を進めます。
──営業職は別会社なんですね。どんな仕事ですか。
花王の営業部隊の会社「KCMK」です。仕事は、商品と消費者をつなぐ「小売業様の売場」で、ブランドの持つ価値を消費者の皆様に正しく伝えることです。具体的には、商品陳列、売場演出、プロモーション手法などを各小売業様の特性やニーズに合わせて提案。それを小売業様との協働で実現することにより、消費者にその商品を使って満足していただくことです。KCMKは花王と消費者をつなぐ「よきモノづくり」の最終段階という重要な役割を担っています。「営業のプロ」になりたい学生には、こちらへの応募を勧めています。花王とKCMKは併願もできます。
■インターンシップ
──インターンシップについて教えてください。
技術系の「研究開発」と「情報システム」だけ実施しています。研究開発は8月末から9月にかけて2週間、情報システムは2月の1週間です。文系向けのインターンはやっていません。
研究開発のインターンは長いので参加者も私たちも覚悟が必要です。栃木や和歌山の研究所で職場体験をしてもらいます。情報システムは東京・亀戸の事業場での研修です。仕事の進め方について先輩のフォローを受けながら体験し、最後に発表してもらいます。
参加者は研究開発が70~80人、情報システムは12~13人です。面接で選考します。とくに情報システムは多くの学生を受け入れられないので、インターンに応募したのに参加できなかった学生向けの説明会を2月に行っています。
■エントリー
──本採用のエントリー数は?
1万人に届かないくらいです。この5年ほど減っていたのですが、2020年卒採用では前年より増えました。一時はベンチャー企業なども人気でしたが、今は安定志向、大手志向に戻りつつあるのだと思います。
――就職人気企業ランキングでは常に上位です。日用品メーカーとしての人気の理由をどう分析されますか。
どこまで影響しているかは分かりませんが、みなさん東日本大震災を経験していて、世の中に貢献したいという思いを持つ人が多いのではないでしょうか。私たちは生活に必要なものを届けるという使命感を持っているので、そこに共感する学生が来てくれているのだと思います。
■説明会
──採用スケジュールを教えてください。
3月1日に採用広報を解禁し、WEB説明会をします。その後はエントリーシート(ES)、動画選考、面接と進みます。学生と直接会う自社説明会はいっさい行っていません。
──えっ!? 説明会がないのですか。
自社説明会は2013年にやめました。合同企業説明会にはたまに出ますが、業界説明会や仕事説明会にもあまり出ていません。経理職や情報システム系などはゼミを訪問することがありますが、どうしても、訪問できる大学の数に限りが出てしまいますし、学生にとっても遠方から参加するのは大変なため、他社に先駆けてWEB説明会を取り入れました。ライブ配信だけでなく、録画を誰でもいつでも見られるようにしています。
──学生は社員に会って直接聞きたいのでは?
選考の過程で来社してもらう際、面接の前後で先輩社員に会えるようにして、「自由に質問してね」「花王のことを何でも聞いてね」と言っています。OB・OG訪問を選考の前後に設定しているような形です。学生たちは「聞きたいことが聞けた」「仕事の理解が深まった」と満足してくれているようです。
──多くの企業が夏のインターンから学生に接触したり、リクルーターが学生と個別に会ったりしています。花王では少人数のインターンを除くと、選考が始まるまで学生が社員に会う機会はない?
そうですね。早い時期から直接会わなくても、当社の採用ホームページは充実しているのでいろんな情報を取れると思います。興味がある人ほど自分で探しにいくのではないでしょうか。選考期間だけではなく、花王に興味を持ったら是非ホームページを見てほしいと思います。
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