(写真は、日米首脳会談で握手する安倍晋三首相〈左〉とトランプ大統領)
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(写真は、日米首脳会談で握手する安倍晋三首相〈左〉とトランプ大統領)
(FTA+FFR)÷2=「TAG」
警戒した日本がまず切ったカードが「FFR」という会議の創設です。Free(自由)でFair(公正)で Reciprocal(相互的)な貿易を目指す話し合いの場という意味で、今年4月、安倍首相がトランプ大統領に提案し、8月に初会合がありました。ただ、これを「時間稼ぎ」とみたトランプ大統領は、日本からの輸入車にかかる2.5%の関税を25%に引き上げるぞと、ゆさぶりをかけてきたのです。FTA交渉入りをのまされたとみられるのを避けたい日本政府は、サービスなどを含まない「モノ」の輸出入に限定した交渉という意味を込めたTAGという新語をひねり出し、「包括的なFTAとは異なるものだ」(安倍首相会見)と強調して、なんとかメンツを保ちました。
自動車高関税なら影響1.8兆円
ただ、米国が自動車高関税を引っ込めたからといって、安心してもいられません。日米共同声明は「交渉結果が米国の自動車産業の製造及び雇用の増加を目指すものであること」を日本が「尊重する」ともうたっており、日本メーカーの北米生産シフトにより、日本国内で工場閉鎖などの空洞化が進みかねません。そもそも、米国はもう二度と自動車の高関税を持ち出さないとは言っていないのです。「気まぐれ」な言動が目立つトランプ大統領が、交渉の展開次第で再び自動車の関税引き上げを持ち出してくる恐れは消えません。
(写真は、米運輸省の新車衝突テストで大破し、不合格とされた日本車=1980年ごろ)
牛肉やコメの輸入を増やしても…
つまり、TPP並みの関税は日本がもともと想定していたわけですから、米国がその水準での妥結をのんでくれれば影響は「想定内」といえます。しかし、実際に交渉に入れば、米国がTPP締結国より「優遇」を求めてくる可能性もあります。そもそも、日本が農産物の関税を大幅に引き下げて米国産牛肉やオレンジなどの輸入を増やしたとしても、年7兆円を超える米国の貿易赤字を打ち消すことはできません。そうなると、自動車関税が再び焦点になる可能性もあります。日本は農業で負けたうえに、自動車でも負けるという最悪のシナリオが待ち構えています。
(写真は、2年ぶりに販売が再開された米国産牛肉。牛海綿状脳症〈BSE〉の発生で輸入が停止されていた=2005年12月)
米中貿易戦争のとばっちりも
日本の家電や雑貨などのメーカーには、低コストの中国で生産して米国に輸出しているところも多く、すでにとばっちりを受けています。一方、米国のメーカーやIT企業などは、中国の安価な部品や製品に依存してきた面があり、制裁関税で悪影響を受けるところも出てきそうです。
かつて重厚長大産業で栄えた中西部の「ラストベルト」(さび付いた工業地帯)で支持され、大統領選を制したトランプ氏ですが、グローバル化が進み国境を超えてモノやサービスが行き交う現在では、何が「国益」といえるかは簡単ではありません。同様に、米中貿易戦争や日米TAG交渉の行方次第で、日本の産業がどんな影響を受けるかも容易には見通せないのです。
(写真は、G20で同席した中国の習近平国家主席〈左〉とトランプ米大統領=2017年7月、代表撮影)
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