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もとは12カ国だったが…
まずは、おさらい。TPPは「Trans-Pacific Partnership」の略で、地図にある11カ国がモノや人、サービスなどの交流を活発にして域内の経済をよくしようという協定です。今年3月に11カ国が署名した後、各国が国内手続きを進め、メキシコ、日本、シンガポール、ニュージーランド、カナダに続き、オーストラリアが10月31日に手続きを終えました。過半数の6カ国が手続きを終えてから60日後に発効するため、12月30日の午前0時発効が決まったわけです。ベトナムも11月に手続きを終える予定で、他の国も手続きが終わり次第加わります。
もともとは世界一の経済大国である米国を加えた12カ国で2016年に署名までしました。しかし、「アメリカファースト」を掲げて保護主義をとるトランプ大統領は、就任直後の2017年1月に離脱。11カ国で交渉し直して改めて合意しました。
(写真は、TPP11署名式を終え握手を交わす閣僚ら=2018年3月8日、チリ・サンティアゴ)
関税99.9%撤廃
輸出入の際にかかる関税を最終的に99.9%撤廃するほか、電子商取引などのビジネスルールを統一し、投資規制を緩和します。
例をあげると、日本が輸出する自動車は、オーストラリアの関税5%が即時撤廃、カナダは今の6.1%が5年目にゼロになります。ベトナムは大型車輸入に70%の高関税をかけていますが10年目に撤廃されます。
表は輸入食品の関税をまとめています。キウイ、ブドウ、メロンのようにすぐに撤廃されるものと、国内の農家への影響を軽減するため段階的に関税を下げていくものがあります。いま38.5%の牛肉は16年かけて9%まで下がります。輸出の際の関税も下がるため、最近海外で人気が高まっている日本の高級農産物の輸出業者にとってはチャンスが広がりそうです。
政府は、TPP11は日本のGDPを年に8兆円押し上げ、46万人の雇用を生み出すと試算しています。輸出がしやすくなる自動車や自動車部品、食材の輸入関税が下がる食品メーカーや流通、海外に出店しやすくなるコンビニなど、恩恵を受ける業界については、
◆「面接で聞かれる!就活生のための時事まとめ~『TPP11』年内発効? 得する業界はどこだ!?」
を読んでください。
参加国拡大へ
TPPはさらに拡大をめざしています。新規加盟に積極的なタイ、コロンビアのほか、欧州連合(EU)離脱をめざす英国、インドネシア、韓国、台湾などが関心を示しています。新加盟の手続きなどについて話し合う「TPP委員会」が来年1月に日本で開催される予定です。
TPPには当初、アジアに中国主導の経済圏が生まれるのを防ぐ日米の狙いがあったのですが、その中国でもTPP加入の是非が論じられ始めたようです。「米中貿易戦争」といわれるほど米国との対立が深まっているからです。ただ、TPPの加入条件は厳しいため、国有企業優遇、著作権侵害など不公正貿易が指摘される中国の加盟は当面は難しいとみられています。
日欧EPA、RCEPにも注目
一方、TPPを離脱した米国は日本に2国間交渉を迫り、来年1月から物品貿易協定(TAG)の交渉を始めることになりました。日本はTPPの関税水準をぎりぎりのラインとして交渉に臨みます。
ほかにも、経済規模がTPP11より大きい「日欧経済連携協定(EPA)」は来年前半の発効が目標。日本や中国、東南アジア諸国連合(ASEAN)など16カ国が参加する「東アジア地域包括的経済連携協定(RCEP)」は今年中の妥結を目指して交渉がヤマ場を迎えています。注目してください。
日欧EPAや日米TAGについては、
◆世界貿易の4割…日欧EPAで得する業界はここだ!(2018年7月20日)
◆日米関税交渉入りで自動車業界はホッ? 代わりに影響を受けるのは?(2018年9月28日)
も読んでみてくださいね。
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2024/12/04 更新
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